『月の満ち欠け』目黒蓮は「口をきかず役に没頭」 廣木監督、撮影現場の様子明かす
第35回東京国際映画祭
現在開催中の第35回東京国際映画祭で、佐藤正午のベストセラー小説を大泉洋、有村架純、目黒蓮(Snow Man)、柴咲コウらを迎えて映画化する『月の満ち欠け』(12月2日公開)が29日に有楽町よみうりホールで上映され、監督の廣木隆一がティーチインイベントに登壇。キャストに関する話題のなかで、ドラマ「silent」も話題の目黒蓮の魅力に触れた。
第157回直木賞を受賞し、累計発行部数56万部を超える同名小説を映画化する本作。愛する妻子を亡くした小山内と、27年前に許されざる恋をした三角という無関係に思われた二人の人生が、“瑠璃”という名の女性の存在で交錯していく。主人公・小山内堅(おさない・つよし)に大泉洋、小山内の娘と同じ名前を持つ謎の女性、正木瑠璃(まさき・るり)に有村架純、正木瑠璃と恋に落ちる大学生・三角哲彦(みすみ・あきひこ)に目黒蓮、小山内の妻・梢(こずえ)に柴咲コウがふんする。
廣木監督は“生まれ変わり”をテーマにした原作を映画化することに「佐藤さんの原作は、話や人間模様が非常に入り組んでいるので、映画化をするのは大変だと思ったが、これまでも複雑な原作を映画にするという挑戦をしてきているので、本作も人間関係をすっきり出来れば成り立つと思いました。僕自身生まれ変わりを心のどこかで信じている気持ちがあって、親戚の子どもが産まれたりすると『もしかしたら…』と思うこともありました。そんなファンタジーだけどリアルさもあるような感じに作りました」と、その苦労とこだわりを語る。
キャストについては主演の大泉が初めに決まっていたと言い、「大泉さんの役は唯一観客と同じような視点で、等身大のお父さん。とてもリアルに演じてくださっているので、映画が観やすくなったと思います」と賛辞を送ると、目黒の撮影現場の様子にも言及。「彼は現場では自分のキャラクターを守るようにあまり口をきかず、役に没頭していました。良い役者さんです。堅の元を三角が訪ねて来るシーンはとても緊張感があって、大泉さんの芝居で目黒さんの良いところが引き出されていてとても助かりました。大泉さんとの共演は彼にとってとても良い経験になったと思います」と振り返った。
Q&Aコーナーでは観客から有村と目黒の共演シーンにまつわる質問が挙がり、廣木監督は「三角が瑠璃を撮影するシーンで惹かれ合う2人の関係性が近くなっていくんですが、2人ともとても自然に芝居していて印象的でした」と語った。
ディテールに関する質問も多く、瑠璃が小津安二郎監督の『東京暮色』を観るシーンは「瑠璃の心境がシンクロしている映画で何をかけようかとなった時に、僕の大好きな小津を引用しました」とのこと。また、本作の重要なランドマークとなっている高田馬場駅前を再現した撮影セットについては「茨城県筑西市にある運動公園の駐車場の場所を借りて高田馬場を再現しました。風景は全てCGです。今行っても見れないです! この映画の中だけ(笑)」と明かした。(編集部・石井百合子)