見逃せない2023年注目の邦画10選
『ONE PIECE FILM RED』『すずめの戸締まり』『THE FIRST SLAM DUNK』など特大ヒットが相次いだ2022年の邦画。アニメの勢いはますます加速するのか? あるいは例年以上に大作・話題作も多い実写作品が巻き返すのか? 2023年に公開される邦画のトップ注目作、10本を厳選して紹介する。(文・斉藤博昭)
【動画】実写東リベ“血ハロ編”の特報が公開!『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -運命-&-決戦-』特報
『レジェンド&バタフライ』1月27日公開
木村拓哉が織田信長を演じ、総製作費は日本映画として破格の20億円。2022年、「岐阜市産業・農業祭~ぎふ信長まつり~」でのキムタクの騎馬武者行列も大きくニュースに取り上げられるなど、公開前から話題を集めている。信長の武将としての成長はもちろんのこと、綾瀬はるかが演じる正室・濃姫(別名・帰蝶)との知られざるドラマにもフォーカス。壮絶なアクションやスケール感満点の映像美だけでなく、ラブストーリーとして幅広い観客層にアピールしそう。監督は『るろうに剣心』シリーズなどの大友啓史と、キャスト&スタッフともに最高の組み合わせが実現した。
『シン・仮面ライダー』3月公開
「ゴジラ」「ウルトラマン」に続き、国民的人気キャラクターに「シン」を冠した新たな映画化。池松壮亮が演じる仮面ライダー/本郷猛が、秘密結社SHOCKERと戦う。テーマは「孤高」「信頼」「継承」ということでドラマチックな展開も予感。浜辺美波のヒロイン、柄本佑の仮面ライダー第2号との関係など、詳細が明らかになっていない物語にファンの想像もふくらむ。監督・脚本は庵野秀明。『シン・ゴジラ』が興行収入82.5億円、『シン・ウルトラマン』が同44.4億円、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』が同102.8億円と、庵野が関わってきた「シン」作品は大ヒットしているので、数字も注目だ。(数字は興行通信社調べ)
『名探偵コナン 黒鉄の魚影(くろがねのサブマリン)』4月14日公開
ほぼ年に1本のペースで公開される劇場版は毎回、大ヒットを記録。日本映画でも最強と呼んでもいいシリーズ。その26作目は、東京の八丈島近海で物語がスタートする。世界中の警察の防犯カメラをつなぐシステムを稼働させるために、各国のエンジニアが集結。八丈島を訪れていたコナンが、エンジニアの誘拐事件に巻き込まれていく。海洋施設「パシフィック・ブイ」で開発される驚異の新テクノロジー、欧州の警察組織・ユーロポールも絡む攻防など、今回も見どころがぎっしり。1月6日に劇場公開されるテレビシリーズの特別編集版『名探偵コナン 灰原哀物語~黒鉄(くろがね)のミステリートレイン~』の最後には、本作へのヒントになる映像も収められ、公開までのテンションを高めてくれる。
『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -運命-』ゴールデンウィーク公開 『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -決戦-』夏公開
大人気コミックの待望の実写映画版『東京リベンジャーズ』は、2021年、洋画も含めた劇場用実写映画でナンバーワンのヒットを記録。この続編『血のハロウィン編』は原作の4~8巻にあたり、アニメ版でも人気を呼んだ“もっとも泣ける”エピソード。ボリュームのあるストーリーなので2部作で公開される。巨悪組織・東京卍會に元カノのヒナタが殺されたことで、主人公・タケミチが過去に戻って悲しい事件に向き合う物語。タケミチの北村匠海、ヒナタの今田美桜のほか、山田裕貴、吉沢亮ら主要キャストは続投。今回、原作でも人気のキャラ(馬地圭介、羽宮一虎、松野千冬)が新登場し、誰が演じるのかキャストの発表も待たれる。
『怪物』6月2日公開
