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眞栄田郷敦「どうする家康」武田勝頼を総括 自身の提案で変更されたシーンも

第26回「ぶらり富士遊覧」より眞栄田郷敦演じる武田四郎勝頼
第26回「ぶらり富士遊覧」より眞栄田郷敦演じる武田四郎勝頼 - (C)NHK

 松本潤主演の大河ドラマ「どうする家康」(毎週日曜夜8時~NHK総合ほか)で、武田信玄の息子・勝頼を演じる眞栄田郷敦が、本作で描かれた勝頼を振り返ると共に、父・信玄亡き後の変化について重視したことを語った(※ネタバレあり。第26回までの詳細に触れています)。

【画像5枚】眞栄田郷敦演じる武田勝頼、最期の勇姿

 戦国乱世に終止符を打ち、江戸幕府初代征夷大将軍となった徳川家康(松本潤)を、『コンフィデンスマンJP』シリーズなどの脚本家・古沢良太が等身大に描く本作。眞栄田演じる武田四郎勝頼は4月30日放送の第16回「信玄を怒らせるな」から登場。戦国時代に最強と言われた甲斐の武将で父の武田信玄(阿部寛)に幼いころから厳しく育てられた、強靭な体力と精神の持ち主。父の知略・軍略の才も受け継ぎ武田家史上最大規模まで領地を広げ、信玄亡き後は織田信長(岡田准一)、家康の脅威となるも、第22回放送で描かれた長篠・設楽原の戦いでは織田の3,000丁もの鉄砲に敗北。勝頼は、7月9日放送の第26回「ぶらり富士遊覧」で信長の息子・信忠らに討ち取られた。

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 “戦国最強”と言われた信玄が第19回「お手付きしてどうする!」で病死するまで、勝頼は偉大な父の背中を追い続けてきたが、眞栄田は信玄が存命だった頃と亡きあとの変化をこう振り返る。

 「信玄が亡くなる前はいつか跡を継がなければという自覚はあったと思うんですけれども、武田信玄という偉大な存在にどこか謙虚な気持ちがあったのかなとも感じていて。歴史上では勝頼は四男で、(母方の)諏訪の家督を継いだ。だからおそらく信玄の跡を継ぐつもりはなくて葛藤もあったと思うんですけど、そんな中で父から亡くなる直前に“わしのすべてを注ぎ込んだ至高の逸材じゃ”という言葉をもらって覚悟ができたのではないかと。父の言葉が支えになっていると思うので、あのシーンはすごく大事だなと思っていて。亡くなってからは自信に満ちあふれ、戦を楽しむというか自分の置かれている立場、環境を楽しんでいるような感じで表現しました」

 勝頼は、第20回「岡崎クーデター」で父の三回忌を終えたのち、わが道をゆく決心をするが、眞栄田は本編では描かれていない数年間が重要だったと話す。

 「僕としては、描かれてはいないけれど勝頼は信玄の死を伏せる数年間の中で武田家のトップとしての意識や、父の言葉を自覚していったのかなと思っています。亡くなった直後と数年後と、似たシーンがあるんです。『三河を手に入れる。狙うは岡崎、松平信康、そしてその母・築山殿じゃ』と言う第19回と、『父上の三回忌を終えた。ここからはわしの思う存分、やらせてもらう。岡崎をとる』と宣言する第20回。その変化は大事にしました」

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 第26回では織田・徳川連合軍に追い詰められた勝頼が、わずか40人程の供を連れて最後の戦いに挑んだ。勝頼は「おぬしらは逃げよ。ここまでついてきてくれて礼を申す!」と家臣たちを逃そうとするが、離れる者はいない。泣いているような、笑っているような表情で「ここを死に場所と決めた!」と武田としての誇りを貫く勝頼の勇姿が見られる。あらためて本作で描かれた勝頼の魅力を問うと、「武田家、そして人を思う気持ち」だと眞栄田は語る。

 「勝頼には父を超える、天下を取るといった目標はあるけれど、家臣をすごく大事にしていて、勝つためには独りよがりじゃないというか。自分のためだけに動かない、武田家全員のためだったり、人を思う気持ちがあるのは魅力なのかなと。仲間を大事に思う気持ちは最期まで貫いている。長篠の戦いのシーンでは家臣がどんどん死んでいって、側近の山県昌景(橋本さとし)も死に、それを見ている勝頼の表情を大事にしていました」

 家臣を大切にする勝頼の人物像がブレないように、眞栄田の提案によって変更されたシーンもあったという。第24回で勝頼が穴山梅雪(信君/田辺誠一)に、瀬名(有村架純)の企みを世の中に暴露せよと命じるシーンだ。

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 「最初の台本では勝頼が穴山を騙す、狡いというか勝つためなら手段を選ばないような描写があったんです。だけど、勝頼には武田家としての誇りがあり、家臣たちに絶大な信頼を置いていて、どこまでも大切にするところが大事だと思っていたので、穴山まで騙して信長に伝えよというのは勝頼の魅力が損なわれてしまうのではないかと。それを監督にお伝えしてご相談したところ、賛同してくださいました。この変更は僕にとっても大きかったです」

 勝頼は最後、「我こそは武田四郎勝頼である!」と声を上げ、織田・徳川の大軍に突っ込んでいく。本シーンについて眞栄田は「僕の解釈としては、勝頼は最期まで父の存在を意識していたと思うので、『我こそは武田四郎勝頼である!』というセリフには、最後の最後でやっと自分らしくあれた、死んでいけるという思いが込められているのではないかと思いました。勝頼の最期については監督ともお話して何度か変わったんですけど、いい結果になったのではないかと思っています」

 眞栄田が演じた眼光鋭い勝頼は赤備えもハマり、初登場から大きな反響を呼んだ。大河ドラマ初出演にしてみせた堂々たる演技は、今後も多くの人の記憶に刻まれることだろう。(編集部・石井百合子)

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