乃木坂46・久保史緒里「大河に出るまでは髪を染めないと誓った」 初大河の反響振り返る
大河ドラマ「どうする家康」(NHK総合で毎週日曜よる8時~ほか)で織田信長(岡田准一)の娘・五徳を演じる、アイドルグループ・乃木坂46の久保史緒里(21)が、大河ドラマ初出演となる本作の撮影や、反響について語った。「オンエアを初めて観る日は5分前ぐらいからスタンバイをして正座をして待っていました(笑)」と初登場の日を振り返る。
アイドルとしてもカリスマ的な人気を博す一方、2021年4月期放送の「クロシンリ 彼女が教える禁断の心理術」で連続ドラマ初主演、同年6月上演の「夜は短し歩けよ乙女」で初の単独舞台出演、2022年11月公開の『左様なら今晩は』で初の映画主演と、女優として「初」を更新し続けている久保。誰もが知る江戸幕府初代征夷大将軍・徳川家康(松本潤)の生涯を描いた大河ドラマ「どうする家康」では、織田信長の娘・五徳(ごとく)を演じている。幼くして家康の長男・信康(細田佳央太)に嫁ぎ、信長の娘としての血筋と、信康ら徳川との絆の間で揺れ動く役どころだ。
かねてから大河ドラマへの出演を夢見ていた久保の思いは強く、出演がかなうまで髪を染めないと決めていたほど。その思いが実を結び、劇中ではかつらをつけず地毛で出演しているという。「五徳の扮装に100分かかるんです。地毛でやらせていただいているのですが、特に肩に当たる部分をキープするのが難しくて。メイクさんがとても丁寧に作り上げてくださいました。ずっと大河に出演したいと思っていたので、出られるまでは髪は染めないと決めていたのですが、まさか地毛でできるとは思っていませんでした!」
久保にとって大河ドラマとはどんなものだったのか。「わたしの父が歴史好きで、わたしの名前にも史という字が使われているんです。その影響でわたしも歴史モノが好きになりました。老若男女、幅広い方がご覧になるということもありますが、誰もが知っていたり一度は耳にしたりしたことがある人物、歴史をさまざまな解釈でたどるということがステキだなと思っていて。今回も古沢良太さんの脚本が素晴らしく、“なるほどそういう解釈があったのか”と驚かされています」
久保の大河ドラマへの思いのたけを示すエピソードがある。久保が受け持つラジオ番組「乃木坂46のオールナイトニッポン」では、主演の松本と初めて会ったのが昨年末の紅白歌合戦だったことを明かしていた。松本は審査員の一人として、久保は紅組に乃木坂46として出演。撮影に入る前に挨拶すべく、チャンスが訪れると急いでスタンバイし、無事松本に挨拶ができたのだという。
「わたしの父が教師ということもあって、幼いころから上下関係についてはしっかり教えられました。中学時代の部活動で部長を務めた経験も生きているのかもしれませんが、グループに入ってまだまだ経験も浅いので、挨拶だけはちゃんとしなければという気持ちは、グループのメンバーやスタッフさんに教えていただいたことです」
その松本と撮影現場で初めて対面した時には、嬉しい出来事があった。「その日に共演させていただくことはなかったのですが、松本さんがわたしの出演シーンの撮影を観ていらしたようで、現場でお会いした時に“お芝居のトーンがすごく素敵ですね”と言ってくださって。すごく嬉しかったのを覚えています」
そんな久保演じる五徳が初めて登場したのが、5月7日放送の第17回「三方ヶ原合戦」。「始まるまで一分一分、すごくドキドキしていました。初回からずっと拝見していたので、いつかここに自分の名前が載る日が来るのかという気持ちで観ていたのですが、いざその時を迎えると怖くもあり緊張もありつつ、嬉しかったです」と自身の出演回を初めて観た時の興奮を振り返る。
初の大河ドラマの撮影現場では「細部のこだわり」に驚いたというが、中でも感動したのが衣装だった。「事前にご説明も受けたのですが、五徳は徳川家の皆さんとは着物が少し違うんです。掛け(打掛)なども生地のいい豪勢なものを着させていただいて。きっと五徳が織田家のプライドを捨てきれていないことを示していると思うのですが、“あ、この子は織田方から来た人物なんだ”と、衣装で視覚的に伝えることにすごく驚きましたし、実際に映像で観て感動したのを覚えています」
五徳を演じるうえでは、その「疎外感」を意識したという。「お着物もそうですが、自分だけずっと“五徳様”と呼ばれていたり、そういう些細なことで自分が徳川家の一員になりきれてないのではないかという疎外感を常に現場で感じていたんです。そんな五徳を演じる中で、協調性が重んじられている現代において“もしかしたら自分は一人なのかもしれない”って思う瞬間の寂しさは、当時もあったのではないかとも感じられて。だからこそ、わたしが一番五徳に寄り添いたいという気持ちで演じていました」
役の上では孤独だったというが、撮影現場では座長・松本の気遣いによって“徳川ファミリー”であることを実感した。「一番嬉しかったのが、殿が“家族写真を撮ろう”とおっしゃった日です。その時に信康さん、瀬名さん(有村架純)と亀姫(當真あみ)がいる中で、(五徳という役の特性上)わたしも入っていいのかな……みたいな気持ちがあって。でも、松本さんがわたしを真ん中に入れて写真を撮ってくださった時に、あらためてわたしは徳川家の皆さんのことがすごく大好きなんだと感じられて、泣きそうなぐらい嬉しかったです」
大河出演の反響は大きく、家族やメンバーからも祝福や労いの声が届いた。「山形に住んでいる祖母は、毎週わたしが映る姿を見ながら泣いているそうです。グループでは同期の向井葉月ちゃんが会うたびに“いつ出るの? いつ出るの?”と楽しみにしてくれていて、出た後も“すごいかっこよかったよ”と感想をくれました。齋藤飛鳥さんの卒業コンサートの時に、先輩の生駒里奈さんにお会いした時に“大河すごいね”と声をかけていただいたことも、すごく嬉しかったです」
「グループに入ってさまざまな経験をさせていただき、女優業にもっともっと興味を持って挑戦したいと思っている中で、大河に出演させていただいて。今までにない感情を知りました」と充実の表情を見せる久保。「役やシーンについて自分の中では出ない答えもあったのですが、現場に入って皆さんとお芝居する中で、その場で生まれた感情がいくつもあって。この感覚を味わえることはとても貴重なことだと感じたので、これからもそういう瞬間を重ねていけたらと思いますし、わたしが出演させていただいたことでグループの存在も知っていただけたらこんなに嬉しいことはないなと思います」と力を込めた。
久保の女優としての快進撃は続き、現在、映画『リバー、流れないでよ』が公開中。キャバ嬢を演じる『探偵マリコの生涯で一番悲惨な日』(6月30日公開)や、劇団☆新感線による舞台「いのうえ歌舞伎『天號星』」が待機中だ。(編集部・石井百合子)