鬼才アリ・アスター監督、小島秀夫「デススト」実写版が楽しみ 狂気の新作は「操作不能なゲーム」のような作品
気鋭の映画スタジオ・A24製作のスリラー映画『ボーはおそれている』(2月16日全国公開)を手がけた鬼才アリ・アスター監督が来日インタビューに応じ、以前から交流があるゲームクリエイター・小島秀夫監督と、彼が生み出すゲームについて語った。
【動画】ホアキン・フェニックスが狂気の帰省…A24『ボーはおそれている』本予告編
A24とタッグを組んだ『へレディタリー/継承』『ミッドサマー』で、多くの観客にトラウマを植え付けたアスター監督。最新作『ボーはおそれている』は、母の怪死を知った主人公・ボー(ホアキン・フェニックス)が、帰省の途中で奇怪な出来事に巻き込まれていくオデッセイ・スリラーだ。
3時間近い上映時間の中で、ボーの狂気の帰省を描き出す本作。アスター監督は「例えるなら、この映画はビデオゲームです。ただ、コントローラーが効かず、操作不能なんです。行き先も選べず、キャラクターは狂気の世界を彷徨います」とゲームを例に挙げて説明する。
ゲームといえば、アスター監督は来日中に小島監督と対面しており、コジマプロダクション(以下、コジプロ)にも足を運んでいる。アスター監督は「コジマは天才です。彼が創り出す世界観は、とてもワクワクさせてくれますし、私にとっても刺激になります」と小島監督の才能を絶賛した。
特に感銘を受けたのは、コジマ監督が2014年に発表したホラーゲーム「P.T.」だという。当時開発中だった「サイレントヒル」新作のプレイアブル・ティザーとして配信された同作には、『パシフィック・リム』のギレルモ・デル・トロ監督や俳優ノーマン・リーダスも参加していた。「コジマとデル・トロが生み出したデモ版は、とても感動しました。素晴らしい世界観です。(『サイレントヒル』の企画が)幻となってしまったのが非常に残念です」
アスター監督と3度タッグを組んだA24は先日、小島監督の大ヒットゲーム「DEATH STRANDING」(デス・ストランディング)の実写映画版を、コジプロと共同製作することが明らかになった。アスター監督は「今後どうなっていくのか、とても楽しみなんです」と実写化企画に興味を示すと、「『DEATH STRANDING』はコジマが創造した壮大な世界観で、それを実写化する監督は、かなりのプレッシャーを抱くことになると思います。この作品を誰が手がけるのか、すごく気になります」とコメント。自身が監督に就任する可能性について聞いてみると、「次回作(西部劇風の映画)で忙しいんです……」と残念そうに話していた。(取材・文:編集部・倉本拓弥)