役所広司『PERFECT DAYS』受賞ならず 国際長編映画賞は『関心領域』
第96回アカデミー賞
第96回アカデミー賞授賞式が11日(現地時間10日)に米ロサンゼルスのドルビー・シアターで行われ、国際長編映画賞はジョナサン・グレイザー監督の『関心領域』(イギリス)が受賞した。同部門には日本代表として役所広司主演作『PERFECT DAYS』もノミネートされていたが、惜しくも受賞は逃した。
『PERFECT DAYS』は、『パリ、テキサス』などのドイツの巨匠ヴィム・ヴェンダース監督が東京で撮り上げたドラマ。役所が一瞬一瞬に小さな喜びと美しさを見いだしながら生きる公共トイレ清掃員にふんし、第76回カンヌ国際映画祭で日本人2人目となる最優秀男優賞を受賞したことも話題になった。Comscoreによると、先月18日時点で世界興行収入が2,430万ドル(約36億円・1ドル150円計算)を超えたといい、ヴェンダース監督史上最大のヒット作となっている。
そんな『PERFECT DAYS』を抑えてアカデミー賞国際長編映画賞に輝いたのは、第76回カンヌ国際映画祭で共にパルムドールを競った『関心領域』だ(カンヌではグランプリを受賞)。“関心領域”は第2次世界大戦中のアウシュヴィッツ強制収容所を取り囲む地域を指す言葉で、本作は収容所のすぐ隣のすてきな家で暮らすナチス親衛隊一家の満ち足りた日々を映し出す。淡々としていてきれいなのに、内側から吐き気がするほどのグロテスクさがにじみ出ているという衝撃的な意欲作で、アカデミー賞では作品賞、監督賞、脚色賞、音響賞にもノミネートを果たしていた。日本公開は5月24日だ。(編集部・市川遥)