『ゴールデンカムイ』牛山はコブだけじゃなく耳も特殊メイク!「サンクチュアリ -聖域-」の中田彰輝が担当
野田サトルの累計発行部数2,700万部を突破する人気漫画を山崎賢人(※崎は「たつさき」)主演で実写化する『ゴールデンカムイ』(公開中)で、キャラクターの再現度が高いと話題沸騰の勝矢演じる大男の牛山。牛山といえば、額にある大きなコブが特徴だが、この特殊メイクを手掛けたのが映画『ザ・ファブル』『キャラクター』、Netflixシリーズ「サンクチュアリ -聖域-」数々のヒット作品を手掛けてきた特殊メイクアップアーティストの中田彰輝だ。特殊メイク工房・株式会社 ZOMBIE STOCK の代表を務め、チームとして活動しているという。
【画像】特殊メイクに大反響!『ゴールデンカムイ』場面写真(18点)
本作は、明治末期の北海道を舞台に、“不死身の杉元”の異名をとる元陸軍兵・杉元とアイヌの少女・アシリパ(山田杏奈※リは小文字)が、莫大なアイヌの埋蔵金を巡り軍人や脱獄囚らとバトルを繰り広げるサバイバルアクション。北海道、山形、長野、新潟など大自然が残る日本各地でロケ撮影を行い、原作に忠実な世界観に加え、個性的なキャラクターたちの再現度の高さがSNSで反響を呼び、東宝が行った初日アンケートによると「非常に良かった」が61.6%、「良かった」が34.4%と鑑賞の満足度が高い。
映画『あしたのジョー』のマンモス西役などで知られる勝矢が演じる牛山は、“不敗の牛山”と呼ばれる柔道の達人。大柄で強靭な肉体と、石のように硬い頭を持つ。同じく脱獄犯である新撰組副長・土方歳三(舘ひろし)らと行動を共にし、杉元らと対峙する。
中田が「とても紳士的で誠実。強くて男らしいキャラクター」と評する牛山。額にあるはんぺんのような四角いコブがトレードマークだが、中田はとりわけそのコブの表現に苦心したと振り返る。
「原作者の野田先生が描かれた額のコブは、一体どんな表現なのか? 実際にそのような人を見たことがないので、いかに先生の表現を汲みながらリアルに落とし込むのか、一番悩みました。原作ファンの方々に“え? こういうことじゃないんだけどなぁ”と思われないよう、リアルとフィクションのバランスを取る難しさを感じました」
額のメイクは勝矢の顔を3Dスキャンし、出力した顔型を基に額全体のシリコン素材の人工皮膚パーツを制作。原作のビジュアルでは眉毛がないため、同様に髪の生え際から眉毛の下辺りまでをメイクしている。「特殊メイクは毎回使い捨てになるので人工皮膚を撮影の日数分、型に流さねばならず準備も大変だった」とも。
特殊メイクは、額のみならず耳にも施しているという。両耳をメイクしたうえで額を張り付けて色を仕上げるという工程で、毎回1時間ほどかけて行った。中田が参加したNetflixシリーズ「サンクチュアリ -聖域-」は、一ノ瀬ワタル演じる力士が相手力士の張り手によって耳が吹き飛ぶシーンが語り草になっているが、本作ではどのようなアプローチだったのか。
「牛山の耳も特殊メイクと気付いてない方も多いようですが、実は原作に従って柔道耳を再現しています。これは主に格闘家の方が地面などで擦れたり潰されてできるものですが形や症状もさまざまです。なので資料などでリサーチして参考にしながら制作しました。ただ、『サンクチュアリ』の一ノ瀬さんの耳はこの状態にはなっていなくて、張り手でちぎれ飛ぶ表現を作るのみでした」
中田の創意工夫や努力が結実したかのように、SNSでは勝矢演じる牛山が「再現度高い」「牛山そのもの」「牛山がめちゃくちゃ牛山」と人気を博している。牛山は原作ファンの間でも絶大な人気を誇るユニークなキャラクターだが、中田いわく勝矢本人も「とにかく陽気で楽しい方」。
「音楽をかけていたら音楽にまつわる話がいくらでも出てくるし、映画の話をしたら作品名や監督、俳優の話が無限に出てくる(笑)。知識豊富でいろいろと教えて頂きました。そして人を凄く観察していますね。かと思えばいつの間にかスヤスヤ寝ていらっしゃったり……とにかくめちゃくちゃ面白い方です」と勝矢のチャーミングな人柄に触れていた。(編集部・石井百合子)