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『リボルバー・リリー』綾瀬はるかは“東映ヒロイン”をイメージ 撮影現場レポート

『リボルバー・リリー』撮影風景より主人公・小曽根百合を演じる綾瀬はるか
『リボルバー・リリー』撮影風景より主人公・小曽根百合を演じる綾瀬はるか - (C)2023「リボルバー・リリー」フィルムパートナーズ

 長浦京のハードボイルドアクション小説を、綾瀬はるか主演・行定勲監督により実写映画化する『リボルバー・リリー』(8月11日公開)の撮影が2022年8月16日に大泉学園にある東映スタジオで行われ、行定監督と企画プロデュースの紀伊宗之が“東映ヒロイン”に綾瀬をキャスティングした理由や、撮影中の様子などについて語った。

【写真9点】綾瀬はるか、長谷川博己、ジェシー、羽村仁成ら撮影中の様子

 長浦の第19回大藪春彦賞受賞作に基づき、S&W M1917リボルバーの使い手・小曽根百合(綾瀬はるか)と、謎の男たちに追われる少年・慎太(羽村仁成 Go!Go!kids/ジャニーズ Jr.)の逃避行を描く本作。長谷川博己シシド・カフカ古川琴音清水尋也ジェシーSixTONES)、佐藤二朗吹越満内田朝陽板尾創路橋爪功石橋蓮司阿部サダヲ野村萬斎豊川悦司ら豪華な顔ぶれが集結した。

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 物語の舞台は、1924年(大正13年)。第一次世界大戦と関東大震災後、混乱に陥る東京。この日撮影されたのは、色街・玉の井にある銘酒屋「ランブル」でのシーン。「ランブル」を営む百合を、ジェシー演じる大尉が率いる陸軍が襲撃する。軍に取り囲まれるなか、きらびやかなドレスに身を包んだ百合がガーターに仕込んだ銃を素早く取り出しぶっ放す流れで、綾瀬はガンアクションアドバイザー・武藤竜馬の指導のもと、銃を取り出す段取りを繰り返し練習。抜きやすいようにガーターをきつく締めたり試行錯誤する中、今度は手が引っかかってパールのネックレスがバラバラになるアクシデントも。さらに、そのカットを終えると一回転しながら店内に戻るという難技に挑んだ。

 NHKドラマ「精霊の守り人」やドラマ・映画『奥様は、取り扱い注意』などでキレのあるアクションを見せてきた綾瀬だが、紀伊Pは「綾瀬さんが受けて下さらなかったらおじゃんにしていたと思う」と言い、綾瀬の出演が絶対条件だったことを強調。「体も動くし、基本すごくニュートラルな方だと思うんですけど。現場に入ると凛として全然顔つきも変わる。すごいですよね。アクションに関しても貪欲だし、キャストの中で一番練習しています。時間さえあれば、アクション部とマットの上で跳ねたり転がったり、銃の装填、撃ち方、フィジカルなアクションも。6月ぐらいから長い時間をかけて特訓されています」

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ガンアクションアドバイザー・武藤竜馬の指導を受ける綾瀬はるか

 行定監督も「綾瀬さんは、アクション監督がOKを出しても、自分の映り方に『今のはよくなかった』『カッコ良くない』と自分で自分にダメ出しをするんです」とそのストイックな姿勢に圧倒されている様子だった。

 綾瀬演じる百合を描くにあたってイメージしたのは“東映ヒロイン”。紀伊Pは、その意図をこう語る。「具体的に挙げると富司純子さん(『緋牡丹博徒』シリーズなど)や梶芽衣子さん(『女囚さそり』シリーズなど)。東映ってアホな会社なので、高倉健さんとか菅原文太さんの企画がうまいこといくと、女優でもいけるんちゃうかと考える(笑)。僕はそういう下世話なところがすごく好きで。役所広司さん、松坂桃李さんで『孤狼の血』をやったので、今度は女性を主人公にしたノワールもいいんじゃないかというのは、企画の最初に考えたことです。とはいえ、女性と男性の関係の描かれ方も当時とは大きく変わっていると思うし、その中でどういう風な女性ヒーロー、ヒロインがカッコいいんだろうというのはものすごく考えました。ただ強ければいいというわけでもないだろうし、本作ではいろいろな哀しみを背負った綾瀬さんになっているんじゃないかなと思います」

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行定勲監督と

 一方、行定監督は初めて本格的に挑むアクションというジャンルに苦戦。とにかく「苦しい」と言い、「自分はこれまでラブストーリーや人間ドラマしか撮ったことがないので、今までの撮り方が通用しない。例えば、人物の気持ちや感情の動きをアクションに乗せようとすると、ものすごい時間がかかってしまう。なおかつ、『こうあるべき』みたいな固定概念を覆していかないと、きっと新しいアクションにもならないし難しいですね」と吐露。

 さらに行定監督を悩ませたのが、大正という時代。過去に、三島由紀夫の“豊饒の海”シリーズの第1作を妻夫木聡竹内結子の主演で映画化した『春の雪』(2005)を撮っているが、この時とはまるで勝手が違ったという。「『春の雪』の時は主人公が貴族の設定だったので、様式がヒントになったんですよね。しかも『春の雪』は屋内の撮影が多かったのが、今回は屋外が多かったのと、ゼロから作ったり、手を加えたりしないと大正の雰囲気にならないシーンばかり。例えば、スタッフに森や広場、土手とかに連れていかれて“撮影ここでどうですか”と言われても、ただの広場だよねって(笑)。想像しなきゃいけないので、絵コンテをこんなに描いたのも久しぶり。描かないと議論にならないから」と課題山積みの撮影を振り返っていた。

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 「撮影中は自信がないからネガティブになりがち」と渋い顔をする行定監督だったが、関東大震災の爪痕が残る色街・玉の井のセットは壮観。スタッフにそうそうたる顔ぶれが集結した。撮影に『新聞記者』『余命10年』など藤井道人監督作品で知られる今村圭佑、美術に『舞妓 Haaaan!!!』などの清水剛、照明に『世界の中心で、愛をさけぶ』『北の零年』などで行定監督を組んできた中村裕樹、衣装デザイン監修に『万引き家族』『』などの黒澤和子、シニアVFXスーパーバイザーに『シン・ゴジラ』などの尾上克郎。各界のエキスパートが集結した大正の世界は大きなスクリーンで観てこそ醍醐味が伝わるだろう。(編集部・石井百合子)

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