「舞いあがれ!」舞と貴司がついに…福原遥と赤楚衛二が作り上げたクライマックスの舞台裏
連続テレビ小説「舞いあがれ!」の第20週が現在放送中。ヒロインの舞(福原遥)と幼なじみの梅津貴司(赤楚衛二)がお互いの気持ちを伝えあい、ついに結ばれた。福原と赤楚の撮影中の裏話や、劇中での二人が関係性を変化させていく過程を演出するために桑原亮子(脚本)が登場させたキャラクターなどについて、制作統括を務める熊野律時チーフ・プロデューサーが舞台裏を明かした。
連続テレビ小説の第107作となる「舞いあがれ!」は、ものづくりの町・東大阪や五島列島でさまざまな人との絆を深めた舞が、空への夢に向かっていく姿を描く物語。前週、貴司の短歌に魅せられて古本屋・デラシネを訪ねた秋月史子(八木莉可子)が新たに登場し、これを機に舞と貴司の気持ちにも変化が生まれた。これまで貴司とは「ただの幼なじみ」と事あるごとに口にしていた舞だが、自分にとって貴司が本当はどのような存在なのか、改めて向き合うことになった。
第20週で熱い視線を集めたのは、舞と貴司がそれまでの距離感を一気に縮め、幼なじみから関係性を変えていく過程だった。熊野は「ここまで積み上げてきた舞と貴司の関係が近づくなか、二人が先に進むことを何がためらわせているのか、そういう展開の末に結ばれる。その過程を5日かけて見せています」と説明。さらに「短歌も重要な意味を持ってきます。史子や編集者のリュー北條(川島潤哉)とのやりとりを経て、二人が本当の気持ちを伝え合う。じっくり楽しんでもらいたいです」と自信をのぞかせる。
貴司は歌集を出すための宿題である「新しい短歌を10首」に難航し、苦悩する。そんな貴司にリュー北條は「心の中を隠さず、思いをさらけ出す」ことを進言。舞もまた、かつて貴司から送られてきた短歌にもう一度目を止め、貴司への思いを再確認し、短歌を通じたやりとりが心境を変化させる重要なファクターとなる。「二人がもう一段、踏み込んでいくなかでどういう要素があればいいか、桑原さんから、貴司の短歌に魅せられてやってくる史子やリュー北條のアイデアが出てきました。貴司と舞が自分たちの抑えこんでいた思いを伝え合っていくなか、この二人がこの週でとても重要な役割を果たすんです」と話す。
短歌に秘められた思いという“慎み深い”演出の妙。熊野は演じた赤楚についても絶賛を惜しまない。「静かなたたずまいの中に秘めた思いを滲ませる演じ方で、赤楚さんが貴司という役にシンクロするような感じ。赤楚さんが貴司に見えてくるようなところまで役を深めて演じていただいた。貴司が舞に対して『好き』という感情を超えて、幼なじみとして大切に思っていることを十分に伝えながら、二人がこの先どうなっていくのか。視聴者の想像する先を、眼差しなどのちょっとしたやりとりや佇まいで、じわじわと表現していただきました」
また、福原と赤楚の撮影現場での相性も、舞と貴司の魅力に反映されているという。「本当に仲良く、楽しく撮影されています。お互いにリラックスしながら、二人の中にある穏やかな、のんびりとした波長がすごくぴったり合っている。スタジオでも楽しそうに声を掛け合ったり、微笑ましくも、お芝居ではまさに息ぴったりという感じです」
二人の変化がじっくりと丁寧に描かれた第20週。そのクライマックスは舞が貴司への思いを公園で伝える場面だ。熊野は「今までのいろんなことが二人の中に改めて湧き上がってきて、抱きしめ合う。ここまで積み上げてきた二人の関係がそこで結びつく。公園でお互い見つめ合い、やっとちゃんと自分の気持ちが言えるという……。それを赤楚さんと福原さんが互いにきちんと理解し、味わって演じていただいたように思います」と感慨深げに振り返った。(取材・文:名鹿祥史)