グザヴィエ・ドラン34歳、引退へ「気力も体力もない」
映画『Mommy/マミー』『たかが世界の終わり』などのカナダ人監督グザヴィエ・ドランが、34歳にして監督業からの引退の意向を示した。
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19歳での監督デビュー作『マイ・マザー』が第62回カンヌ国際映画祭監督週間で上映されて以来、時代の寵児となって『胸騒ぎの恋人』『わたしはロランス』『トム・アット・ザ・ファーム』『Mommy/マミー』『たかが世界の終わり』と次々と作品を発表したドラン。いずれもカンヌをはじめとした国際映画祭で上映されて評価を得たが、2018年以降の『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』『マティアス&マキシム』があまりうまく行かなかったことが彼を悩ませ、昨年、映画から距離を置くことを考えているとカナダ紙 Le Journal de Montreal に語っていた。
しかし、続いて手掛けたテレビシリーズ「ロリエ・ゴドローと、あの夜のこと」が振るわなかったことが、決定打となったよう。同作はカナダ、フランス、日本、スペインでしか公開されなかった。「映画と監督業は諦めている。ほとんど誰も観ないようなものに、2年もの間専念する気力も体力もないんだ。あまりにたくさんの情熱を注いだせいで、失望が大きくなってしまった」とスペイン紙 EL PAIS にコメント。「あのテレビシリーズでは何も得ていない。僕は製作に自分の給料をつぎ込み、父にお金を借りなければならなかった。本当に報われないプロセスで、僕は疲れてくじけてしまった。簡単な解決策はCMの仕事をして、田舎に自分で家を建てることだ」と引退後のプランを明かしている。なお、引退前にHBOの下で英語のテレビシリーズを監督する契約は果たすとのことだ。
ドランはまた、不安定な世界情勢を受け、「全てがバラバラに崩れていっている時に、物語を語ることにどういう意味があるのか理解できない。アートは役に立たず、映画に自分をささげることは時間の無駄だ」と続けている。ドランはその後、Instagramのストーリー機能で「もちろんアートは大切で、もちろん映画は時間の無駄ではない。時に、言葉は文脈から外れ、翻訳の過程で何かが失われてしまう。近々、自分で説明します」と釈明。心配するファンに向けて、「あと、僕は大丈夫だよ(笑)」と締めくくっている。(編集部・市川遥)