『マッドマックス』フュリオサ前日譚は『怒りのデス・ロード』と共に生まれた ジョージ・ミラー監督、最高の物語に手応え
公開が迫る映画『マッドマックス:フュリオサ』(5月31日全国公開)を手掛けたジョージ・ミラー監督が、第88回アカデミー賞において最多6部門で受賞したヒット作『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(2015)の前日譚となる、本作誕生の経緯を語った。
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『怒りのデス・ロード』で、荒野の支配者イモータン・ジョーに反旗を翻した義手の戦士フュリオサの過去を描く『マッドマックス:フュリオサ』。前作で、全編にわたる壮絶な芸術的カーチェイスを描いたミラー監督は「『怒りのデス・ロード』は3日間、2晩の間に起きた出来事を描いた。立ち止まって長い説明シーンを入れる時間はなかったんだ」と振り返る。
「そうしながら、(映画に)一貫性を持たせるため、僕たちはその間に見たこと、感じたこと、聞いたことをすべて理解する必要があった。それで、フュリオサが『怒りのデス・ロード』の冒頭にたどり着くまでの物語を書いたんだ。彼女が子供の頃に連れ去られた瞬間からロード・ウォリアーになるまで、そして最終的には、イモータン・ジョーから逃れようとする5人の妻たち(ワイブス)を手助けをするまでの物語をね」
「そのストーリーを書いた時点で、僕らは『これは本当にいい話だ』と考えた。それで、(『怒りのデス・ロード』も手掛けた)ニック・ラソウリスと僕で脚本にした。つまりこの映画は、『怒りのデス・ロード』のストーリーを語るために、すでに存在していたんだよ。マックスについても同じようなことをした。『怒りのデス・ロード』の1年前の彼の物語を急いで書いたんだ。脚本ではなく、ほとんど短編小説のような形でね」
若くして家族から引き離されたフュリオサは、ウォーロード・ディメンタス将軍(クリス・ヘムズワース)率いるバイカー軍団の手に落ち、荒地で戦いに明け暮れる男達と行動を共にしていくうちに、城塞都市に君臨するイモータン・ジョーと出会う。フュリオサの“エピソード0”とも言うべき物語は当時、『怒りのデス・ロード』で彼女を演じた、シャーリーズ・セロンからも絶賛されたとミラー監督は語る。
「『怒りのデス・ロード』を撮影する1年前だったかな。はっきり覚えていない。でも、シャーリーズに『フュリオサ』の脚本を見せたら、彼女は『なんてこと。これを先に作れない?』と言ったんだ。僕は、『このストーリーはお墨付きだ』と思ったけど、まずは長い間準備してきた『怒りのデス・ロード』を作る必要があった。そして何年も経って、ようやく惑星が一直線に並び、ここで『フュリオサ』の話をしているというわけだ」。
最新技術による俳優の若返りを選ばなかったミラー監督は、前作から9年を経て、若き日のフュリオサ役に「クイーンズ・ギャンビット」のアニャ・テイラー=ジョイを起用することになった。しかし本作は、これまでの『マッドマックス』とは一線を画す物語になるという。「それ以前の『マッドマックス』映画は、主人公を除いて、すべてがつながっているわけではなかった。異なる世界があり、異なるスタイルの映画作りがあった。しかしこの映画は『怒りのデス・ロード』に直結しているんだ」(編集部・入倉功一)