前々作『真実』はフランスで、そして前作『ベイビー・ブローカー』は韓国で撮った是枝裕和監督が、日本に戻って映画製作を行った新作。自身で脚本も手掛けることが多い是枝監督だが、今回は『花束みたいな恋をした』やドラマ「カルテット」などで知られる坂元裕二の脚本を映画化する。以前からお互いをリスペクトしてきた両者の顔合わせとあって、傑作の予感が漂う。森の中を走る子供たちの「怪物、誰だ?」という声に、パトカーの音が重なる予告編から、社会問題のテーマや、サスペンス色もある深い人間ドラマが予想されるが、ストーリーの詳細は明らかになっていない。公開時期からカンヌ国際映画祭への出品も狙っていそう。
『君たちはどう生きるか』7月14日公開
2013年の『風立ちぬ』以来、10年ぶりとなる宮崎駿の長編監督作ということで、日本はもちろん世界中から注目が集まっている。タイトルは宮崎監督が少年時代に読んで感動した吉野源三郎の小説と同じだが、その直接の映画化というわけではなく、物語はオリジナルの冒険活劇ファンタジー。昨年末に公開されたポスタービジュアルは、鳥のくちばしの中から目がのぞいており、物語へのイマジネーションがふくらむ。宮崎駿監督も今年82歳。引退宣言を撤回し、原作・脚本にも携わった新作ということで、キャリアの集大成になるのは間違いない。
『ゴジラ最新作(タイトル未定)』11月3日公開
2024年はゴジラが誕生(第1作『ゴジラ』公開)して70年。その前年ということで、『シン・ゴジラ』に続く、日本のゴジラ作品、記念すべき30作目が公開される。監督は日本映画が誇るVFXのカリスマ、山崎貴。もともとゴジラの大ファンで、これまでも『ALWAYS 続・三丁目の夕日』の冒頭でゴジラを登場させ、西武園ゆうえんち(埼玉県所沢市)のゴジラのアトラクション「ゴジラ・ザ・ライド」で監修を務めてきた山崎監督だけあって、その“ゴジラ愛”と空前のVFXを融合させ、力作に導く。公開日も1954年の『ゴジラ』と同じ11月3日とあって、盛り上がりをみせそうだ。
『ミステリと言う勿れ』2023年秋公開
2023年も人気ドラマの映画化が目立つ。2022年の1月クール、フジテレビ系の月9枠(毎週月曜夜9時~)で放映され、人気を博した本作もそのひとつ。天然パーマでカレーが大好きな大学生、久能整(くのう・ととのう) がさまざまな難事件を解き明かすミステリー。従来の謎解きとは違うアプローチの整の能力、独特のテンポの会話で進むドラマ、そして整役、菅田将暉の新境地の演技もあって高視聴率を記録。放送直後からの見逃し配信では当時の民放歴代トップも記録した。映画版では当然、事件のスケールもアップするだろうし、豪華なキャストに期待できる。
『ヴィレッジ』2023年公開
薪能(たきぎのう)が伝統として受け継がれる小さな村を舞台に、ある事件によって人々の運命が大きく動いていく。貧困や格差社会、自分本位の思想、若者たちの絶望感など、日本社会の「闇」を浮き彫りにする衝撃のサスペンスドラマ。『新聞記者』や『余命10年』など多彩なジャンルを極める藤井道人監督が、5度目のタッグとなる横浜流星を主演に起用。ゴミ処理施設で不法行為にも手を染める青年役で、その渾身の演技はキャリアのひとつの頂点になる可能性も。2023年も原作モノやシリーズの話題作が多いなか、オリジナルのストーリーとして異彩を放つ一本になるはず。
『翔んで埼玉Part II(仮題)』2023年公開
「パタリロ!」などで知られる魔夜峰央のコミックを原作に、2019年に公開された前作が、まさかの大ヒット。埼玉県をディスる内容ながら、むしろ埼玉県民に愛されるという“逆転”の社会現象を起こした。もちろん続編が期待され、2021年に製作が決定。撮影が始まるも、主要キャスト、GACKTの体調不良により一時中断。およそ1年の休止を経て、ようやく撮影再開となって公開を迎える。ダブル主演の二階堂ふみとGACKTの暴走的なやり取りがどうアップデートされるのか。強力なインパクトの共演陣も集結し、他の映画とはまったく違う茶番劇エンタメが、またも一大ブームを起こす!?