広瀬アリス「どうする家康」で“本当の笑顔”見せるシーンはアドリブ!
放送中の大河ドラマ「どうする家康」(毎週日曜、NHK総合夜8時~ほか)で、松本潤演じる主人公・徳川家康を支える側室・於愛の方を好演する広瀬アリス。9月24日放送の第36回「於愛日記」では、於愛の過去が描かれた。悩みながら進む家康をユーモアで包み込んだ於愛を、はつらつと演じた広瀬が、これまでの撮影を振り返った。
本作は、三河の田舎大名だった徳川家康が、さまざまな困難のなか、究極の選択を迫られながら進む生涯を『コンフィデンスマンJP』シリーズなどの脚本家・古沢良太が描いた物語。
於愛は何かと苦悩を抱える家康を元気づけ、笑顔にする女性だが、第36回「於愛日記」では、実は夫を戦乱で亡くし、幼子を連れて側室になったという哀しい過去がつまびらかになった。広瀬は「初めて登場したときから、於愛さんの過去というのはほとんど描かれていないんです」と語ると「自分の思いはさておき、現在進行形でとにかく一途に殿にお仕えしていたんです」と於愛の役割を解釈。
だからこそ、台本を読んだときは「泣いてしまいました。於愛さんの初登場シーンでは、殿のお尻をバーンって思い切り叩いてしまうようなユーモラスな場面だったのに、その前にすごく辛いことがあったわけですよね。それでもああやって笑顔で明るく振る舞っているんですから。本当にゾクッとしました」と古沢が描く人物造形の深さに圧倒された様子。
広瀬の言葉通り、於愛が第23回「瀬名、覚醒」(6月18日放送)で初めて登場した際、家康との強烈な出会いのシーンが注目を浴びた。於愛の大らかさやそそっかしさなど愛すべき人柄も示す場面で、広瀬は「松本さんが『遠慮せずにどんどん来てほしい』と言ってくださったのですが、松本さんのお尻を叩くなんて……と最初は遠慮してしまったんです。でもテイクを重ねていくうちにだんだん慣れてきて強くいけるようになって」と振り返り、「その後、もう一度殿のお尻を叩くシーンがあるのですが、そのときは一発OKでした」と笑う。
このときの明るい笑顔の於愛について、その少し前に起きた悲しいできごとをふまえると「より彼女の笑顔に多くのことが含まれていたんだなと思えました」と広瀬は想いを馳せていた。
そんななか臨んだ第36回。広瀬は「第36回で今まで見せたことのないような於愛の表情をすべて出せればいいかなと思っていたので、それまではなるべく笑顔でいようと。彼女がそばにいることで、殿が“徳川家康”という鎧を脱いで、一人の人間として安らげるように……という思いで演じていました。この緩急が視聴者の方に刺さったらいいのですが……」と役へのアプローチ方法を語る。
とりわけ印象に残っているのが、家康と縁側で過ごす場面。広瀬は「殿と二人でキャッキャキャッキャしていますが、完全アドリブだったんです。殿がどんな動きをするのか分からないなか、どうやって(お芝居を)受けようか……と思いながら臨みました。でもシンプルに楽しくできたのは、本当に殿と於愛としてあそこに居られたからだと思うんです」と、時間をかけて作り上げてきた関係だからこそ生まれたシーンだったという。
広瀬アリスの“陽”の魅力が詰まったかのような於愛の方。広瀬は「於愛の方を演じられて本当に良かったなと思っているんです」としみじみすると、「その場をパッと明るくするようなキャラクターは得意分野かなと思っていたので、改めて今回大河ドラマで於愛の方という女性を演じられて、再確認できました。自分自身も演じていて楽しかったので、とても素敵な出会いだったなと思います」と充実感を滲ませていた。(取材・文:磯部正和)