岩田剛典の“ニーニャ”に沼る理由は?ドラマオリジナルの描写が肝
奈緒主演のフジテレビ・木曜劇場「あなたがしてくれなくても」(毎週木曜22時~)で岩田剛典演じる、主人公みち(奈緒)の上司“ニーニャ”こと新名誠に「沼る」視聴者が続出。とりわけ、誠が紡ぐ詩的な言葉が注目を浴びている。
本作は、30代~40代の女性を中心に反響を呼んだハルノ晴の累計部数830万部(電子+紙)の同名コミックを原作に、吉野みち(奈緒)&陽一(永山瑛太)と、新名楓(田中みな実)&誠(岩田)、2組の30代“レス”夫婦を描く恋愛ドラマ。共に夫、妻との“レス”に悩み、“戦友”となったみちと誠は、互いに慰め合ううちにいつしか惹かれ合い、その高まりは第4話の社員旅行でピークを迎えた。
誠に惹かれる一方で、夫との関係もあきらめられないみち。妻に性的な魅力を感じず同じ職場のスタッフと浮気しながらも妻への愛は揺らがない陽一。仕事漬けの妻に背を向け続けられた結果、みちへの愛にひた走る誠。自分に執着しなくなった夫に不安を感じ、挽回を図る楓。話数を重ねるごとに、SNS上では各キャラクターの言動に共感、批判などさまざまな感想で沸いているが、なかでも世の女性たちをとりこにしているのが誠。妻に手料理を食べてもらえない孤独な日々を送っていた誠が哀し気になればなるほどファンは「切ない」と沸き立った。
誠の思わず赤面してしまいそうなロマンチックな言葉の数々や、みちへの細やかな気配りに「ハマる」視聴者が続出しているが、とりわけ際立つのが原作にはないオリジナルの描写やセリフの数々。例えば、4話で社員旅行先で誠とみちが“未遂”に終わる展開は同じだが、「畳に手をついてみちの頭に手をあて優しく押し倒す」という流れはオリジナルの描写。
初回では、夫に体の関係を拒絶され続け「自分には何もない」と落ち込むみちに、誠が“アインシュタインとモーツァルト、どちらが天才か”というクイズを出して慰めた。「次元が違う」と言うみちに納得しつつも、「でも僕たち人間は何もないところから何かを生み出すことはできる。AIにはできないけど」と語り、みちを笑顔にした。
3話では、結婚記念日に妻と揉めて傷心の誠が、みちと水族館デートへ。みちの前では笑顔で振る舞うも、水槽を眺めながらふと「魚って泣くのかな。みんな幸せそうに泳いでいるけど、もしかしたら一匹ぐらい泣いているかも」とつぶやき、張り裂けそうな胸の内をのぞかせた。
4話では社員旅行先で、みちの部屋を尋ねた誠がオリオン座に秘められた悲恋を語る場面があった。アポロンによって引き裂かれたオリオンと女神アルテミスの物語。5話では楓がみちと鉢合わせする最悪な事態が発生するも、誠はみちをプラネタリウムデートに誘い、「吉野さん、アルテミスのそばにちゃんとオリオンはいます。何があっても」と変わらぬ愛を告げた。
また5話では、社員旅行のお土産として砂時計をみちに贈りながら「砂時計のどこを見ていましたか? 上か下か、真ん中」とまたしても“クイズ”を出し、「砂時計には3つの時間があるんです。上の減っていく砂は過去、落ちていく真ん中は現在、下に溜まっていく砂は未来」と語り、みちとの成就に願いを込めるかのようだった。
そんな甘い言葉の数々をさらりとこなせるのは岩田のなせる業と話題沸騰。2015年の大ヒット映画『植物図鑑 運命の恋、ひろいました』、故・青山真治監督の『空に住む』(2020)、Netflixシリーズ「金魚妻」(2022)に続く、恋愛系作品の当たり役となりそうだ。なお、ドラマ「昼顔~平日午後3時の恋人たち」(2014)で社会現象を巻き起こしたチーフ演出の西谷弘監督とは、『バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版』(2022)以来のタッグ。ドラマ公式サイトのインタビューでは、岩田が西谷監督について「作品に関して、すべてが僕の想像を超えた考えを持っていらっしゃいます。自分が用意してきたものを遥かに上回る演出をつけてくださいます」と魅力を語っている。(編集部・石井百合子)