稲垣吾郎×新垣結衣『正欲』が監督賞&観客賞ダブル受賞 東京グランプリは『雪豹』
第36回東京国際映画祭
第36回東京国際映画祭のクロージングセレモニーが1日、TOHOシネマズ日比谷で行われ、コンペティション部門に出品されていた、稲垣吾郎と新垣結衣の共演作『正欲』が、最優秀監督賞と観客賞の2部門で受賞した。最高賞にあたる東京グランプリ/東京都知事賞には『雪豹』(ペマ・ツェテン/中国)が選ばれた。
『正欲』は、『桐島、部活やめるってよ』『何者』などの原作で知られる朝井リョウの小説を、『あゝ、荒野』などの岸善幸監督が映画化。家庭環境、性的指向、容姿など異なる背景を持つ人々を通して、人が生きていくための推進力になるのは何なのかというテーマをあぶりだしていく。稲垣と新垣に加え、磯村勇斗らが出演する。
観客賞のトロフィーを手にした岸監督は「この映画は多様性の中、弾かれてしまうようなマイノリティの中のマイノリティ、些細な小さな人間たちを題材にしております。言葉だけでなく皆さんがこの映画を観て、多様性の意味を知ってもらえたら嬉しいです」とコメント。また、「公開を前にこんな素敵な賞をもらえて幸せです」とも語り、「稲垣さん、新垣さん、磯村さん、この映画に関わった全ての方に受賞を伝えたいと思います」と感謝の気持ちを述べた。
また、監督賞についても「これからの映画人生の励みになります。全ての人が自由に生きている社会は何かを考えて作った作品。なかなか日本も自分のアイデンティティを生かして生きるのが難しい社会。この作品を通じてみなさんに多様性の意味を知ってもらえれば」と語っていた。
同映画祭のコンペ部門は、2023年1月以降に完成した長編映画を対象に、世界各国・地域から応募された1,942本の中から選出。審査委員長は巨匠ヴィム・ヴェンダース監督が務め、アルベルト・セラ(映画監督)、國實瑞恵(プロデューサー)、チャン・ティ・ビック・ゴック(プロデューサー)、チャオ・タオ(俳優・プロデューサー)が審査員を務めた。(取材・文:名鹿祥史)
第36回東京国際映画祭コンペティション部門受賞結果は以下の通り
・東京グランプリ/東京都知事賞:『雪豹』ペマ・ツェテン監督
・審査員特別賞:『タタミ』ザーラ・アミール・エブラヒミ監督、ガイ・ナッティヴ監督
・最優秀監督賞:『正欲』岸善幸監督
・最優秀女優賞:『タタミ』ザール・アミール
・最優秀男優賞:『ロクサナ』ヤスナ・ミルターマスブ
・最優秀芸術貢献賞:『ロングショット』ガオ・ポン監督
・観客賞:『正欲』岸善幸監督
・「アジアの未来」作品賞:『マリア』
・Amazon Prime Video テイクワン賞:ヤン・リーピン監督『Gone With The Wind』