フラッシュのように過去へ戻ることはできる?『TENET』監修も務めた物理学者が推測
DC新作映画『ザ・フラッシュ』(6月16日全国公開)では、地上最速のスーパーヒーロー・フラッシュが、光速を超えたことで時間を遡るさまが描かれる。本編で重要となるフラッシュのタイムトラベル能力について、東京工業大学理学院物理学系助教の山崎詩郎が作品を鑑賞し、その原理を推測した。
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フラッシュこと主人公バリー・アレン(エズラ・ミラー)は、超高速で走れる能力を駆使して世界の人々を救ってきた。そんなバリーは、光速を超えるスピードで走り抜けることで、時空を超える“タイムトラベル”能力も持っている。DCの最強ヒーローチームが活躍する『ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット』でも、わずかだがその能力が描かれた。
フラッシュのスピードがもたらす時間への影響について、山崎は 「アインシュタインの相対性理論で『双子のパラドックス』という有名な話があります。地球に双子の弟がいて、双子の兄だけロケットに乗って光速近くで遠くまで行き、また光速近くで戻ってくる。すると、地球で待っていた双子の弟は年老いているのに、ロケットで光速に近いスピードで移動していた兄はまだ若いままなんです。これはれっきとした科学的な事実なんです」 と実際の理論を用いて解説する。
現実世界で光速を超えることは「科学的には不可能」だと証言した山崎。映画は科学の領域を超えていると考え、「光速に近づくと時間が遅れる、光速になると時間が止まる、という事実から類推して、光速を超えると時間が逆戻りする、というアイデアにたどり着いたのではないでしょうか」と推測した。
フラッシュが過去でもう一人の自分と出会い、別次元に存存するバットマン(マイケル・キートン)やスーパーガール(サッシャ・カジェ)と共に強大な敵に立ち向かう本作。作品を鑑賞した山崎は、「超速のシーンや、過去に戻るためのスピード感を描くシーンは、過去作の演出よりもさらにグレードアップしているので必見です」と見どころを明かしている。(編集部・倉本拓弥)