『アバレンジャー20th』監督が目撃!芸能界引退のいとうあいこ、久々の演技にブランクなし
特撮ドラマ「爆竜戦隊アバレンジャー」(2003~2004)の20周年を記念した新作Vシネクスト『爆竜戦隊アバレンジャー20th 許されざるアバレ』を手がけた木村ひさし監督がインタビューに応じ、自身初の東映特撮作品を手がける思い、すでに芸能界を引退している元女優いとうあいこ(樹らんる/アバレイエロー役)の久々となる演技について語った。
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『劇場版 ATARU-THE FIRST LOVE & THE LAST KILL-』『ピカ☆★☆ンチ LIFE IS HARD たぶん HAPPY』『任侠学園』『99.9-刑事専門弁護士- THE MOVIE』など、幅広いジャンルの映画を手がけてきた木村監督。学生時代から特撮作品の監督に憧れを抱いており、「アバレンジャー」の20年ぶりとなる完全新作でその夢を叶えることになった。
「高校1年生の時から、文化祭などで流すような8ミリ映画を撮っていて、部活の先輩が同じように撮っていたのがヒーローものだったんです。それを見て『俺たちも来年やろうぜ』という流れになり、一度離れていた特撮を再び観るようになりました。当時は『宇宙刑事ギャバン』『宇宙刑事シャリバン』、戦隊だと『科学戦隊ダイナマン』『超電子バイオマン』『電撃戦隊チェンジマン』を観ていて、日本の特撮ヒーローものは、内容的にも『スター・ウォーズ』に負けていないと感じて、だんだんと特撮を撮りたいと思うようになりました」
「アバレンジャー」は、精神的エネルギー・ダイノガッツを持ったアバレンジャーが、異次元にある別の地球「ダイノアース」からやってきた侵略者エヴォリアンに立ち向かう作品。木村監督のお気に入りは、彼らをまとめるアバレッド/伯亜凌駕(西興一朗)だといい「いつも前向きで、何事にも立ち向かっている人。そこが魅力です。いい意味で、戦隊レッドっぽくないところも好きです」とキャラクターについて語る。
完全新作では、アナザーアース=地球でアバレンジャーが20年ぶりに活躍する一方で、若き社会学者・五百田葵(大友花恋)がテレビ番組を通じて、アバレンジャーの破壊行為を痛烈に批判する。ゲストキャストの大友も「アバレンジャー」直撃世代であり、木村監督は、20年前にテレビシリーズを応援していた人が、本作を観た後に「アバレンジャーを観た」と思ってもらえるような作品作りを意識した。
「テレビシリーズの時から『今回のアバレポイントとは?』といって制作していたらしいです。その話を聞いて『アバレポイントって?』と思ったりもしましたが、何となくニュアンスではわかるんですよね。今回の脚本を読んだ時、この映画のアバレポイントはどこなのか、すぐにわかりました」
「アバレンジャー」当時の雰囲気を再現する上で欠かせなかったのが、メインキャスト5人の再集結。アバレイエローを演じたいとうは2010年に芸能界を引退しており、役者の道を離れてからかなりのブランクがあった。
木村監督も「若干テンションを上げることを伝えれば、すぐに当時の(らんるの)テンションに戻してもらえるだろうということは、前もって思っていました」と万全の準備を整えていたが、そんな心配は必要なかった。「いとうさんは『用意、スタート!』の時から、20年前のらんるのテンションに戻っていました。引退していたブランクを感じさせない演技で、全く心配することはありませんでした」
らんるのビジュアルにも驚かされたという木村監督。「らんるは当時から、ミニスカートのイメージが強かった。いとうさんは芸能界を引退されていますし、ミニスカート姿は、年齢的に相応しくないと言われてしまうと思い、そうではない衣装のパターンも考えましょうかという話もあったのですが、いざ衣装合わせになって、当時と同じくミニスカートをはいたらんるの姿を見て、心配していた自分が恥ずかしいと思うほど、様になっていたんです」
ノスタルジーを感じる演出と、令和の社会を反映させた新しいストーリーで復活した「アバレンジャー」。木村監督は、「カタカナで“アバレ”と書くのは、乱暴者とは違うニュアンスで作っているから。(エンディングの)アバアバダンス然り、一歩前に出て人を助ける姿勢など、そういった要素を全部ひっくるめてカタカナで“アバレ”と表現しています。この作品の意味合いを理解した上で、みなさんには人のために“大アバレ”していただけたら嬉しいです」と力を込めた。(取材・文:編集部・倉本拓弥)
Vシネクスト『爆竜戦隊アバレンジャー20th 許されざるアバレ』は9月1日より新宿バルト9ほかで期間限定上映、Blu-ray&DVDは2024年3月27日発売