『ガンダムSEED』映画化発表から公開までの苦労 福田監督「SEEDっぽくない」プレゼン映像戻したことも
テレビアニメ「機動戦士ガンダムSEED」シリーズの約20年ぶりとなる完全新作『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』が26日に公開初日を迎え、午前0時より6大都市にて最速上映がスタート。新宿ピカデリーでは、福田己津央監督と仲寿和プロデューサーが登壇するスタッフトーク上映会が行われた。
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「機動戦士ガンダムSEED」(2002~2003)は、21世紀に入って初めて制作された「機動戦士ガンダム」のテレビシリーズ。遺伝子操作を受けた人類(コーディネイター)とそうでない人類(ナチュラル)が、ザフトと地球連合軍に分かれて戦いを繰り広げるさまが描かれた。2004年から2005年にかけて続編アニメ「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」が放送され、およそ20年の歳月を経て新作が劇場公開された。
福田監督は、「この作品を見てくださる方の顔を思い浮かべながら、ずっと作品を作ってきました。“歴史に残る作品を作ろう”ということではなく『みなさんが楽しんでくれる作品を作りたい』それだけを目指してきました。よろしくお願いします」と上映前にあいさつ。124分の本編上映が終了すると、会場から大きな拍手が送られ、福田監督と仲プロデューサーが再登壇すると、一斉に歓声が上がった。
映画化の発表から公開に至るまで、一番苦労したことついて問われた福田監督は、「(制作スタッフより)プレゼン映像を見せられた時に、『SEEDっぽくない』と戻したことがありました。矛盾しているけど、自分は『これがSEEDだ』と思われないように、型にはまらないように、平井(久司/キャラクターデザイン)さん、重田(智/メカニカルアニメーションディレクター)さんともこだわってもきました」と告白。仲プロデューサーも「制作スタッフは、自分も含めて学生時代に『SEEDシリーズ』を見ていたという世代が多く、正直『SEED』っぽさの型にはまっていました。それも含め、監督の追い求めるものを掴むためのコミュニケーションの構築に1年くらいかかってしまいました」と苦労を振り返る。
本作では、主人公キラ・ヤマト(保志総一朗)とラクス・クライン(田中理恵)の関係が印象的に描かれている。二人のシーンに触れながら「彼らのセリフがストレートな表現になっていた点は、みなさんが面白がってくれたらよかったのですが、テレビシリーズの『SEED』を思い出すと、こういうのじゃなかったかな? と迷う面もあり、葛藤しながら作りました」と福田監督。仲プロデューサーは、他キャラクターの活躍にも触れ、「『SEEDシリーズ』の魅力はキャラクターの言葉が感情的な点だと思います。アグネスとルナマリアのシーンでも『あの状況で話す内容がそれ!?』という印象も受けましたが、それも『SEED』らしいですよね」と語った。
本作の主題歌「FREEDOM」は西川貴教 with t.komuro、エンディングテーマ「去り際のロマンティクス」はSee-Saw、挿入歌「望郷」は中島美嘉が担当しており、「ガンダムSEEDシリーズ」の音楽を長年支えてきたアーティストが集結した。楽曲ラインナップについて、福田監督は「音楽の力というのは大きいですよね。特に西川さんは公私ともに長い期間本当に『ガンダムSEEDシリーズ』を応援してくださっていました」と感謝を述べつつ、「小室(哲哉)さんとはじめてお話しさせてもらった時、今回の作品のテーマにすごく共感してくれたんですよ。数日たったら小室さんが『もう一曲作りたい』とおっしゃってくれて、挿入歌が上がってきました」と裏話披露。仲プロデューサーは「びっくりしちゃいましたよね。これ本当の話ですよ」と振り返っていた。(編集部・倉本拓弥)