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中村七之助「関ヶ原の戦いが起きない世界線を想像させる」 古沢良太が描く石田三成にロマン

第43回「関ヶ原の戦い」より中村七之助演じる石田三成
第43回「関ヶ原の戦い」より中村七之助演じる石田三成 - (C)NHK

 現在放送中の大河ドラマ「どうする家康」(毎週日曜夜8時~NHK総合ほか)の12日放送・第43回「関ヶ原の戦い」ではついに関ヶ原の戦いが描かれ、西軍の石田三成、東軍の徳川家康が歴史に残る合戦を繰り広げた。本作で三成を演じた中村七之助は、これまでドラマで描かれた三成と家康(松本潤)の関係を振り返り「もしかしたら関ヶ原の戦いが起こらないんじゃないかと思って観ていただけていたらうれしい」と、フィクションとしての大河ドラマの意義を語った(※ネタバレあり)。

【画像】関ヶ原の戦い名場面集

 『コンフィデンスマンJP』シリーズや「リーガルハイ」シリーズなど、数々のヒット作を世に送り出してきた古沢良太が、独自の解釈で“徳川家康”の生涯を紐解いたオリジナルストーリー。七之助にとって、大河ドラマへの出演は「武田信玄」(1988) 、「元禄繚乱」(1999)、「いだてん ~東京オリムピック噺(ばなし)~」(2019)以来、約4年ぶり。演じる石田三成は、第35回「欲望の怪物」での初登場シーンで、家康と二人で星を眺めながらロマンティックなやり取りを展開するなど「敵」としてではなく、「信頼できるパートナー」という関係を色濃く描いていた。

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 「第35回で家康に対する三成の『気が合いそうでござるな』なんてセリフもありましたが、三成と家康の仲がここまでほのぼのと描かれている作品はなかったのではないでしょうか。家康は年齢も上ですし、出会ったときは尊敬の思いが強かったという部分が強調して描かれていると思います」

 三成と家康が出会ったあとも、豊臣秀吉(ムロツヨシ)が天下統一を成し遂げていくなか、思惑の違いはあったものの、互いに信頼し合い、秀吉がムチャぶりをしてきたときには相談するなど蜜月関係が描かれる。

 「関ヶ原の戦いという史実はありますが、この大河ドラマを観ている方が『もしかしたら今回の大河では、関ヶ原の戦いが起こらないんじゃないか』と思ってくれたら、うれしいことだなと思って演じていました。三成も家康も、きれいな星を眺めていることに幸せを感じているような人物で、本来は“戦なき世”を目指していたんです。そこがこの二人の関係の軸となるところだと思って演じました」

~以下、第43回のネタバレを含みます~

 しかし、史実として「関ヶ原の戦い」は起こる。三成と家康の関係に亀裂が生じる引き金になったのが、豊臣秀吉がこの世を去ったこと。第40回「天下人家康」では秀吉の遺言に従い、五大老たちと政治を行おうとする家康が、加藤清正(淵上泰史)ら諸国大名たちから頼られ、政治の中心を担うようになり、そんな家康に三成は警戒心を強めていく。そして、ついに第43回「関ヶ原の戦い」で望んでいなかった「戦場」で家康と対峙し、敗北。戦いから8日後に対面した際、「何がそなたを変えた」と問う家康に対し、三成は「この悲惨な戦を引き起こしたのはわたしであり、あなただ。そして、その乱世を生き延びるあなたこそ、戦乱を求むる者」「戦なき世など為せぬ。まやかしの夢を語るな」と言い放ち、毅然とした態度で斬首を受け入れた。

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 「関ヶ原の戦いは、着陣するまでと戦いの計2話で描かれたのですが、家康との最後のシーンはとても印象的でした。三成というのは、知略でのし上がった武将だと思っていたのですが、やはり戦いとなると、たぎるものがある武士なんですよね。その辺りの変化が演じていても面白かったです。未曽有の戦の相手として家康と三成は顔を合わせますが、本質としては同じ志を持っていた。そこを感じながら関ヶ原の戦いを見ていただくと、より感じるものが大きいと思います」

 七之助は「大河ドラマは、歴史を追っているドキュメンタリー番組ではない。ノンフィクションではないんですよね」と語ると「そこはエンターテインメントでありロマンなんです。だからこそ、本質的には三成と家康は仲が良かった……という古沢さんの解釈にはロマンがある。関ヶ原の戦いなんて起きない世界線を想像できる関係は、とてもファンタジックで素敵だと思うんです」と本作で描かれる三成像の楽しみ方を指南した。(取材・文:磯部正和)

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