山田洋次監督が92歳に!吉永小百合、大泉洋らが誕生日を祝福
山田洋次監督が13日、新宿ピカデリーで行われた『こんにちは、母さん』公開中舞台あいさつに出席し、92歳の誕生日を祝福された。この日は吉永小百合、大泉洋、永野芽郁、寺尾聰、宮藤官九郎も来場した。
【画像】山田洋次監督を祝福!『こんにちは、母さん』イベントより
『母べえ』『母と暮せば』に続く『母』3部作となる本作は、劇作家・永井愛の戯曲を山田監督が映画化。現代の東京下町を舞台に、母親と息子、彼らを取り巻く人々が織り成す人間模様を描く。吉永にとっては123本目の映画出演作となる。映画上映後、満席の会場を見渡した吉永は「この三年間、映画館で映画を観ていただけないんじゃないかと思い、心を痛めておりました。でもやっと皆さんに映画を観ていただけることになりまして。皆さまのお顔を見て、大変うれしく思っております」とあいさつした。
つづく大泉も「皆さまからは、映画館の中でみんなが同じところで笑っているのが楽しいという感想をいただきまして。わたしもそれを経験したくて、映画が公開されてから家族で観に行きました」と語った。さらに「今の時代なんで、携帯でチケットを買うんですが、空席なんですね、大丈夫かなと思うんですが、実際に行ってみると満席になっている。やはり(シニア層などは)窓口で買う皆さんが多いのかなと。うちの両親もそうですが、なかなか事前に携帯では買わないんですね。だいたい映画の興行なんてのは、初日からの3日間が大事なんだから、そこで観に行ってくれとうちの両親に言うんですけど、わたしたち二人が行くよりもあんたが自分で100枚買った方がいいじゃないかという余計なことを言われまして」とたたみかけてみせて会場は大笑い。だがふと「なんの話をしていたのか」と我にかえった大泉は、「とにかく両親の世代が窓口でチケットを買ってくれて、劇場で笑ってくれているんだなというのがうれしくて。しあわせな時間を過ごしました」と呼びかけた。
そして山田監督も「コロナで映画館に行く人が減ってしまいました。その減ったお客さまというのが、特に中高年の女性だと思うんです。実はこの方たちというのは、僕たちのつくる映画において良質なお客さんだったわけですが、この皆さんの足が遠のいてしまったのが、日本映画界にとって悲しいことでした」と切り出した。「でもそろそろ3年たったわけですから、一度映画館から離れてしまった人にも、この映画をきっかけに映画館で観るのは楽しいんだと思い直してほしいな、という思いを抱きながら、この映画をつくりました。もちろんコロナはなかなか収束しておりませんし、今は、とても大変な時期だという話も聞いておりますが、感染に注意なさって、映画館に足を運んでいただけたら」と呼びかけた。
この日は観客から集めた感想を次々と紹介、それをもとに登壇者たちでトークをするという流れとなった。その感想の中には「せんべいになぞらえて心情を吐露する大泉さんのセリフ回しが、まるで寅さんのようだった」というものが。それに対して山田監督が「大泉さんはとてもすばらしい演技者だと思います。大泉さんを主人公にしたら別の寅さんみたいな映画ができるんじゃないかと。それだけの力を持っている方だと感心しております」と太鼓判を押した。
その言葉に深くうなずいていた大泉も「言わせているんじゃないですかと思い、申し訳ないです」と照れ笑い。そこから山田監督の創作意欲が刺激されたようで、「彼にはお母さんがいるんですよ。そしてそのお母さんが恋をするわけです」とストーリーを提案するも、「それじゃ『こんにちは、母さん』と一緒じゃないですか?」という大泉のツッコみに会場も大爆笑。山田監督も「新しく作っても同じことやってるわけですね」と語り、会場は大笑いとなった。
くしくもこの舞台あいさつが行われた9月13日は山田監督の92歳の誕生日ということで、登壇者および観客から集めたお祝いメッセージを集めた巨大寄せ書きをプレゼント。その膨大な量に、「これは後でちゃんと読まないといけませんね」と感激の表情を見せた山田監督。吉永も「お誕生日おめでとうございます。これからは百寿、そして100本を目指して、また歩いていただきたいと思います。わたしたちもついてまいります」とメッセージを送った。山田監督も「吉永さんにそう言っていただけるなんて最高ですね」と笑顔を見せた。(取材・文:壬生智裕)