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人を不安にさせる天才アリ・アスター、今恐ろしいのは「健康管理」

自身のトラウマについて笑顔で語ったアリ・アスター監督
自身のトラウマについて笑顔で語ったアリ・アスター監督

 映画『へレディタリー/継承』『ミッドサマー』といったトラウマ作品を連発し、“人を不安にさせる天才”とも称される鬼才アリ・アスター監督が、最新作『ボーはおそれている』(全国公開中)を引っ提げ3年ぶりに来日。特報から「みんな、どん底気分になればいいな」と不穏な発言を残していたアスター監督が、幼少期にトラウマになった映画や、“絶叫フェイス”を撮るコツを明かした。

【動画】ホアキン・フェニックスが狂気の帰省…A24『ボーはおそれている』本予告編

 アスター監督が本作で描くのは、ささいなことでも不安になる男・ボー(ホアキン・フェニックス)の狂気に満ちた帰省だ。突如怪死した母の自宅に帰るはずだったボーが、その道中で思いがけない出来事や数多の危機に直面する。

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 映画の構想は、2012年ごろから練っていたと語るアスター監督。しかし、長らく企画が動くことはなかった。「10年近く寝かせたままでした。しかし、私が『ミッドサマー』を撮り終えた後、次の企画について考え始めた時、脚本をリライトして再び『ボーはおそれている』と向き合う機会がやってきたのです」

 本作での挑戦は、全く新しい世界観の構築だったとアスター監督は振り返る。「限られた時間・予算で達成すべきことが山ほどありました。ポスターから壁紙、既存の素材は一切存在しません。途中で登場するアニメーションはかなり時間をかけましたし、ラストシーンもCGを多用して作り上げました。全てをゼロから創り上げる必要があったので、とても複雑な映画だと思います」

最新作『ボーはおそれている』より - (C) 2023 Mommy Knows Best LLC, UAAP LLC and IPR.VC Fund II KY. All Rights Reserved.

 これまで多くの観客にトラウマを植え付けてきたアスター監督だが、幼少期はかなりの怖がりだったという。「ピーター・グリーナウェイ監督の映画や、『キャリー』『オズ』は幼少期のトラウマです」と振り返ったアスター監督。「大人になってそこまで怖がりではなくなりましたが、逆に今は『健康管理』が恐ろしい。人生に対して恐れを抱くことが昔より増えた気がします」と明かした。

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 また、アスター監督作に必ずといってもいいほど登場するのが、役者の絶叫フェイスだ。『へレディタリー/継承』ではトニ・コレット、『ミッドサマー』ではフローレンス・ピュー、最新作『ボーはおそれている』ではホアキンが絶叫している。観客の記憶に残る絶叫フェイスを上手く撮るコツについて尋ねてみると、「カメラの位置は近すぎず、遠すぎてもいけない。絶叫フェイスのためには、それをやるだけで十分です」と回答した。

 次回作は西部劇風の作品になると言われているアスター監督。その後、再びホラー映画を手がける可能性について「いつになるかはわかりませんが、戻ってきたい。アイデアはすでに複数あります」と語っていた。(取材・文:編集部・倉本拓弥)

『ミッドサマー』監督が仕掛ける新たな狂気…A24最新作『ボーはおそれている』本予告編 » 動画の詳細
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