上戸彩、メディアのあるべき姿とは?子供に伝えたいこと
大沢たかおが主演を務めた実写映画『沈黙の艦隊』が、映画の未公開シーンとその後の物語を加え、Amazon Original連続ドラマ「沈黙の艦隊 シーズン1 ~東京湾大海戦~」として配信される。日本初の原子力潜水艦が逃亡して独立国「やまと」を名乗ったことからはじまる壮大な物語で、政府の陰謀をいぶかる報道ニュースキャスター・市谷裕美を演じた上戸彩。映像化不可能といわれた作品に挑んだ心境と、出演を機に家族でも語り合ったというメディアの役割について、上戸がその真摯な思いを明かした。
【動画】上戸彩インタビュー「沈黙の艦隊 シーズン1 ~東京湾大海戦~」
「最近、等身大の役が続いたので、そろそろスイッチを切り替えるような社会派の作品に出合いたいと思っていたタイミングで、本作のお話をいただきました」と語る上戸。大沢たかお演じる「やまと」艦長・海江田四郎は、“平和”“国家”“核”といった重いテーマを世界に問いかける。35年以上前に描かれたかわぐちかいじの漫画が原作で、当時は国会でも話題になるほどの社会現象を巻き起こした。「なかなか足を踏み入れることができなかったところですし、携われることはありがたかった」と本作への出演を喜んだ。
ふだんは取材される立場だが、市谷は取材する側だ。役づくりには、夜の報道番組のキャスターをイメージしたという。「でも、出来上がりを観てまだまだだと思いました。自分ではもっと重みを出せていると思っていたんですが、自分が思っていた重みには達していなかった。個人的には、撮り直してほしいくらいです(笑)。お芝居ってむずかしいですね」と吐露。それでも「真実を伝えるという、ジャーナリストとしての気持ちを表現しなければいけない。その意味では、やりがいのある役でした」と確かな手ごたえも感じていたようだ。
メディアの在り方についても、市谷の行動から考えたという。「市谷は物語の後半、真実を伝えるためにある決断をします。そのシーンを撮り終えた後、家でテレビを観ていたら、報道番組で『真実を伝えるべきでした』と謝罪するキャスターの方を目にしました。すごく市谷の気持ちに重なって、そうであってほしいと深く感じ、日本も変わってきたと思いました」と振り返った。
さらに「この作品に出演していなかったら、戦争について言葉を発することも、質問されることもなかったと思います。本当は、本作とは関係なく、自分のできることを探しながら、それがいつか世界の平和につながったらいいなと思います」と強い思いを言葉にした。
何が真実かを考えるメディアの在り方や、人々の幸せについて、子供たちと語り合うこともあるという。「子供って残酷な生き物で、いまニュースで観た映像と言葉だけで、自分の考えをポロっと口にしますよね。それが子供らしい考えであっても、言って良いことと、いけないことは絶対にある。だから、子供には、そのニュースにある背景などもきちんと説明します」と明かした。
「本作の劇場作品はスケール感がものすごいですし、体に響く感じの音もカッコいいので映画館でとっても楽しんでもらえると思います。一方の配信作品はそのスケール感を家で好きな時に観られるという贅沢さがあります。映画だけだと『海江田は何を考えている? どんな人物なんだ?』というところで終わっているので、配信作品で『え、人間の血が通っている!』という海江田の新たな一面を知って、さらなる感動を味わってほしいです。ほかのキャラクターについても、より深く人間ドラマが描かれているので、きっと観た方の心に余韻が残ると思います」と配信作品ならではの良さを挙げた。そして、「個人的には、続きが気になるし、市谷のその後も知りたいです。この作品についてみなさんがどう感じるのか聞きたいです」と率直な思いを口にした。(取材・文:早川あゆみ)
Amazon Original ドラマ「沈黙の艦隊 シーズン1 ~東京湾大海戦~」2月9日より Prime Video にて世界独占配信