ペ・ドゥナ、25年の女優人生で感じた「女性の働く環境への変化」
第36回東京国際映画祭
韓国の人気俳優ペ・ドゥナが27日、第36回東京国際映画祭公式プログラムのトークセッション「ウーマン・イン・モーション」に、水川あさみと鷲尾賀代プロデューサーと共に出席し、映画界における女性の立場の変化について語った。また、プログラムのオープニングスピーチは、『空気人形』『ベイビー・ブローカー』でペ・ドゥナとタッグを組んだ是枝裕和監督が務めた。
【画像】ペ・ドゥナ来日!水川あさみと女性を取り巻く環境について意見交換
グローバル・ラグジュアリー・グループのケリングが主催した同トークショー。韓国、日本、そして米国の映画界における女性を取り巻く環境、そしてその課題と未来について、独自の視点でトークが繰り広げられた。
1998年にモデルデビューし、翌年『リング』の韓国リメイク『リング・ウィルス』で映画デビューしたペ・ドゥナは、25年間というキャリアを誇り、韓国だけではなく、アメリカや日本でも活躍している。ペ・ドゥナは「デビューした25年前と今を比較すると、女性が現場で働く環境はとても良くなったと思います」と語ると、「2000年代序盤、『子猫をお願い』というチョン・ジェウン監督の映画に参加したのですが、そのときは韓国でも女性監督は3~4人ぐらいしかおらず、女性監督だからということで不当だと感じたことは結構ありました」と発言した。
続けて、「現在は非常に才能あるチョン・ジュリ監督の現場などは、女性スタッフが活躍しており、そういう環境も増えてきて、いまは不当だなと感じることはあまりありません」と変化を述べ、「アメリカは言うまでもなく、現場はとてもオープンで平等。少数者への偏見も全くない。いろいろな意味で多くの学びがある現場でした」と語っていた。
またペ・ドゥナは、労働環境についても「わたしがデビューした時は2~3時間ぐらいしか眠れないようなことはたくさんありました。その週放送のドラマをその週に撮影するという生放送のようなことも。でも、いまはハリウッドの事前製作などのシステムを素早く吸収するなどして変化してきています」と変化を語る。
それでも「まだ韓国では男性を主人公にした作品が多い。女性が主人公の映画の数は多くないです」と現状について述べたペ・ドゥナは、「確かに興行成績的に男性が主人公の作品の方が、結果がいいということはあるかもしれません」と冷静な目も。そんな中、「女性も出してください」というだけではなく「女性が主人公の素敵な作品があればいい。その意味でそういう物語を作り出そうと努力している若い監督たちは全力で応援していきたい」とエールを送った。
日本の現場と韓国の現場の違いについて聞かれたペ・ドゥナは、「日本はとにかく時間にきっちりしている。韓国ではお昼の時間はみんなで一斉に休憩してご飯を食べるのですが、日本ではそれぞれ各自でお弁当を食べて、誰かしら現場を動かしている」と述べると、水川は「同じアジアでも違うところはあるんですね」と興味津々。水川の話を聞いたペ・ドゥナも「知らないことが多かったので勉強になります」と笑顔を見せていた。
オープニングスピーチに登場した是枝監督は、「昨年6月から映画界で働く人たちの環境を良くしていきたいという活動をしています」とあいさつすると「そのなかには女性たちがどうやったら結婚や出産を経たあとでも、働きたいと思ったら戻ってこられる環境を整えるかという課題もあります」と本トークショーへの期待を語っていた。(磯部正和)
「第36回東京国際映画祭」は11月1日まで日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開催中