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コロナ禍を経て、正念場を迎えているミニシアターの現状とは?

茨城の土浦セントラルシネマズ。地元出身の三浦春馬さんの作品を上映し続け、全国からファンが集まる。
茨城の土浦セントラルシネマズ。地元出身の三浦春馬さんの作品を上映し続け、全国からファンが集まる。

 映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』と『名探偵コナン 黒鉄の魚影(くろがねのサブマリン)』が興行収入100億円を突破し、「コロナ禍後の映画館に人が戻ってきた」と総評される一方で、窮状を訴えるミニシアターが後を絶たない。昨年から東京・岩波ホール、愛知の名演小劇場、名古屋シネマテークと老舗が相次いで閉館したが、9月30日には京都みなみ会館が約60年の歴史に幕を閉じる。さまざまな助成を得て乗り切ったはずのコロナ渦だが、厳しい現実が顕著になってきた。

【画像】現在寄付を求めているミニシアター(外観)

 今夏、大阪のシネ・ヌーヴォがコロナ禍とデジタル映写機買い替えの経営悪化を赤裸々に記して「シネ・ヌーヴォ FROM NOW ON プロジェクト 2023」と題した支援グッズの購入と寄付を募って話題となった。その後も同様のクラウドファンディングのや寄付を求める声は続き、現在、北海道・シアターキノ、茨城・土浦セントラルシネマズ、静岡・シネマイーラ、広島・シネマ尾道が存続を賭けて活動している。

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 席数こそ少ないもののスクリーンを通して世界の多様な文化を伝えてきたミニシアターを巡っては、緊急事態宣言下で休館を余儀なくされたコロナ禍において、濱口竜介深田晃司監督が発起人となった「ミニシアター・エイド」基金を設立。集められた約3億3,102万円は参加団体・劇場に早急に分配された。政府もコロナ禍を乗り越えるための文化芸術活動支援事業「ARTS for the future!」を立ち上げ、ミニシアターが企画した特集も対象とした。

 しかし各種助成も終了。客足がコロナ禍前の80%から90%と戻らないところにフィルムからデジタルに移行した際に導入したデジタル映写機が耐用年数約10年を迎えて買い替えの必要性に迫られていることや、建物の老朽化、さらに昨今の人件費と光熱費の高騰が追い打ちになっているようだ。

ミニシアター
静岡のシネマイーラ。元浜松東映を改装し2008年に開業。「維持強化寄付」は地元の「見えるお客様」に呼びかけている。

 ドミノ倒しになるような事態を防ぐべく、ミニシアターや上映活動団体が所属する一般社団法人「コミュニティシネマセンター」が中心となってフランスのような公的助成の必要性などの議論も重ねてきた。さらに劇場も含めた映画界の共助システムの設立を目指す「日本版CNC設立を求める会」(共同代表:諏訪敦彦是枝裕和)とともに大手映画会社で組織される映画製作者連盟や文化庁などに働きかけも行っている。しかし一向に進展しないのが実情だという。

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  一方、各地で新たな世代が中心となって座席数20席ほどの新しい形の映画館を作る動きも各地で見られ、新たな希望も生まれている。同事務局長の岩崎ゆう子さんは「その地域や皆さんの生活の中に映画館が存在することの大切さを改めて考えてもらえたら」と語る。映画館閉館のニュースが流れる度に惜しむ声であふれるが、“あって当然”ではないことを私たちも認識するべきだろう。(取材・文:中山治美)

全国の映画館を巡る主な動きは、以下の通り。

クラウドファンディング・寄付を実施中

北海道・シアターキノ(10月31日まで)

茨城・土浦セントラルシネマズ(無期限)

静岡・浜松シネマイーラ(12月31日まで)

広島・シネマ尾道(10月31日まで)

閉館になる映画館

長野・佐久アムシネマ(2023年9月14日閉館)
※上映設備の老朽化など。

京都・みなみ会館(2023年9月30日閉館)
※コロナ禍の影響もあり、経営状況が悪化。

東京・吉祥寺プラザ(2024年1月末閉館)
※館内設備老朽化による大規模改修に充当する収益の確保が見込めず。

福岡・中洲大洋映画劇場(2024年3月末閉館)
※老朽化により建物を取り壊し。営業再開は未定。

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新規オープンする映画館

大阪・扇町シネマ(10月2日)
※複合文化施設「扇町ミュージアムキューブ」内に開業。座席数50席。

山口・シネマポスト(10月7日)
※下関の元郵便局をリノベーション。座席数22席。

和歌山・シネマ203(プレオープンを経て10月7日
※レトロな北ぶらくり丁商店街に誕生した。座席数20席。

東京・kino cinema新宿(11月16日予定)
※EJアニメシアター新宿跡に開業。

北海道・TOHOシネマズすすきの(11月30日)
※北海道初のDolby Cinemaを導入。

福岡・小倉昭和館(12月予定)
※火災被災したが元の場所に再建し、営業再開予定。

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