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横浜流星&江口洋介、大切なのは人との出会い

横浜流星&江口洋介が伝えたいこと……。
横浜流星&江口洋介が伝えたいこと……。 - 写真:杉映貴子

 水墨画を題材にした砥上裕將の人気小説を映画化した『線は、僕を描く』。本作で、1枚の水墨画に魅了され自身の生き方を変えていく青年・青山霜介を演じた横浜流星。そんな霜介を見出した水墨画の巨匠・篠田湖山の一番弟子である西濱湖峰役の江口洋介。劇中では、家族でもなく友人でもなく、先輩後輩でもないという不思議な関係性を築いた横浜と江口が、俳優として大切にしていることや、作品から感じ取った魅力などを語り合った。

リスペクト!横浜流星&江口洋介【インタビューカット集】

不思議な関係性を“心地よい”ものとした二人の信頼関係

 アルバイト先の絵画展設営現場で、水墨画の巨匠・篠田湖山に見出された霜介。その湖山の家に住み込みで働く西濱。家事全般を行いながら、さらりと霜介の人生に影響を与えるようなことをつぶやく西濱は、どこかつかみどころがないが、非常に魅力的な男だ。

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 横浜は「目の前に西濱さんの空気を作ってくださった江口さんがいてくれたので、僕はフラットに霜介でいられたんです」と撮影を振り返った。そんな西濱を演じた江口は「水墨画というアートな世界にいながら、破天荒な生き方をしている男なんですが、とにかく彼がいう言葉が分かりやすく心地がいい。台本を読んで『演じたいな』と思える役でした」と語った。

 西濱の飾らない言動に徐々に影響を受けていく霜介。彼の特徴を「とにかく物事に対してピュアで真っすぐ熱い思いを持っている青年」と解釈した横浜は「自分もなにか物事を始めるとき、霜介のような心持ちでいるということはとても大切だなと、演じていて改めて感じました」と役を通して生きるために大切なことを学んだという。
 
 若手実力派として作品が続く横浜と、さまざまな作品で幅広いキャラクターを立体的に演じる懐の深さを見せる江口。その二人が、不思議な距離感の中、関係性を深めていく姿は、なんとも心地が良い。対峙した二人も「心地よさ」を感じていたようで、横浜が「言葉も佇まいも、なにからなにまで格好いい。勝手に兄貴だと思っています」とラブコールを送ると、江口も「しっかりと型を持った俳優。それは空手をやっていたということも多分にあると思いますが、同世代の俳優のなかで大きな個性となっている。誰とも“被らない”というのは大きな強みだと思う」と横浜の強みを挙げた。

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積み重ねることの大切さと未来をみることの重要性

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 そんな二人にとって、俳優業を行ううえで大切にしていることとはーー。

 横浜は「僕はこの世界にはスカウトしていただいて入ったので、そこで大きく人生が変わったということはあるのですが、この世界に入ってすごく感じるのは人との出会い。とても大切にしています」と語ると、江口も「作品ごとに監督もプロデューサーも違うのがこの仕事。毎回出会いがあるし、毎回が挑戦。一つ一つをしっかりモノにしていかなければという気持ちはある」と積み重ねの大切さを強調した。

 一方で江口は「昔は過去にやってきたことの積み重ねでいまがあると思っていたのですが、最近ちょっと考え方が変わってきた。先のことを考えることで、いまが充実するのかなと思うようになってきたんです。例えば『次にこういうことをやりたい!』と思うことで、いまやるべきことが明確に見えてくると感じるようになってきた。極端な言い方をすると、これまでやってきたことはもうどうでもいいというか、未来を向いているような気がします」と胸の内を明かした。

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 江口の言葉に大きく頷いた横浜は「僕もしっかり未来をみていきたいです。作品ごとにゼロからまた関係性を築いていくことは大変なことかもしれませんが、それを楽しみに変えることで、さらに充実していくと思います」と語った。

水墨画を通していまの時代に伝えたい思い

 水墨画という一見すると古めかしいと思われる題材を、エンターテインメントとして昇華させている本作。

 横浜は「僕が水墨画を練習したとき、どこか自然や自分と向き合えるような感覚がありました」と自身の心をリセットする時間だったことを明かすと「水墨画というのは正解がないということを教わりました。失敗かなと思った線も、失敗と捉えず見方を変えれば作品になる。この視点はとても大きかった」としみじみ語った。

 江口も「完成した映画を観たとき、なんかデジタルデトックスじゃないけれど、人間の基本的な営みをシンプルに感じらたんです」と感想を述べると「SNSが普及して、なんでもすぐに答えが出てしまう世の中で、答えのないことの素晴らしさや魅力を実感できました。とても幸福な時間でしたね」と清々しい表情で語った。

 江口が話したように、SNSの普及によって便利になった一方で、一つの物事に対して向き合う時間がどんどん短くなっていってしまう現在。顔の見えない人からの評価で、新しいことに挑戦することも躊躇してしまうような傾向もある。

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 横浜は「僕が演じた霜介は、西濱さんや湖山先生の言葉に励まされ、前に踏み出す勇気を持ちました。僕はこの作品に携わって励まされることがたくさんあり、人に感謝する気持ちの大切さも再確認できました。とても温かい映画なので、作品を観た方の前に進む一歩になってくれれば」と作品に込めた思いを明かした。

 江口も「知らない世界に踏み込むとき、自分で勉強して臨むことも大切なのですが、やっぱり周りの人間の力って大きいと思う。もちろん、人のことを信じるのが怖いという時代なのかもしれませんが、この映画にはそういった部分を含めて、なにか大きなヒントになるものはあると思う」と“人との繋がり”が大切なメッセージになっていることを強調した。(取材・文:磯部正和)

映画『線は、僕を描く』は10月21日より公開

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