眞栄田郷敦「偉大な父を持つ重責」 初大河「どうする家康」武田信玄の息子・勝頼に自身を重ねる
松本潤主演の大河ドラマ「どうする家康」(毎週日曜夜8時~NHK総合ほか)で、武田信玄の息子・勝頼を演じる眞栄田郷敦。初めて時代劇、大河ドラマに出演する眞栄田が、自身と重なる部分も多かったという勝頼像について「父と比較されることは絶対にあっただろうなと。そういった重責を背負いつつも、自分らしく生きようとするという部分には共感できました」と語った。
戦国乱世に終止符を打ち、江戸幕府初代征夷大将軍となった徳川家康(松本潤)を、『コンフィデンスマンJP』シリーズや映画『レジェンド&バタフライ』などの脚本家・古沢良太が等身大に描く本作。眞栄田演じる武田四郎勝頼は30日放送の第16回「信玄を怒らせるな」から登場する。勝頼は戦国時代に最強と言われた甲斐の武将で父の武田信玄に、幼いころから厳しく育てられた強靭な体力と精神の持ち主。父の知略・軍略の才も受け継ぎ武田家史上最大まで領地を広げ、のちに三方ヶ原の戦いで壊滅的な打撃を負わせた徳川を、さらに追い詰める……という役どころ。
初の大河ドラマで引き出しの少なさを痛感
俳優としてデビューしてからわずか4年での大河ドラマへの出演。2022年はNHKドラマ「カナカナ」で主演を務め、長澤まさみ、鈴木亮平と共演したドラマ「エルピス -希望、あるいは災い-」での新米テレビマン役も話題を呼んだ。人気コミックを実写映画化したヒット作の続編『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編-運命-』も公開中と出演が相次ぐが、大河ドラマへの出演は「初めは不安だった」という。
「僕は新しいことを始めるのが怖いタイプで、今回も自分の知らないフィールドで戦うのは怖かったです。時代劇は表現や所作がこれまでやってきた現代ものとは全く違う。所作に制限される感じもありましたし、表現の引き出しの少なさにすごく悩みました。殺陣も初めてでしたが、特に甲冑をつけてのアクションは大変でした。重たいし、動きづらいし、スタミナをもっていかれましたが、いい経験になりました」と初尽くしの撮影を振り返る。
勝頼の初登場回の台本には、勝頼について「威風堂々とした眼光鋭い若者」と記されている。そんな勝頼像をどうつかんでいったのか。「諸説あって無能の武将とも言われていますが、この作品では父・信玄をすごく尊敬していて、武田家としての誇りを強く持っている。なおかつ信玄に劣らぬ知力や人をひきつける力があると台本から感じたので、そういったところを伝えられたらと思っていました。家康がナイーブで頼りないキャラクターとして描かれていると思うので、それとは真逆というか対比になればと。次々と現れる家康の敵たちの中でも大きな存在でありたい。どっしり構えていて、どこかミステリアスで何を考えているのか分からないけれど頭は動いている……というイメージでしょうか」
人生一度きり、やりたいようにやっていきたい
撮影現場では阿部寛演じる信玄の姿を見るなり圧倒されたという。「本当にすごい……と。阿部さんの信玄としての存在感、凄みがすごかったので、勝頼の父に対する尊敬の気持ちは自然に作れたように思います。勝頼はのちに信玄の後を継いで、信玄に負けない存在感を表現しなければならなかったので、阿部さんの立ち居振る舞いや、立ち方などを見ながら進めた部分もありました」
出演発表時には「(勝頼は)自分と重なる点も多いような気がします」とコメントを寄せていた眞栄田。海外では「Sonny Chiba」の名でも知られる名優・千葉真一を父に持ち、兄・新田真剣佑に続いて俳優の道を歩む眞栄田にとって、偉大な父の後継者としての重責を負う勝頼に共感する部分もあった。
「勝頼には父・信玄を超える、武田家のために天下を取ることが軸としてある。僕も偉大な父がいて、その血を受け継ぐ、同じ道を歩んでいるので軸は似ていると感じましたし、理解できる部分もあります。父と比較されることは絶対にあっただろうなと。そういった重責を背負いつつも、自分らしく生きようとするという部分には共感できました」
勝頼の重責を理解しながらも、「父を超える」という意識はないとも。「そもそも超える必要はないと思っていて。何をもって超えると言えるのかと疑問に思いますし、自分ができる最大のことをやればいいんじゃないかなと。人生一度きり。やりたいようにやっていきたいと思っています」
すでにクランクアップしており、全撮影を終えた心境を「率直な感想で言うと、自分の引き出しの少なさに反省しております。ただその一方で、今の自分にできる精いっぱいの勝頼をやれたかなっていう気持ちもあります。撮影の中で伸ばしていきたいなって思う部分や課題が見つかったので、やらせていただけてよかったです」と充実の表情を見せていた。(編集部・石井百合子)