パク・ソダム『パラサイト』子役の急成長に感激　激闘カーアクション映画で守る側に！

　第92回アカデミー賞で4冠に輝くなど、世界的な評価を得た韓国映画『パラサイト　半地下の家族』。出演者の中でとりわけ観客にインパクトを与えたのが、半地下の家に住む貧しい家族の娘・ギジョンを演じたパク・ソダムだろう。彼女にとって、同作での経験は何ものにも代え難い貴重なものだったという。主演作『パーフェクト・ドライバー／成功確率100％の女』（1月20日公開）の日本公開を控えた彼女が、そのなかでも大きかったという、ソン・ガンホをはじめとする共演者たちとの絆を語った。（取材・文：大山くまお）

【動画】『パラサイト』子役と再共演！『パーフェクト・ドライバー』予告編

　「（ポン・ジュノ）監督をはじめ、共演者の方たちには感謝しきれません。私は共演者の中でほぼ末っ子でしたが、共演者のお兄さん、お姉さんたちは本当に心強かったです。俳優パク・ソダムとしても、人間パク・ソダムとしても、“この人たちがいてくれれば大丈夫”と思えるぐらい頼もしく感じました。これから何か困ったことがあったら、いつでも気軽に電話できるような人生の先輩がたくさんできて、私は本当にありがたいとことだと思っています」

　パク・ソダムが凄腕の女運び屋・ウナを演じる『パーフェクト・ドライバー』は、彼女にとって、単独での長編初主演作となる。オファーがあったときは大きなプレッシャーを感じ、「シナリオのページをめくるたびにウナ、ウナと出てくるので、私がこの作品を引っ張っていけるのか心配になりました」と振り返る。ここでも大きな助けになったのは先輩共演者たちだった。

　「台本読みのとき、女性は私ひとりで本当に緊張しました。そのとき、上司役のキム・ウィソンさんに、“あなたがウナを演じられるようにちゃんと支えるから何の心配もいらないよ”と声をかけていただいたんです。撮影中もスタッフやキャストのみなさんが“ウナ”と呼んでくれて、本当にやりやすかったです。心配していたのが嘘みたいに自信を持って演技やアクションに取り組むことができました」

　ワケありの荷物を必ず送り届ける“特送”を行うウナは、事件に巻き込まれて違法賭博の元締めチョ・ギョンビル（ソン・セビョク）から命を狙われる。ウナは天才的なドライビングテクニックを誇るが、特別な戦闘訓練を受けているわけではないので、必然的に追手とのアクションは痛みのともなう壮絶なものとなる。

　数か月のトレーニングを積んだ上で撮影に臨んだパク・ソダムだが、撮影現場もハードだった模様で両手両足があざだらけになったという。だが、本人は「まわりの人たちが『君の体は鋼鉄でできてるのか？』と言うぐらい、楽しみながらアクションの撮影に没頭していました」とまったく平気だった様子。激しいカーアクションが冒頭からクライマックスまでふんだんに盛り込まれていたため、「撮影が終わった後は運転が怖くなくなりました」とのこと。「もちろん、危険なシーンはプロのドライバーの方にお任せしています。プライベートの運転ではドリフトなんてしませんから安心してください（笑）」。

　本作で話題になのが、ウナが命がけで守ろうとする少年・ソウォン役に、『パラサイト』で美術教師と教え子として共演した子役のチョン・ヒョンジュンがキャスティングされていることだ。実はこのキャスティングはまったく偶然だった。

　「この作品のキャスティングは『パラサイト』の配役がオープンになる前に行われました。だから、（パク・デミン）監督も不思議がっていましたし、私もヒョンジュンくんも再会したときは『こんなご縁ってあるんだね！』と言い合っていました」

　『パラサイト』の撮影時はまだ幼児だったが、本作の撮影時はすっかり大きくなっていたチョン・ヒョンジュン。パク・ソダムは彼の成長ぶりをもっとも間近で感じていた。

　「今回、水中のシーンがあったのですが、私は他の作品で大変な思いをしたことがあって怖さを感じていました。そのとき、ヒョンジュンくんが先に水の中に入って、『ウナさん、早く入ってきてよ！』と緊張をほぐしてくれたんです。深夜の撮影が続いてみんなが疲れているときは、子どもだから大人より疲れているはずなのにラップやダンスを披露してみんなを和ませてくれることもありました。本当に私に懐いてくれて、私のことが大好きすぎてスタッフさんにからかわれるくらいだったんですよ。これからどんな俳優になっていくか楽しみですね」

　注目してほしいシーンとして、「ネタバレになっちゃうけど……」と前置きしながらクライマックスのアクションを挙げたパク・ソダム。これまで1人で生きてきたウナが、あることをきっかけに他人のために戦うことを決意するシーンだ。激しいアクションの中でウナの感情がスパークする瞬間に注目したい。

　「ぜひ楽しんで観てください。私自身、パート2をとても楽しみにしています」と充実した表情で語るパク・ソダム。新しいアクションヒロイン誕生の瞬間は必見だ。