「光る君へ」井浦新、道隆のずるさ指摘 緊迫の後継者指名の裏側
吉高由里子主演の大河ドラマ「光る君へ」(NHK総合・日曜午後8時~ほか)で藤原道隆を演じる井浦新が、7日放送・第14回で描かれた道隆が父・兼家(段田安則)から後継者に指名されるシーンの裏側を明かすなかで、弟・道兼(玉置玲央)を巡るショッキングな展開に複雑な思いを語った。ドラマ公式X、公式サイトなどで公開されたインタビュー動画「君かたり」内で語っている。
井浦にとって大河ドラマの出演は崇徳天皇役で反響を呼んだ「平清盛」(2012)以来、12年ぶり。主人公・紫式部(まひろ)を演じる吉高とは映画『蛇にピアス』(2008)やドラマ「最愛」(2021)などで度々共演している。本作は平安中期の貴族社会を舞台に、のちに世界最古の女性文学といわれる「源氏物語」を生み出した紫式部を主人公にしたストーリーで、井浦が演じるのは「源氏物語」の主人公・光源氏のモデルとも言われ、平安貴族社会の最高権力者となる藤原道長(柄本佑)の兄で、現摂政・兼家の嫡男。才色ともに優れており、上品さ、明るさをも兼ね備えた跡継ぎとして大事に育てられた。
第14回「星落ちてなお」では摂政の兼家が息子の道隆、道兼、道長を集め、関白の座を退き出家すること、後継者を道隆とすることを告げる。井浦は本シーンをこう振り返る。
「道隆は兼家父上の息子たち娘の中で僕の勝手な解釈だと一番父上に影響を受けている人物だろうなと思います。だから道兼とはまた違う影響を受けていて、家督として温室の中で大事に大事に育てられてきたからこそ、本当に疑いもなく父上のやってきていることはすべてを学びながら参考にしながらという意味で一番影響を受けている人物でもあると思うので、家督は道隆にするということばがきたときはいよいよ自分の時代が訪れるんだっていう、そういう思いに火がつく瞬間でしょうね。野心的な。それを野心という一言で表現するのは僕は乱暴だなと思っているんですけど、自分の中で道隆は父上が大事に大事に実践してきた思想、自分の家の中で権力をつなげて回していくという、この思想を道隆なりにこれからやっていく。それの準備が入内させる定子、嫡男(伊周)とそれを支えていく弟(隆家)っていうすべてができているので、いよいよ自分なりの政を始められるんだっていう火がつけられるところ。のろしが上がるところだろうなと思いました」
道隆を後継者に指名したことに異を唱えたのが道兼。兼家の野心をかなえるべく、これまで円融天皇(坂東巳之助)に毒を盛ったり、次の帝・花山天皇(本郷奏多)を懐柔して出家の後押しをしたりと汚れ仕事を一手に引き受けてきた道兼は「父上は正気を失っておられる。父上の今日があるは私の働きがあってこそ」と激高。しかし兼家は「黙れ、正気を失っておるのはお前の方じゃ。お前のような人殺しに一族の長が務まると思うのか。大それた望みを抱くなぞ許し難し」と一蹴する。この時、道兼は兼家の陰謀の数々を暴露し、道隆は驚愕の表情を浮かべていたがどのような心境だったのか。
井浦は「知らなかったことに対して驚きはあったと思うんですが、僕の中では道隆もずるさとか、弟が全部そういうところを背負っているのはもちろん知っていて、そこは見ないふりをして全部任せていたっていうこともあっただろうなって。だから、あのシーン、道兼に対しては驚きとともにそれが確信に変わったりとかして申し訳なさとか、そこはお前に任せたよっていう思いだったりとか、一つ二つだけの感情だけじゃないと思いました」と解釈を述べている。(編集部・石井百合子)