早世した偉才青山真治監督の特集上映を仙台で開催
2022年3月21日に逝去した青山真治監督(享年57歳)の一周忌を控え、宮城の公共文化複合施設・せんだいメディアテークで「青山真治監督特集in仙台2023」が2月25日、26日に開催される。同館が特集上映企画を主催するのは、2021年2月の「ポルトガル映画祭-マノエル・ド・オリヴェイラとポルトガル映画の巨匠たち」以来で、東日本大震災後初めてとなる。
本特集は、せんだいメディアテークと仙台短篇映画祭実行委員会が主催。青山監督は同館で2001年から開催している仙台短篇映画祭のコンペティション部門で審査員を務めたり、メガホンを取った音楽批評家・間章のドキュメンタリー映画『AA』(2006)を仙台の音楽祭、定禅寺ストリートジャズフェスティバルで上映するなど仙台とのゆかりも深く、親交のあった関係者が中心となり、青山監督の軌跡を振り返る場を設けたという。
上映作品は第53回カンヌ国際映画祭で国際映画批評家連盟賞とエキュメニカル審査員賞(キリスト教関連の団体から贈られる賞)を受賞した『EUREKA ユリイカ』(2000)の爆音上映や、ベルリン国際映画祭で上映された『私立探偵濱マイク 名前のない森[映画版]』(2002)など5プログラムで9作品。
中でも、映画監督・作家・音楽家など多彩な活動をしていた青山監督のもう一つの顔が教育者としての側面で、2012年~2015年には多摩美術大学造形表現学部映像演劇学科の教授を務めた。その在任中、学生や教員たちと制作した「FUGAKU」シリーズもラインナップ。青山監督の教え子で、映画監督やバンド・Bialystocksのボーカルとしても注目されている甫木元空がゲスト登壇する。
また本特集に合わせて、フォーラム仙台では『Helpless』(1996)ほか青山監督の劇場長編作品7作と、甫木元監督『はだかのゆめ』(2022)を2月24日から上映する。青山監督の追悼上映は昨年の第44回ぴあフィルムフェスティバルや第35回東京国際映画祭など各地で行われており、早世した偉才の喪失の大きさを実感するとともに、青山監督が日本映画界に遺したものを考察する機会となりそうだ。(取材・文:中山治美)
「青山真治監督特集in仙台2023」は宮城・せんだいメディアテーク 7階スタジオシアターで2月25日、26日に開催