綾瀬はるか、木村拓哉のスイッチを入れた迫真演技「さすがだな…」

　木村拓哉と綾瀬はるかが27日、丸の内TOEIで行われた映画『レジェンド＆バタフライ』の初日舞台あいさつに来場し、木村が「綾瀬はるかという俳優はさすがだな」と感心した様子を見せる一幕があった。この日は共演者の宮沢氷魚、市川染五郎、伊藤英明、中谷美紀、大友啓史監督も来場した。

【写真】木村拓哉、綾瀬はるか、宮沢氷魚ら登場！初日舞台あいさつの様子

　東映70周年記念作品となる本作は、信長と謎に包まれた濃姫の知られざる物語を描く時代劇。尾張の“大うつけ”と呼ばれた若き日の信長が、尾張国と敵対する美濃国の濃姫との政略結婚を経て天下統一を目指す姿が描かれる。脚本を『コンフィデンスマンJP』シリーズなどの古沢良太が担当した。

　ステージに登壇した綾瀬は、初日を迎えて「無事にこの日を迎えられて、嬉しさと少し寂しさが相まっていますが、やっと観ていただける日が迎えられたこと、とてもうれしく思います」と晴れやかにあいさつ。

　そして「思い出に残っているのは（戦を躊躇している）信長さまを鼓舞していくところ。各務野（中谷）さまの『尾張は終わりじゃ』というダジャレからの、殿のところに向かって『情けない』というくだりで、とても長いシーンで。監督はけっこう長めに撮るので、すごい緊張感のある1日でした」と振り返る。

　一方、信長を演じた木村は監督やキャストとともに、歴史として伝わっている事実の隙間を埋める作業を行っていたこと、台本に書かれていないことを埋める作業も行っていたのだという。そのうえで、綾瀬ふんする濃姫が「半分人質、半分嫁入り」という立場で、信長と婚礼の儀を交わすシーンについて「綾瀬はるかという俳優がさすがだなと思ったのは、自分の杯に注がれたおとそ、お祝いの席で飲むお酒を、なんのためらいもなく口に運んで飲んだんですよ」と絶賛。

　「要は、そこで毒を盛られていたら命がないはずなんですけど、濃姫として一歩も下がることなく、躊躇もなく口に運んだ濃姫を目の当たりにした瞬間に、信長をやらせていただいていた自分もスイッチが入りました。そういう台本にも書かれていないコミュニケーションというものが、実は作品の中に散りばめられています。僕らが現場で作りあげたお宝を探していただけたら」

　また、濃姫に仕える福富平太郎貞家を演じた伊藤は「婚礼の儀のシーンでは、何人もの行列の先頭に立ち、岐阜のプライドと誇りをかけて尾張に入る。政略結婚の人質というのは命に係わることですが、綾瀬さんはたくましく立派で可憐。癒やしと喜びと幸せを与える。そして信長さまは兵に士気を与え、家を守るために命をかける。お二人が今まで積み重ねてきたキャリア、人生観が背景に見える感じで、ここまでやってこられたのは……」と切々と語るうちにこみ上げてくるものがあった様子。

　思わず涙ぐみ、鼻をすすりはじめた伊藤は「そういう後世に残る映画の舞台あいさつができたということは、僕の俳優としてのキャリアの中でも忘れられないものになりました」と感無量の面持ち。司会者から「伊藤さんにとっての集大成的なあいさつになったんですね」とフォローを入れられると、伊藤は「僕はいつも話が長いと怒られて。途中でやめて何がなんだか分からなくなって……」とコメントの着地点が見えなくなってきた様子を見せたが、すかさず木村が「オッケー！」と一言。その一部始終を見ていた観客の笑いを誘った。（取材・文：壬生智裕）

映画『レジェンド＆バタフライ』は全国公開中