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善意のはずが…関水渚、「どうする家康」反響呼んだ田鶴は「本気で愛せる役」

第11回「信玄との密約」より関水渚演じる田鶴
第11回「信玄との密約」より関水渚演じる田鶴 - (C)NHK

 大河ドラマ「どうする家康」(毎週日曜、NHK総合夜8時~ほか)で、松本潤ふんする主人公・徳川家康の正室・瀬名(有村架純)の幼なじみ・田鶴(たづ)役として、大河ドラマ初出演を果たした関水渚。関水と言えば、脚本を担当した古沢良太の代表作の一つであるドラマ「コンフィデンスマンJP」シリーズの劇場版『コンフィデンスマンJP プリンセス編』で、主人公ダー子(長澤まさみ)の弟子・コックリをコケティッシュに演じ評判となった。再度古沢作品に出演した関水は、田鶴を「ここまで自分にフィットした役はなかなかない」と位置づけると「古沢さんが描いてくださったからこそ」と絶大な信頼を寄せる(※ネタバレあり。第11話の内容に触れています)。

【画像】切ない…関水渚“田鶴”の勇姿

善意のはずが…田鶴の行動に反響

第5回「瀬名奪還作戦」より瀬名らを助けたつもりの田鶴だが……

 本作は、尾張の織田信長、甲斐の武田信玄など、強力な武将たちが統治する国に挟まれた三河の戦国大名・徳川家康が、さまざまな決断をしなければいけない場で、「どうする?」と翻弄されながらも、未来を切り開いていく姿を描く。関水演じる田鶴は、家康が幼少期に人質として身を寄せていた今川家の家臣・鵜殿長照の妹で、今川家の家臣・飯尾連龍の妻。

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 田鶴は、有村架純演じる家康の正室・瀬名の幼なじみでもあり、幼少期から瀬名と心を通わせるが、瀬名の夫である家康が今川家を裏切ったため、二人も離れ離れになってしまう。そんな役柄に関水は「とにかく田鶴は、瀬名への愛が強すぎて『自分が幸せにしてあげるんだ』と猪突猛進してしまう女性」と位置づけ、思いが強すぎるために思わぬ騒動を巻き起こしてしまうキャラクターだと語る。

 それが第5回「瀬名奪還作戦」でのシーンだ。伊賀忍者の服部半蔵(山田孝之の一党が、今川義元の息子・氏真(溝端淳平)にとらわれた瀬名たちを救い出そうとした際、「今川にいることが瀬名の幸せ」と思い込んだ田鶴はその作戦を告げ口し、結果的に瀬名の家族を不幸にしてしまう。

 関水は「田鶴としては瀬名を裏切るとか嫌な思いをさせるつもりなんて一切なかったのに、結果的に瀬名を窮地に追い込んでしまったんですよね」と苦笑いを浮かべるが、このシーンは大きな反響があったようで「ネットで『田鶴のせいだ』と言われたり、友達から『わあ、渚のせいで大変なことになっているじゃん』とメッセージもらったりしました。でも興味を持ってもらえないことが一番悲しいので、そうやって反応してもらえる役を演じられるというのは、すごく嬉しいんです」といたずらっぽく笑う。

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~以下、ネタバレ含みます~

役を本気で愛せる古沢脚本の魅力

第11回「信玄との密約」より、最後まで今川に尽くすことを誓う田鶴

 思い込んだら、一直線。結果的に混乱を招いても、責任感が強く、愛している人を幸せにしたいという田鶴の思いは純粋だ。田鶴の性格を読み解くにつれ「この猪突猛進さは自分に似ている」と感じたという関水。「田鶴を演じながら、ここまで極端ではないにしろ、わたしもこういう人間なんだな」と腑に落ちることが多かった。「ある意味で自分と一体化したというか、田鶴と分かり合えたような気がしました。ここまでフィットする役と出会えたのは、これまでなかなかなかった。演じていてすごく楽しかったです」

 関水にとって、古沢脚本作品は劇場版『コンフィデンスマンJP』シリーズで演じたコックリ以来だが「古沢さんが描くキャラクターって、みんないきいきとしていて、人間らしい部分がものすごく丁寧に描かれているんですよね」と笑顔を見せると「だからこそ演じる人物を本気で愛せる。それって映像に出ると思うんです。古沢さんの作品に出演している俳優さんたちは、皆さん自分の演じるキャラクターを愛しているように感じられます。そう思わせてくれる魅力があります」と説明する。

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 キャラクターに没頭できるという古沢脚本。この日放送された第11回「信玄との密約」では、織田信長(岡田准一)の命により今川を滅亡させようとする徳川勢が、亡き夫の後をつぐ田鶴が女城主として守る引間城に攻め入る。「田鶴を救ってほしい」という瀬名の願いを受け入れ、あえて武力行使を望まない家康だったが、「今川に仕えることこそが幸せ」という考えを曲げない田鶴は「今川を裏切った家康の行動に正義はない」と断固拒否。

 甲冑をまとった姿で徳川軍の前に現れた田鶴は馬上で「かかれー」と勇敢に戦いを挑む。関水は「家来から『お田鶴さま、お田鶴さま』と信頼を寄せてもらっていた田鶴。そこには皆を守らなければという責任感もあるし、幸せにするという気持ちにも嘘がない。負け戦だと分かっていても戦いに挑む姿は、まさに多くの人の人生を背負う覚悟のあらわれだったと思います」と撮影に臨んだ心境を語る。

有村架純は「女神さま」

第11回「信玄との密約」より、幸せだった頃の田鶴と瀬名

 本作で大河ドラマ初出演となった関水。衣装やかつらの重さなど、体力的な部分で苦労しながらも、「ある意味で時代劇っておとぎ話的な部分があると思うのですが、今の時代ではあり得ないことや、今も今後も感じられないようなことを経験できるというのは、とても楽しかった。結構ハマってしまいました。またすぐやりたい」と目を輝かせる。

 もう一つ本作を経験して感動したのが「以前から大好きだった」という有村との共演。しかも有村演じる瀬名と田鶴は親友という関係だ。

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 「これまで映画などを観ていて、すごく愛おしくて可愛らしい方だなと思っていました」とはにかむと「ファンだったんです。今は架純ちゃんと呼ばせてもらっているのですが、初めてお会いしたのは緑山スタジオでした。当時架純ちゃんはドラマ『石子と羽男-そんなコトで訴えます?-』の撮影で来ていたのですが、わたしもすでに大河ドラマのクランクインをしていたんです。たまたま同じ日に撮影があってすれ違ったとき、挨拶させていただいたのですが、架純ちゃんが『親友役なんだよね、楽しみだね』って言ってくださったのが嬉しくて」と楽しそうに思い返す。

 実際に撮影現場を共にすることになり、有村の包容力に驚いたという関水。「ものすごく多忙なのに、いつもシャキッとされているのですが、後輩を緊張させないような柔らかさもある方。一緒にいて安心するんです」と共演の感想を述べると「本当に女神さまです」とぞっこんの様子だ。

 瀬名とは運命のいたずらで敵味方という関係になってしまった。それでも関水は「第11回では、瀬名と田鶴の幸せだった時代の描写もあります。とにかくお芝居をしているときは、本当に幸せだなと思っていました」と語っていた。(取材・文:磯部正和)

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