「どうする家康」細田佳央太、激変の信康振り返る「感情のスイッチ途切れぬよう」
現在放送中の大河ドラマ「どうする家康」(NHK総合・毎週日曜よる8時~ほか)で、松本潤ふんする主人公・徳川家康の長男・松平信康を演じる細田佳央太が、優しすぎる性格ゆえに変貌していく信康の歩みを振り返った。
「コンフィデンスマンJP」シリーズや、「リーガル・ハイ」シリーズなど数々のヒット作を世に送り出してきた脚本家・古沢良太が、誰もが知る歴史上の人物・徳川家康が江戸幕府を開くまでの苦悩の道のりを新たな視点で描いた本作。大河ドラマ初出演となる細田が、苦労を重ねる父の姿を幼いころから見てきたことから、家のため家族のために強く生きようと心に誓う長男・松平信康を演じた。
信康について、細田は「演じるうえで、信康を調べれば調べるほど、良くない評判を目にしました。これまでの大河ドラマでも信康は、史料にあったような描かれ方をすることが多かったと思います」と述べると「でも今回の古沢さんの脚本は今までとは違うなと感じました。史実として信康がしたことはありますが、史料には、なぜそういう行動に至ったのかという感情的な部分は描かれていません。古沢さんの脚本は、感情の流れがとても分かりやすかった。僕は信康が優しすぎるからこそ、親と対立したり、僧を斬ってしまったりしたのだと感じた。信康の核となる“優しさ”を大切に演じました」と語る。
そんな愛のある信康を、初めての大河ドラマで演じられたことが「とても嬉しい」と話す。2019年に映画『町田くんの世界』で1,000人以上の中からオーディションで主役を射止め、2021年のTBS日曜劇場「ドラゴン桜」や連ドラ初主演となった「もしも、イケメンだけの高校があったら」(2022)など快進撃が続く細田。今年4月には主演映画『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』も公開されるなど順調にキャリアを重ねている。細田自身、小学生のころから活動をしているが「実際、出たいと強く思ったのは『ドラゴン桜』(2021年)というドラマの撮影をしているぐらいのときでした」と語る。
実際の大河ドラマの現場については「かつらをつけてから着替えるので、前開きの服の方がいいことなど、すべてが新鮮でした」と語ると「セットも凄くて、小学校で行った社会科見学の資料館みたいにスケールが大きい」と驚きの連続だったという。
共演者からも刺激を受け、特に父・家康役の松本潤、母・瀬名役の有村架純からは多くのことを吸収した。「松本さんは、主演として現場の中心として立たれている姿はもちろん、作品のプロデュース方法や宣伝の仕方などもお話されているのを見て、座長としての在り方を学びました。一方、有村さんからは、僕がどうしても役と自分を切り離せないことを悩んでいると『わたしもそういうときがあった。ずっと(心の)片隅に役がいることがあった。感性が近いのかも』と言っていただき、お芝居との向き合い方を学びました」
18日放送・第23回「瀬名、覚醒」では、織田・徳川連合軍と武田四郎勝頼(眞栄田郷敦)率いる武田軍との戦いが激化するなか、“優しすぎる”ゆえに信康は心が乱れ、人格が激変していく。そこで瀬名が考えていた謀(はかりごと)を知った信康は、ある決断をする。
「あのときの信康は、僧を斬り殺してしまったあとで、一番堕ちていた時期。人を殺めたいわけではないのに、逆のことをせざるを得なくなり、時代の波にのまれてしまいどうしようもなかった。そこで瀬名さんのやろうとしていることを知り、人を殺めたくないという信康の気持ちが強く出て、賛同したのかなと思います」といい、「感情のスイッチが途切れないように意識していました」と撮影を振り返っていた。
細田は「第22~25回にかけて、信康がどういう人間なのか、その変化が見えてくると思います。史実はありますが、結果だけではなく、その過程がしっかり描かれているので、『こういうこともあったのかも』という思いでご覧いただけたらうれしいです」と視聴者にメッセージを送った。(取材・文:磯部正和)