SixTONES松村北斗、新海誠監督との出会いで「明日を生きていく楽しみをもらった」
SixTONESの松村北斗が25日、東京国際フォーラムで行われた映画『すずめの戸締まり』完成報告会見に来場し、新海誠監督との出会いで「今の自分のまま明日を生きていく楽しみをもらった」と誇らしげな顔を見せた。この日は声優を務めた原菜乃華、染谷将太、伊藤沙莉、花瀬琴音、音楽を担当した野田洋次郎(RADWIMPS)、作曲家の陣内一真、そして新海監督も来場した。
『君の名は。』『天気の子』の新海誠監督3年ぶりの最新作となる本作は、日本各地の廃虚を舞台に、“災いの元となる扉”を閉めるために旅をする少女・すずめの解放と成長を描いた冒険物語。九州の田舎に暮らす女子高校生・すずめが、扉を探す不思議な青年・宗像草太と出会い、災いをもたらす扉を閉めるために日本各地の廃虚へおもむくさまを描き出す。
劇中で宗像草太の声を担当した松村は、「僕は昨日、初号試写を観させていただきました。今日は(会見で)お話をしないといけないなと思ったので、一回気持ちを落ちつかせようと思ったんですが、作品の持つ力で、いまだに熱が抜けない。その心地良さがまだ残っていて。だから今日はそういう映画の魅力が少しでも伝われば」とあいさつした。
そしてあらためて「魅力的なシーンとか、いろんなところ細かくあげていったらキリがない」と本作の見どころについて語る松村は、「本編を観ている間は何度も笑って、何度も涙が出てきて。そういうポイントが何個もあったんですが、そのたびに笑った種類や理由も違っていて。自分の中で面白いと思う感性というのは、こんなにも幅があるんだなと。こんなことに感動したり、救われたりして涙が出るんだなと思って。作品を観ているんだけど、自分を見てるような気持ちになるような、そんな不思議な作品でしたね」と振り返った。
さらに新海監督とのアフレコについて「これは誤解のないように伝えられたらと思うんですけど」と前置きした松村は、「新海さんが僕らのことを楽器のようだと表してくれたことがあって。そう思うと、僕が演奏するよりも、新海さんが演奏することで草太が完成していくような感じがあって。ハマっていくとリズムよくいくけど、どんどんこの音じゃないな、このリズムじゃないなと。鍵盤を押し変えてくれる作業は新海さんや、音響監督の山田さんがやってくれて。だからアフレコ期間中の苦悩とか、変化は僕よりも新海さんの方が詳しいんじゃないかというくらい、僕のすべてを預けたような思いでした」と述懐した。
その言葉に「そうだね」と返した新海監督は「どこか途中で、北斗くんの中に気付きがあったような気がしていて。僕もどこかで北斗くんの身体、声を使って、映画に必要な声を出してもらうという意識はあったんだと思うんですけど、それは自覚的にやっていたわけではなかった」とコメント。さらに「むしろ一緒に探していこうという気持ちでやっていた。でも北斗くんはある部分から、映画のために自分自身を委ねるんだという気持ちになった瞬間があった気がして、そこからより草太になった感じはありましたね」と付け加えた。
そんな本作は松村にとってどんな作品となったのか。「これは個人的な話になりますが、僕は今27歳で。若いと言えば若いんだろうけど、すっかり大人になって。年々、自分でできること、自分ひとりで戦えるものを身につけたいし、つけなきゃいけない。年々、人に頼ることとか、誰かのおかげでというものをなくさなきゃいけないんじゃないか、というような使命感がありました」
その上で、「でもアフレコ期間中は先ほど新海さんがおっしゃった通り、すべてを一度委ねて。そこから返してもらったものの中で、全力で立ち回る期間だったんですよね、自分の中で。そうやって必死に生きる生き方を、新たにそのルートを見つけられた」と語る松村は、「それまでずっと次の日にやってくる仕事、次の日にやってくる人生がどこかすごく怖いし、乗り気じゃなかったものが、ひょんなことで仲間ができたりとか。まったく自分の人生に責任がない人が、気付かぬうちに自分の責任を背負ってくれて、引っ張ってくれたりということがあって。そういう出会いをして。アフレコ期間中は明日がくるのがどんどん楽しくなった」と目を輝かせる。
さらに「思い返すと、そういう作品だったから、自分に欠けた部分を受容して。あるときは誰かに頼ったり、甘えたり。強みを借りたりして、試行錯誤しながら、十分に今の自分のままで明日を生きていけるというか。そういう力強い心をアフレコ期間中に新海さんからいただいた」と感謝する松村。「それでいざ昨日映画を観て、あらためてこういう作品だったなと。すべてがリンクして。今の自分のまま明日を生きていく楽しみをもらったという思いです」と誇らしげな顔を見せた。(取材・文:壬生智裕)
映画『すずめの戸締まり』は11月11日より全国公開