『マッド・ハイジ』監督がスイスから来日!宮崎駿に「ぜひ観て」とメッセージ
児童文学「アルプスの少女ハイジ」を過激な描写でバイオレンスアクション化した映画『マッド・ハイジ』前夜祭が13日に、ヒューマントラストシネマ渋谷で行われ、来日中のヨハネス・ハートマン監督、サンドロ・クロプフシュタイン監督、そしてエグゼクティブプロデューサーのスコット・ペディゴが出席、宮崎駿への思いを語った。
本作は、高畑勲が演出を担当したアニメを通じて日本でも多くの人々に愛される「アルプスの少女ハイジ」を、R18+のバイオレンス描写で大胆にアレンジした“スイス映画史上初のエクスプロイテーション映画”。チーズ製造会社のワンマン社長・マイリ大統領(キャスパー・ヴァン・ディーン)が独裁を敷くスイスを舞台に、恋人のペーターと家族を奪われたハイジ(アリス・ルーシー)が、復讐(ふくしゅう)心と祖国への愛情を胸に、独裁者に立ち向かう。
映画上映前のステージにあがったハートマン監督は、ファンからの歓迎に「ここにいられてうれしいです!」とあいさつすると、「これまでヨーロッパやアメリカの映画祭に出品し、参加してきました。日本はハイジのアニメという伝統がある国なので気に入ってもらえることを祈っています」と呼びかけた。
多くの人に愛されたハイジを、“18禁ハイジ”として描こうとした理由についてクロプフシュタイン監督は「ハイジだけでなく、スイスといえば平穏で、秩序だった国というイメージがあると思うけど、そうした作品を一番クレイジーだと思う形で見せたいと思いました」と明かした。
そんなアニメ版「アルプスの少女ハイジ」は、実はヨーロッパでも人気なのだという。ハートマン監督も「たぶん、スイスの子供たちが一番最初に『ハイジ』に接するのは、日本のアニメだと思う。ただ、放送されたのはドイツ語の吹替版なので、ドイツかオーストリアでつくられたアニメなのかと思っていたんだ」と明かすと、ペディゴも「街中のストリートアートでも、アニメ版ハイジの絵を近所でしょちゅう見かけるよ!」とスイスに浸透していることを明かした。
くしくも本作が公開される14日は、アニメ版ハイジに携わった、宮崎駿の監督最新作『君たちはどう生きるか』も公開となる。その事実を告げられたクロプフシュタイン監督は「宮崎監督が、スイスのハイジというキャラクターを、日本から逆紹介していただけたことをうれしく思うと同時に、ありがとうとお伝えしたい」と感謝の気持ちを言葉にすると、両監督が「ぜひ『マッド・ハイジ』も観てもらえたら」とラブコールを送っていた。(取材・文:壬生智裕)
映画『マッド・ハイジ』は7月14日よりヒューマントラストシネマ渋谷、新宿武蔵野館、池袋シネマ・ロサほか全国公開