キー・ホイ・クァン、これぞアメリカンドリーム！オスカー初受賞に涙【スピーチ全文】
第95回アカデミー賞
現地時間12日、第95回アカデミー賞授賞式が米ロサンゼルスのドルビー・シアターで行われ、映画『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』のキー・ホイ・クァンが助演男優賞を初受賞した。1980年代に『インディ・ジョーンズ／魔宮の伝説』『グーニーズ』の人気子役として一世を風靡し、本作で完全復活を果たしたクァンは、オスカー像を手にすると、涙を浮かべながら家族や共演者に対して感謝の言葉を述べた。
『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』は、破産寸前のコインランドリーを経営する主人公エヴリン（ミシェル・ヨー）が、突如として人類の救世主として覚醒し、並行世界（マルチバース）の自分の力を利用して闘いに挑むSFアクション。クァンが演じたのは、エヴリンを献身的に支える夫・ウェイモンドで、ウエストポーチを武器にした激しいアクションでも観客を魅了した。
1980年代当時のハリウッドでは、アジア系俳優に与えられる機会は少なく、一度は俳優業を諦める選択を下したクァン。それから40年後、オーディションで本作出演の切符を勝ち取り、役者として見事復活を果たした。プレゼンターのトロイ・コッツァーからオスカー像を受け取ると、自宅で授賞式を視聴している母親に「たった今オスカーを獲ったよ！」と涙ながらに報告。「夢は信じるものです。私は諦めかけた時もあります。どうか、夢を持ち続けてください」と訴えかけていた。クァンの受賞スピーチ全文は以下の通り。（編集部・倉本拓弥）
キー・ホイ・クァン受賞スピーチ
オー・マイ・ゴッド。ありがとうございます。私の母親は84歳で、自宅から授賞式を見守っています。お母さん、たった今オスカーを獲ったよ！ 私の旅はボートで始まりました。難民キャンプで何年か過ごしたこともありましたが、今私はハリウッドの大舞台に立っています。こうした物語は映画の中でしか起こらないと言われていますが、まさか自分自身に起こるとは、信じられません。これぞ、アメリカンドリームです。名誉ある賞をお贈りいただいたアカデミー、私をここまで辿り着かせるため、数多くの犠牲を払ってくれた母親に感謝しています。弟のデヴィッドは、私のことを心配して毎日電話してくれました。弟へ、愛しているよ。
A24をはじめ、（監督の）ダニエルズ、（プロデューサーの）ジョナサン・ワン、ミシェル（・ヨー）、ジェイミー（・リー・カーティス）、『グーニーズ』で共演したジェフ・B・コーエンにも感謝を伝えたいです。私がここにいるのは、人生の全てである妻・エコーのおかげです。20年間、私に「いつかあなたの時代がきます」と伝え続けてくれました。夢は信じるものです。私は諦めかけた時もあります。どうか、夢を信じ続けてください。
第95回アカデミー賞授賞式は、3月13日（月）午前7時30分よりWOWOWプライム、WOWOWオンデマンドにて放送・配信中（午後10時より字幕版放送・配信）