役所広司、カンヌ授賞式での「僕は賞が大好きです」発言を釈明
役所広司が13日、東京・日本記者クラブで行われた映画『パーフェクト・デイズ(原題) / PERFECT DAYS』の記者会見に共演の田中泯と出席し、カンヌ国際映画祭で最優秀男優賞を受賞した際、「僕は賞が大好きです」と発言したことが日本で誤解されて報道されていると釈明した。
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第76回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に正式出品され、役所が最優秀男優賞を受賞した本作は、『パリ、テキサス』でカンヌ最高賞パルムドールを手にしているドイツの巨匠ヴィム・ヴェンダース監督が東京で撮り上げたドラマ。渋谷の公共トイレ清掃員・平山(役所)の、小さな喜びと美しさに満ちた日々を丹念につづる。
トロフィーを手に笑顔でフォトセッションに応じた役所。恩師でもある仲代達矢の反応を問われると、「毎年この時期になると九州から送られてくるスイカを持っていくんですが、その時に玄関で拍手をしてくれました。『これ持ってけ』とシャンパンももらいました」と明かし、「仲代さんはカンヌに『切腹』とか『怪談』で参加していらっしゃいますが、『俺は(賞を)もらえなかった』とおっしゃっていました。本当に喜んでもらいました」と頬を緩めた。
また、「受賞式の第一声で『僕は賞が大好きです』と言ったんですが、日本ではそれしか報道されてなくて」と苦笑いすると、「実は、プレゼンターの女優さんの『男の人って賞が大好きなのよね』という言葉を受けて、ジョークのつもりで言ったんです」と釈明。「会場ではそんなに受けなかったんですよね」とも話すと、「日本で報道されるのを見ると、こいつは本当に賞だけが好きな男と思われると思って、今日は皆さんにその説明をしようと思って来ました」と内に秘めた会見の目的を打ち明けて笑いをさらった。
田中は「役所さんと比べる必要すらないくらい、俳優としてはひよっこで勉強中」と謙そんしながら、「お話を頂いた時はうれしくて、何でもやってやると思いました」とオファーを喜んだと明かす。一方で、「ダンサーとして声を掛けていただき、ずいぶん踊ったんですが、映画の中ではほんの少ししか現れてこない……」と残念がるが、最終的にはヴェンダース監督から「君は映画の魂の部分をやってくれているはずだ」と言われたそうで、「ホッとしています」と充実した表情を見せていた。
今後について問われた役所は、「67歳になりましたので、そんなにたくさんの作品には参加できないと思います。体力も落ちていますが、自分にできる作品に命を懸けてと言うのは大げさかもしれないけど、これまで影響を与えてくれたたくさんの方たちのためにも、一つ一つを大切にして、尊敬する監督たちへ恩返しをしていきたいと思います」と目標を掲げる。そして「そういう時代に少しでも戻れるように、日本映画界に貢献できたらなと思います」と力を込めた。(錦怜那)
映画『パーフェクト・デイズ(原題)』の日本配給は未定