カンヌ審査員の是枝裕和監督「責任を果たさなければ」 豪華メンバーと会見に登場
第77回カンヌ国際映画祭
現地時間14日、第77回カンヌ国際映画祭でコンペティション部門の審査員会見が行われ、カンヌ常連で『万引き家族』では最高賞パルムドールを受賞した是枝裕和監督が豪華なメンバーと共に登場した。
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日本人監督が同審査員を務めるのは、2013年の河瀬直美監督以来2人目となる。是枝監督は「審査員はほとんど初めてで新人のようなものなのですが、ティエリー(※カンヌ映画祭ディレクター、ティエリー・フレモー)から、自分を育ててくれた映画祭でもらった賞を、次の世代に渡す役割を担ってほしいと言われて、そういう責任を果たさなければいけないなという思いでここに座っております」と意気込む。「昨日審査員の皆さんとお話をして、ディナーを食べて、とても和やかな時間を過ごすことができたので、いい2週間になればいいなと思っております」と期待を語った。
今年の審査員長は『バービー』の大ヒットも記憶に新しいグレタ・ガーウィグ監督で、ガーウィグ監督を含めた審査員団は総勢9名。是枝監督、元ボンドガールとしても知られる女優のエヴァ・グリーン(フランス)、『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』の女優リリー・グラッドストーン(アメリカ)、『存在のない子供たち』の監督・脚本家ナディーン・ラバキー(レバノン)、『雪の轍』の脚本家で写真家のエブル・ジェイラン(トルコ)、『最強のふたり』やドラマ「Lupin/ルパン」の俳優オマール・シー(フランス)、『雪山の絆』の監督、プロデューサー、脚本家J・A・バヨナ(スペイン)、『シチリアーノ 裏切りの美学』の俳優ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ(イタリア)が名を連ねる。
アメリカ人女性監督として初めて同審査員長を務めるガーウィグ監督は、「夢がなかった以上のことです。わたしが好きなのは、映画を観て、議論すること。これからの約2週間、素晴らしい映画のアーティストたちとそうできることに興奮しています」と喜びのコメント。エヴァ・グリーンは「アートは主観的なものなので難しいですが、大変なことだからこそ責任を持ってやらなければいけないと思っています。わたしたちの決断が、フィルムメイカーの人生を変えることになるかもしれないのですから」と責任の重さを語る。
ナディーン・ラバキー監督は期待する作品について、「わたしが観たいのは、目を開かせてくれる、物事の見方を変えてくれる映画です。わたしは映画の力を信じていて、よくない現状を変える力があると思っています。それは自分が監督としてやりたいと思っていることであり、観客として観る映画にも期待していることです」と明かしていた。
今年のコンペティション部門には残念ながら日本映画の選出はなかったものの、デヴィッド・クローネンバーグ監督、パオロ・ソレンティーノ監督、ジャック・オーディアール監督といった常連組の新作に加え、久々となるフランシス・フォード・コッポラ監督作、ポール・シュレイダー監督作、そしてアカデミー賞を席巻したばかりのヨルゴス・ランティモス監督作など注目作がそろっている。(編集部・市川遥)
第77回カンヌ国際映画祭は現地時間5月25日まで開催