稲垣吾郎×新垣結衣『正欲』で「おちょやん」東野絢香が長編映画デビュー!追加キャスト3名発表
『桐島、部活やめるってよ』『何者』などで知られる朝井リョウの小説を、稲垣吾郎、新垣結衣らを迎えて映画化する『正欲』(今秋公開)の追加キャスト3名が発表され、連続テレビ小説「おちょやん」(2020)で注目を浴びた東野絢香が長編映画デビューを果たすことが明らかになった。演じるのは、異性と目を合わさぬよう、触れることがないようにやり過ごそうとする大学生。ほか磯村勇斗、佐藤寛太が出演。5人の登場人物の場面写真も公開された。
本作は、『あゝ、荒野』『前科者』などの岸善幸監督がメガホンをとり、家庭環境、性的指向、容姿などそれぞれ異なる“選べない”背景を持つ人々を通し、人が生きていくための推進力になるのは何なのか? というテーマをあぶり出していくストーリー。これまで息子が不登校になった検事・寺井啓喜(てらい・ひろき)を稲垣吾郎、特殊性癖を持つことを隠して生きる・桐生夏月(きりゅう・なつき)を新垣結衣が演じることが発表されている。
新キャストの磯村が演じるのは、両親の事故死をきっかけに中学3年まで暮らしていた広島に戻ってきた佐々木佳道(ささき・よしみち)。夏月の中学時代の同級生で、ふたりは誰にも言えない秘密を共有している。佐藤は、大学生でダンスサークルに身を置き、準ミスターに選ばれるほどの容姿を持つ諸橋大也(もろはし・だいや)に。一見華やかな場所にいるように見えるにも関わらず、人との交流を避けている。
その大也と同じ大学に通い、学祭実行委員として大也が所属するダンスサークルにイベント出演依頼をする神戸八重子(かんべ・やえこ)を演じるのは、連続テレビ小説「おちょやん」で主人公の親友・富川みつえを演じた東野絢香。その後、ドラマ「PICU 小児集中治療室」や「六本木クラス」(共に2022)などに出演。映画では2019年の15分のインディペンデント作品『願い星流星群』に出演しているが、長編への出演は本作が初となる。東野は出演に以下のようにコメントを寄せている。
「原作を読んだ時に感じた、喉の奥に広がる苦さが逃げないよう、丁寧に撮影を重ねて挑みました。全てを愛する事は、難しいです。ですが、あの日、カメラの前に立ったあの瞬間は、心からなにかを愛せたと思います。1秒1秒がスローモーションに感じたあの時間や空間を、私は生涯忘れません。この作品が、誰かにとっても、そう記憶される映画になればと、万感の思いでいっぱいです」
磯村、佐藤のコメントは下記の通り。(編集部・石井百合子)
磯村勇斗
今回の作品では、自分の指向とは異なる人物を演じなければならなかったので、その感覚を体に馴染ませるのが難しかったです。ですが『前科者』でご一緒させていただいた岸監督とだったので、信頼しながら作り上げていきました。クランクイン前や現場で監督と話し合い、丁寧に佐々木佳道に寄り添っていきました。難しい題材ではあるものの、今の時代に問う作品になっていると思います。
佐藤寛太
自分の身体の目に見えるところに傷をつけられたような、今後一生自分が向き合っていくことになるものだと気づかされた。というか知らされた、知らしめられたという感覚でした。準備期間前に自分が当たり前だと思っていた価値観が崩れる不思議な体験でした。杭を一本一本打ちながら登っていく力強さを大也に感じたから、それは誰にでもあるものじゃないから、勇気をもらうじゃないけど、今までにない感じ方をした役柄でした。岸監督の演出のなにがすごいって、遠回りをさせてくれる。簡単に答えを出さないから、遠回りして見た景色を現場の本番というゴールに来た時にもうひとつ昇華させてくれる、一緒に考えてくれる。欲しい言葉をくれるというのもあるけど、絶えず考えさせてくれるし、信頼してくれてるのがすごく分かるから、気張るという意味ではなく、応えたいと思うし、この監督が創る作品のなかで、重要なピースでいたい。と気持ちよく思わせてくれる。今回ご一緒させていただいて、ここに呼ばれるように自分を削っておきたいな、と思いました。どこかでまあこれでいいかと思わず、ずっと削っておきたいです。こんな組に携われることはなかなか無いから、ここでできることは全部出しときたいな、この作品、この役に悔いを残したく無いな。と思いました。この映画観てくれたひとがみんな傷つけばいいのに、傷ついてハッとして人にやさしくなればいいのにって思います。