浅野いにお「零落」映画化!斎藤工×趣里×MEGUMIが共演、監督は竹中直人
「ソラニン」「おやすみプンプン」「うみべの女の子」などで知られる浅野いにおのコミック「零落」が映画化され、2023年3月17日よりテアトル新宿ほかにて劇場公開されることが明らかになった。
昨年も、宮崎あおいが主演を務めた2010年公開の『ソラニン』に続く2作目の映画化となる『うみべの女の子』が劇場公開された浅野。今後は「デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション」がアニメ化されることも決定しているほか、2023年3月からはビッグコミックスペリオールにて新連載が開始する予定となっている。
そんな浅野にとって新境地となった「零落」は「ソラニン」から約11年後に連載された話題作で、8年間連載してきた漫画が完結を迎えて「元漫画家」となった深澤の魂の喪失と覚醒が描かれる。次回作のアイデアも浮かばず、担当編集者からはぞんざいに扱われ、敗北感が募るなか、すれ違いが生じていた妻との関係は冷え切っている。虚無感を抱えたまま立ち寄った風俗店で、 深澤は猫のような眼をした「ちふゆ」と名乗る風俗嬢と出会う。 自分のことを詮索せずに静かに笑う彼女に、急速に惹かれていくが、ある日、深澤は彼女の故郷へと向かうことになる。
監督を務めたのは、1992年に主演も務めた初監督作『無能の人』をはじめ、『119』『東京日和』『サヨナラ COLOR』『ゾッキ』などを手掛けた竹中直人。俳優や声優などマルチに活躍する竹中にとって10本目の監督作となる。売れっ子漫画家から落ちこぼれ漫画家となった主人公の深澤薫を斎藤工が演じる。
そのほか、物語の鍵を握るミステリアスな風俗嬢のちふゆ役で、2023年度後期の連続テレビ小説「ブギウギ」でヒロイン役を務める趣里、夫の深澤薫と衝突を繰り返しながらも漫画家としての彼の才能を信じ、一途な愛を貫こうと葛藤する漫画編集者・町田のぞみ役でMEGUMIが共演。MEGUMIは本作のプロデューサーも兼任している。
映画化の発表にあわせて、原作者の浅野による描き下ろしイラストも公開された。(編集部・大内啓輔)
コメント全文
・斎藤工(深澤薫 役)
私の中で「零落」は浅野作品の中でも特別な位置付けにある作品。
浅野いにおさん自身の根幹部分に最も近付けた様な気がするからだと思います。
浅野作品が何故こうまでも内臓に響くのか、その理由の様な“苦しみの原動力”が赤裸々に描かれている。
映画『零落』は、その得体の知れない人間の業、感情に、生身の人間達が挑んだ記録なのかも知れません。
竹中組の皆で『零落』に向かい、作り上げる中、深澤と言う概念は、全ての人の中に“心当たり”がある気もしました。
この感覚は竹中監督の『無能の人』を観た時に近いのかも知れません。
無条件で己の奥にあるモノを引っ張り出されると言うか。
映画館は未知の世界と出逢える夢の場所であると同時に、目を逸らし続けて来た現実と、自分自身と対峙する場所なのだと、試写を観て思いました。
これはあなたの物語なのかも知れません。
劇場で味わって頂けたら幸いです。
・趣里(ちふゆ 役)
いにお先生の描く世界の中で、ちふゆとして生きられたこと、本当に嬉しく、光栄でした。ちふゆは今どこでなにをしているのか、撮影が終わった今でも想像してしまうほど、濃密で、素敵な時間でした。その一瞬一瞬が、悲しいけれど、美しく、自分以外の誰にもわかってもらえないことに寄り添ってくれている、そんな感覚になりました。素晴らしいキャスト、スタッフの皆様と紡いだ「零落」、参加することができてとても幸せでした。楽しみにしていただけたら嬉しいです。
・MEGUMI(町田のぞみ 役)
若い時に描いた自分とは明らかな違い。
少しづつ堕ちていく感覚。
複雑すぎる日々。
大人の思春期に真っ直ぐ向き合った今作が、観た方の日々をそっと照らします様に。
・竹中直人(監督)
とある日、本屋さんに立ち寄るとひとりの少女に出会った。
その少女はじっとこちらを見つめてる。その少女をそっと手に取った。
少女から目を逸らすと「零落」という文字が浮かび上がった。「れ・い・ら・く」その言葉が思わず口を衝いて出る。そして……原作がなんと【浅野いにお】!その文字に脳が震える!
一枚、一枚ゆっくりとページをめくってゆく……
どれくらいの時間が経ったのか最後のページを閉じた時、「……映画にしたい……!『零落』を絶対に映画にしたい!」と心が叫んでいた。
浅野いにおが描いた「零落」を絶対に映画にする!それだけの思いでぼくは一気に走り出した! うおー!!!