朝ドラ「あんぱん」ヒロイン今田美桜の起用理由は?「自然と涙が…」満場一致で決定
2025年度前期の連続テレビ小説「あんぱん」(2025年春放送予定)ヒロイン発表会見が2日、NHK放送センターにて行われ、今田美桜がヒロイン・朝田のぶを演じることが発表された。会見後に制作統括の倉崎憲チーフプロデューサーが囲み会見を行い、今田の起用理由などを語った。
朝ドラ112作目となる「あんぱん」は、アンパンマンを生み出した漫画家・やなせたかしと小松暢(こまつ・のぶ)の夫婦をモデルとしたオリジナル作品。二人の生きた道筋を波乱万丈の物語として再構成したフィクションとして描かれる。脚本は「ハケンの品格」「Doctor-X 外科医・大門未知子」などの中園ミホが手掛ける。
今田は3,365人の応募があったオーディションからヒロインに選ばれた。倉崎は「本当に素晴らしい、名前を出すのももったいないくらいの方々が参加してくれましたが、その中で唯一、演技を見ていて自然と涙が出てきたのが今田美桜さんでした」と起用理由を明かす。最終審査で今田の演技を見守る何人かのスタッフが涙する瞬間が実際にあったといい、「彼女の演技を見た時に僕は彼女がのぶさんに見えたんです。このヒロインなら自分たちも一緒に1年間走っていけるんじゃないかって思えました。満場一致で今田さんにすることを決めました」と話す。
また、倉崎は今田の「ナチュラルで自然な演技」がとにかく印象的だったとも述べ、「不思議なんですが、彼女が部屋に入ってくると彼女の笑顔で現場の雰囲気が変わるんです。いい意味でみんなの緊張が高まるのを僕も肌で感じました。彼女のストイックで真面目で誠実な姿勢に我々も向き合い、一つ一つのセリフへの読解力、なんでこのセリフを言うのかをご自身なりに理解して芝居に落とし込んでいる姿に感心しました」と明かした。資料が豊富なやなせさんに対し、資料が少ないのぶ役を今田に任せることで、「今田さんならではの余白を残して演じてもらえるんじゃないか」と期待を抱いたことも振り返った。
本人には実際に顔を突き合わせ、直接合格を伝えたといい、「12月中旬に発表したんです。(放送時間である)朝8時に来てもらったんですが、それも理由があって、世の中の朝8時はどんな時間かというのをご本人とも共有したかった」と回顧する。合格を伝える際も今田と現在放送中の「ブギウギ」を観ながら「受けていただけますか」と声をかけた。
クランクインは9月を予定しているといい、「今のところは幼少期から始めようと思っています。後ろをどこまで描くかは、世の中が持つやなせさんのイメージはやはりアンパンマンが一番強いと思うので、アンパンマンが生まれる過程を丁寧に伝えたい。アンパンマンが生まれるまでのやなせさんの人生はまさに我々が伝えたいこと」と力を込めた。(取材・名鹿祥史)