神木隆之介、“好き”という思いが原動力!「らんまん」で主人公に共感
4月3日から新たに始まった連続テレビ小説「らんまん」(月~土、NHK総合・午前8時~ほか)で主演を務める神木隆之介。「そっと心に寄り添える作品になったら」と語る本作への思いを語った。
神木が主演を務める連続テレビ小説の第108作「らんまん」は、日本の植物学の父と呼ばれる牧野富太郎をモデルにした作品。牧野の生涯を再構成し、愛する草花と向き合い続けた植物学者の波乱万丈の物語が描かれる。神木が主人公の槙野万太郎、その妻となるヒロインの寿恵子を浜辺美波が演じる。
長丁場だからこそ「遊び心」を
──朝ドラは「どんど晴れ」以来の出演。今回は主演ですが、オファーを受けていかがでしたか。
神木:まずは「え、僕がヒロイン!?」という感想でした(笑)。「ヒロインだよね?」「いえ、主演です」──「ヒロインですよね?」「勘違いしないでください、主演です」なんて会話を冗談交じりにしながら、すごくうれしかったですし、同時にプレッシャーもありました。長期にわたっての撮影が大変なイメージだったので一筋縄ではいかないな、と。忍耐と精神力が強くないと乗り越えられない、と覚悟はありました。だけど、朝ドラに声を掛けてもらい、しかも主演をやらせていただく機会は人生で一度あるかないか。ぜひやらせていただきます、とお受けしました。発表されてからは、親が一番喜んでいたし、友だちや役者の方からもお祝いの連絡をいただきました。
──朝ドラヒロインを経験した方とも共演が多い神木さんですが、相談などは?
神木:有村架純さんと広瀬すずさんには「やっぱり大変だった?」と聞いて「大変だった」と。「セリフは何週後まで覚えていたの?」といったことを聞きました。撮影前のリハーサルで覚えちゃったほうが早いですよね、というようなことを話していたので、それを参考にしました。だから、僕は覚えてないです。覚えられなかったです(笑)。これだけ長い期間を演じるのも初めてなので、どれだけ違和感なく年をとれるのか、というは大きな課題ではあるのかな、と思っています。
──長丁場の現場で、座長として心がけていることは?
神木:「遊び心」です。やっぱり長丁場で、ぜんぶを真面目に、というのは大変だと思うんです。というか、まず僕がキツいので(笑)、一番気をつけています。もちろん、真面目なシーンはみんなで気合を入れますが、例えばカット尻が長かったら変顔をしたり、アドリブを入れてみたりして、オチをつけて「オッケー」と言ってもらうとか。自分から楽しい現場になるようなきっかけを作っています。参加していただく方にも「こういう気軽な現場なんだな、よかったな」と思ってくれる状況を作れるのが主役だろうな、と。
「好き」という思いが原動力
──主人公のモデルは日本の植物学の父と称される牧野富太郎さん、演じるうえで意識していることは?
神木:感受性が豊かで、探求心が人一倍強いところは意識しています。万太郎がいま何に興味があって、何に突っ走っていっているのか、ということをわかりやすく表情豊かにやろうと思っています。万太郎は純粋に「好き」という思いが原動力で、そこからの探求心も強く、深い。悲しいときは悲しい、うれしいときはうれしい、嘘をつけない人間です。僕もそういう人が大好きなので、そういうキャラクターに見えたらいいな、と意識はしています。
──そんな万太郎と神木さんの共通点は?
神木:僕もオタクなので、鉄道やゲーム、将棋など趣味もいっぱいありますし、好きなものに関してわからないことがあったら知りたいと強く思うので、そこは似ているかなと思います。牧野さんレベルではないですが、あふれんばかりに「知りたい」という欲が出てくる気持ちはわかるかな、と。牧野さんも万太郎も、人に何かを頼むときは「好きだから」という思いがあること。好きだから知りたい、好きだからやりたいという純粋な思いで動いているので、人の心を動かせるんだと思います。きっと牧野さんもそういう方だったんじゃないかなと思います
──物語は明治維新から大正の時代という激動の時代です。土佐が舞台にもなっていますが、坂本龍馬が天狗という役で登場するそうですが、驚きです。
神木:僕もびっくりです(笑)。時代的にもニアピンらしいんです(牧野富太郎は1862年生まれ、坂本龍馬は1867年没)。牧野博士をモデルとしていますが、あくまでモデルで、ドラマもフィクションでありエンターテインメント。史実としてはわかりませんが、あってもいいんじゃないか? という僕らの願望です。坂本龍馬も牧野博士も教科書に載るような存在ですから、その二人が絡み合っていく、大きな時代を作った二人が線としてつながるというのは、フィクションならでは。ロマンチックで素敵だな、と思います。
そっと心に寄り添える作品に
──神木さんが演じる万太郎の妻を演じるのは浜辺美波さん。映画『屍人荘の殺人』(2019)でも共演がありますね。
神木:『屍人荘の殺人』はラブストーリーも照れもなく面白おかしくやっていたのですが、今回は真面目な恋をしてお互いを信頼し合って、のちのち結婚もする。安心して演技できていますし、新たな初々しい関係性も出ているので、そのあたりは楽しんでもらえるんじゃないかと思っています。
──志尊淳さん(万太郎の生家である酒蔵「峰屋」の番頭の息子の竹雄役)とも映画で共演しています。
神木:ほかにも大半が過去に共演させてもらった人たちばかりですが、とくに浜辺さんと志尊くんは物語の中で阿吽の呼吸じゃないといけないくらいの役柄なので、そういう信頼できる二人が近くにいるというのは僕にとっても大きな存在になっています。万太郎にとっても大きな存在なので、そこがリンクしていて、二人でよかったなとすごく思っています。「僕の扱いは慣れてるでしょ」と言えるような人がそばにいてほしいので(笑)。
──土佐弁はいかがでしょうか?
神木:慣れたとは思うのですが、めちゃくちゃ難しいです。土佐弁と関西と標準語の音程がすべて交じっていて、難しい。そこに一番苦戦しています。日常会話なら感覚でわかるのですが、花の説明には漢字がたくさん出てきて、その説明も土佐弁になるので。(脚本の)長田育恵さんには「本当に記憶力が持たないので勘弁してください」とは言ってあるんですけど(笑)。ひたすら頑張るしかないですね。方言は可愛いですしね。
──神木さんが思い描く「らんまん」とは?
神木:僕としては「ちゃんとテレビの前で準備をしてください」とは言いたくないんです。朝ドラは朝の準備をする時間帯に「楽しそうな声が聞こえているな」とちょっと見る感じでもうれしいです。みなさんの日常に溶け込んでいるからこそ、ながら見でも耳だけで聞くのもありがたい。日常音の中にあるものが「らんまん」であってほしいと思うので、みなさんの隣に日常とともにある作品、そっと心に寄り添える作品になったらいいなと思っています。