【ネタバレ】「相棒」都市伝説からまさかの悲劇へ ネットで意見飛び交う「やりきれない事件」
14日、ドラマ「相棒season21」(テレビ朝日系)の第9話「丑三つのキョウコ」が放送された。殺人現場の近くで話題になっていた、都市伝説のキョウコが目撃された動画でネットが沸騰するというのが物語の導入部。特命係の杉下右京(水谷豊)と亀山薫(寺脇康文)は丹念な捜査で真相に辿りつくも、そこには一人の引きこもりの女性の悲劇があった。ネットを扱った内容だけに、SNS上でも「証人欲求問題は重い」「やりきれない事件だ」「最後に扉が開いたな」とさまざまな意見が飛び交っている。(以下、ネタバレを含みます)
右京は、社会心理学者で都市伝説の研究家だという大村(佐藤銀平)と共に、事件現場で録画されたキョウコの動画は偽物だと主張する男・松田(寺山武志)に会った。彼は同時刻に別の場所で血だらけの女を目撃したのだという。
一方、殺された河上が代表をつとめていたフリースクールは、親から法外な金を巻き上げたうえで、引きこもりの子どもをケアせずに返す悪辣な商売をしていた。被害にあった加奈(江田友莉亜)はどこかキョウコを思わせる外見。彼女に会いに行った右京と薫は、元担任教師だったという足立(廣川三憲)が生活の世話をしていることを知る。
大村が殺され、キョウコが犯行に及んでいる動画が松田によってアップされるも、それは松田の捏造だった。実は大村に情報伝達の研究をしており、松田とグル。過去の捏造をバラすと言われたことで、松田が大村を殺したのだ。承認欲求と自己顕示欲による犯行に、右京は冷たい怒りを見せる。
河上も足立の教え子だった。せめて加奈に金を返せと河上のもとに押しかけた足立が、もみ合った末に足立の出したナイフで彼を刺し殺してしまっていた。加奈はそれを知り、足立をかばうためにキョウコのふりをして深夜にこっそり歩き回っていた。
部屋にこもる加奈に薫は、「特命係の素敵なおじさまふたりに連絡して。警視庁見学ツアーのガイドやっちゃう。俺たち暇だから。待ってるよ」と語りかける。薫の優しさがにじみ出る温かいラストだったが、右京にとっては都市伝説が単なる噂だったことは少し残念だったかもしれない。実は右京の不思議現象好きはファンの間では有名。「科学が森羅万象を説明できると考えるほうが、よっぽどバカげていると思いますよ」という右京らしいスタンスで、幽霊や超能力に興味津々なのだ。
それが最初にわかったのは、season3最終話「異形の寺」で、薫が幽霊を見たときだ。薫は霊感があるようで、それ以前にも幽霊を見たことがあり、右京はやたら羨ましがっていた。薫がサルウィンに行っていた間も、右京は超能力や神隠し、呪詛や事故物件などの不思議案件に「一度は見てみたい」と首を突っ込んでは空振りばかり。自分は「縁がない」としょんぼりする右京だったが、実は一度だけ、本物の幽霊の少女と会い、会話をしたことがある。本人は気づかないままだったところが、「相棒」のユーモア感だろう。今回も冒頭、キョウコの画像に目をキラキラと輝かせ、こういうのが好きかと問う薫に「ちょっと好きですね」と答えていた右京。その好奇心と、何事もフラットに受け取る姿勢が、右京の抜群の推理力の源なのかもしれない。(文・早川あゆみ)