「キングオージャー」もっふん誕生秘話、脚本家が明かす 人気爆発に東映P「嬉しい誤算」
放送中の特撮ドラマ「王様戦隊キングオージャー」(毎週日曜午前9時30分~・テレビ朝日系)に登場するキャラクター・もっふん。真っ白な毛で覆われた巨体とゆるめの表情は、多くのファンを虜にしており、4日放送の第14話では劇中アニメ「もっふんといっしょ」も登場した。謎多きもっふんについて、脚本家の高野水登と東映の大森敬仁プロデューサーが、誕生の経緯やキャラクターの展開について語った。
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ゴッカンの国王リタ ・カニスカ(平川結月)が溺愛するもっふんは、同国の雪男伝説をベースに、ヒメノ ・ラン(村上愛花)が治める王国・イシャバーナのクリエイターたちが制作した「もっふんといっしょ」に登場するキャラクター。第14話では、語り部ジェラミー・ブラシエリ(池田匡志)から、アニメの誕生秘話が明かされた。
もっふん登場のきっかけについて、高野は「リタは絶対中立を守るため、誰にも本音を言えないキャラクターです。しかし、その本音を全てモノローグ(心の声)にしては、役者さんが現場で演技をする余地が無くなってしまうのが勿体無いと思い、ぬいぐるみに話しかけているという設定を考えました。つまり、極めてロジカルに、必然性を持って出された設定です」と解説。自身も日頃からぬいぐるみを愛し、話しかけているそうだが「全くもって偶然だった」という。
デザインは、高野が数分で描いたものが、ほぼそのまま採用された。「適当に描いた」のではなく、「誰にも頼まれていないのに頭に強固に作り上げていたイメージはあったものの、脚本家が口を出すのはおこがましいと思って黙っていたので、待ってましたとばかりに描いた」と強調する。
アニメ化の話が出てから、高野は止まらなかった。「『なんとなく内容を考えておいてください』くらいのことを言われて最初に着手したのがテーマ曲です。音楽作りを普段から趣味にしているわけでもなく、楽器も全く弾けないので、 iPhoneのボイスメモに自ら歌って録音してプロデューサーに送りました。そのプロデューサーからは『疲れてるなら言ってください』と返事が来ましたが、私は至ってまともでした」
数分のアニメだが、高野は一切手を抜かずもっふんと向き合った。「ぬいぐるみ、マスコットを愛する私個人の想いを抜きにしても、中途半端なものを作っては、それが大好きなリタ様は何なの? と疑問が生まれてしまうし、何よりもっふんを生み出した美の国イシャバーナは手抜きを知らない。もっふんに対し、真剣に向き合う以外の選択肢はなかったのです」
高野のラフデザインを見た時の反応について、大森Pは「正直なことを言うと、監督をはじめスタッフ一同は、5か国のアセットや世界観を構築するので必死で、もっふんにはあまり気を遣えていませんでした。もっふん、ごめんなさい」と告白する。
東映特撮ファンクラブ(TTFC)の協力でアニメ制作は進み、もっふん役には「仮面ライダー電王」などでもお馴染みの声優・大塚芳忠が起用された。その後も、テーマ曲誕生やキャラクターグッズ販売など、もっふん人気は高まる一方だ。大森Pは「『キングオージャー』という作品の中のリタというキャラクターを表現するために必要不可欠な要素だったと思います。ここまで愛されたのは狙いというより、嬉しい誤算です」と心境を語った。
「高野さん自作のラフデザイン、自作の歌、自作のシリーズ展開という妄想の数々が裏側で進行し、蓋を開けたときには後戻りできない状態に……(笑)。我々は、その見事なまでに構築された世界観をただただ受け入れただけに過ぎません」と大森P。「頭からつま先まで、高野水登カラーが詰め込まれたもっふんにご期待ください」と呼びかけた。(編集部・倉本拓弥)