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「舞いあがれ!」悠人の思わぬ転落劇…横山裕の役者としての深み

(C) NHK

 現在放送中の連続テレビ小説「舞いあがれ!」が第19週に突入。投資家として活躍していた悠人をめぐって大きなトラブルが発生する怒とうの展開が描かれるなか、横山裕の熱演が光った。そんな悠人を確かな演技力で演じる横山の俳優としての魅力や、撮影中の裏話などについて、制作統括を務める熊野律時チーフ・プロデューサーが語った。

横山裕「舞いあがれ!」で20代も違和感なし!

 連続テレビ小説の107作目となる「舞いあがれ!」は、1990年代から現在を舞台に、岩倉舞が大空に舞いあがるという夢に向かっていく姿を描く物語。ものづくりの町である東大阪や自然豊かな五島列島でさまざまな人との絆を育んだ舞が、空への憧れを形にしていく。

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 悠人のインサイダー疑惑が発覚し、大きなニュースになってしまうところから物語が始まった第19週。舞や母のめぐみ(永作博美)だけではなく、舞の親友である久留美(山下美月)やその父である佳晴(松尾諭)、さらにはIWAKURAの従業員も巻き込んで大きなトラブルに発展することになった。

 IWAKURAにも報道陣が押しかけ、舞やめぐみは騒動の対応に追われるが、肝心の悠人とは連絡を取ることができない。そんななか、渦中の悠人は雨の中、公園で倒れているところを佳晴に発見される。意識を取り戻し、久々に実家に戻った悠人は、舞やめぐみと家族の時間を過ごすうちに閉ざしていた心を開く。

 制作統括の熊野は、家族と度々対立し、思わぬ人生の転落を経験する悠人のキャラクターについて「出てくる言葉はたいていドライで、彼なりの考えもあるのですが、それは舞や浩太(高橋克典)、めぐみとは違っていて、常にぶつかり合いやすれ違いを生んでしまう。でも、その根底には家族への想いがきっちりとある人で、不器用さの中にも愛情が滲み出るんです」と分析。そのうえで横山について「その悠人の繊細なところをしっかり演じていただいた」と絶賛する。

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 「悠人が抱える、家族とのわかり合えない切なさや苦しみなどをきちんと表現してもらえた。悠人は表現するのが難しいキャラクターで、横山さんじゃないとここまで深みのある役にはならなかった。悠人を理想的な形で具体的なものとして表現していただき、台本があるとはいえ、横山さんが作り上げてくれたキャラクターだと思っています」

 さらに熊野は、舞と悠人の兄妹関係も、福原と横山の役づくりにおける信頼関係が大きく影響していると指摘する。「悠人は優しさが伝わりづらいところがあるんですけど、横山さん自体はすごく優しい方。福原さんのことも気遣っていて、『朝ドラでヒロインをやるのは大変だから気になること、悩んでいるとことがあったらいつでも声をかけて』と声をかけたと聞いています」と撮影中の素顔を紹介。「悠人はお母さんの電話には出ないけど舞の電話には必ず出る。表面上は違うけど、根っこの部分は仲が良いという屈折した兄妹関係。横山さんと福原さんがお互いの関係性を踏まえた上でうまく表現していただいているのかなと思います」と説明する。

 さらに、行き詰まって投資家としての禁じ手にすがってしまった悠人の転落劇を台本に入れ込んだ意図については「このドラマはいろんな登場人物を通じて、うまくいくこともあるし、うまくいかないこともある、ということを描いているんです」と狙いを明かす。

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 「舞や久留美についてもそう。悠人も失敗があってそこからどう立ち直っていくのか、そこで立ち上がるときに誰が悠人を支えるのか、そういうことが大事だなと思っているんです。悠人はリーマンショックはうまく切り抜けて、ピンチになったIWAKURAを助けたりもするんですが、父親との関係がうまくいかなかったり、今回のように投資から犯罪に手を染め、自分の人生を踏み外してしまう。悠人にとって、自分は何なのか、家族とは何なのかを見つめ直すきっかけがこの事件です」

 そんな悠人の今後も気になるところ。熊野は「ここから悠人がどう変わっていくのかをしっかりと描くことが大事。そこからどう前に進んでいくのかをきちんと描きたい。そこを視聴者の皆さんにも楽しみにしていてほしいです」と思いを述べる。(取材・文:名鹿祥史)

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