CGゼロで作られた『オッペンハイマー』、インド公開版では裸の女優にCG黒ドレスが着せられる
“原爆の父”と呼ばれた米物理学者ロバート・オッペンハイマーを題材にした映画『オッペンハイマー(原題) / Oppenheimer』を、人類最初の核実験「トリニティ実験」のシーンも含めCGショットゼロで作り上げたクリストファー・ノーラン監督。しかし同作のインドや中東公開版などでは、裸の女優にCGの黒ドレスが着せられてしまっているとVarietyなどが報じた。
これは、ヌードに厳しい国々で同作の公開禁止を避けるために取られた措置の一部だ。オッペンハイマー(キリアン・マーフィ)は物理学者のキティ(エミリー・ブラント)との結婚後も、精神科医で共産党員のジーン・タットロック(フローレンス・ピュー)と関係を持ち続けた。CGの黒ドレスを着せられたのはフローレンスで、インド公開版ではオッペンハイマーとタットロックの親密なシーンも大幅に編集が加えられているという。
それだけの対応をした甲斐あって、『オッペンハイマー(原題)』はインドでヒット。The Guardian は、同作がインドで、ハリウッド映画として今年一番の初日興行収入をたたき出したと伝えている。
なお、ノーラン監督が今までやったことがなかったベッドシーンに挑んだのは、それがオッペンハイマーの物語にとって「必要不可欠」だったからとのこと。タットロックが共産党員だったことが、オッペンハイマーの運命に大きな影響を及ぼすことになる。ノーラン監督は「彼らの関係を理解し、内側まで見て、何がそれを突き動かしているのかを知ることがとても重要だった。“ほのめかし”でなはなく親密さを正面から見せ、彼にとってとても重要だった関係がどんなものかを示すことが」とInsiderに語っている。(編集部・市川遥)