『あぶない刑事』シリーズは今後どうなる?続くための条件とは
伝説的人気シリーズの『あぶない刑事』が8年ぶりに『帰ってきた あぶない刑事』(公開中)として復活を遂げた。38年もの間愛され続け、2026年にはシリーズ40周年を迎える『あぶない刑事』シリーズの今後はどうなるのか? 長年本作のプロデューサーを務めてきた近藤正岳がシリーズの行方を語った。
舘ひろし&柴田恭兵の健在ぶりに脱帽
当初2クールの予定でスタートしたテレビドラマが好評のため1年間放送されるなど“予定調和”が似合わない「あぶない刑事」シリーズ。2016年に劇場公開された『さらば あぶない刑事』も舘ひろし演じる鷹山敏樹と柴田恭兵ふんする大下勇次が、刑事を引退というまさに「さらば」の内容で有終の美を飾ったと思われたが、8年後の2024年、『帰ってきた あぶない刑事』で戻ってくることが発表されると、SNSなどでは「待ち望んでいた」という多数の声であふれ作品としての人気の高さをまざまざと見せつけた。
今年74歳になった舘と72歳を迎える柴田。近藤プロデューサーは「とにかくお二人の身体能力が高いんです。冷静に考えると、お二人とも70歳を過ぎているんですよ。信じられません」と、本作でも壮絶なアクションシーンを軽々とこなす姿に脱帽したという。さらに「フィジカルの強さはもちろんですが、ポンポンとセリフを言うところも、年齢を重ねていくと、簡単にはいかない。本当に素晴らしい」と心技体すべてがそろっている舘と柴田の充実ぶりを絶賛する。
この言葉通り、劇中では鷹山の代名詞である両手離しでのハーレーの運転や、大下のロングランなどファンにはたまらないシーンが満載だ。しかもどれも舘、柴田自身が行っているという。
近藤プロデューサーは「基本的にすべて本人たちがアクションはやっています。逆に言えば、自ら両手離しでバイクに乗れなかったり、走れなくなったりしたら、舘さんも恭兵さんもこの役を引き受けないと思います」と自分たちでやれるからこそ『あぶない刑事』は続いているんだと強調すると、「舘さんはいつも『バイクの両手離し運転なんて簡単だよ』というのですが、誰でもできるものではないと思います。しかも映画なのでしっかりフレームに入らなければいけないわけで……」と匠の技を絶賛する。
レジェンドたちが起こすミラクル
気力、体力の充実はもちろん、スターならではの“持っている”こともレジェンドと呼ばれる所以だと、近藤プロデューサーは劇場版第1作で目撃した出来事に触れる。
「鷹山が、犯人が乗っているトラックと並走するシーンで、砂利が積まれたトラックの荷台にバイクから飛び乗るというアクションがありました。かなり危険なシーンだったのですが、舘さんは自分でやるという話になって……。もしものことがあると大変なので、撮影最終日に行ったのですが、舘さんは一発で成功させたんです。それだけではなく、舘さんがトラックに乗り移ったあと、無人のバイクもしばらく走っているのですが、そこでバイクがシューっときれいな弧を描いて倒れていくんです。そのシーンを見たとき、舘さんだけではなくバイクもしっかり演技をしているなと。僕はそのとき宣伝担当だったのですが『この映画は絶対当たる』と確信しました」。
こうした事例は、『あぶない刑事』のシリーズでは頻繁にあったという。今作でも「舘さんがショットガンを撃つシーンで排莢するのですが、カートリッジが飛んでいくときの画もすごくきれいなんです」とラスト近辺で鷹山が銃をぶっ放すシーンに触れると「一作目を思い出しました。まあ偶然なんでしょうが、『あぶない刑事』というのは舘さんや恭兵さんの圧倒的な存在感によって、細部にまで神が宿っているような感じがします。二人のケミストリーが格好いい世界観を作り上げているんだと思います」と語っていた。
だからこそ「舘さんと恭兵さんが格好いい限りは続けていきたい」と近藤プロデューサーは力説する。続けて「そのためには、二人が面白いと納得してもらえる物語を作っていかなければいけない」と製作陣にも大きな覚悟が必要だという。
『あぶない刑事』は2年後、40周年を迎える。近藤プロデューサーは「さすがにちょっと近すぎませんか?」と笑うと「これまでのスパンを考えると、間隔が短いかなとも思うんです。でも最終的にはファンの方が楽しみにしてくださるかどうかで決まると思うので……」と今作の反響を楽しみにしている様子だった。(取材・文:磯部正和)