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草なぎ剛、涙する服部樹咲をねぎらう『ミッドナイトスワン』185週のロングラン上映に幕

涙する服部樹咲(右)をねぎらった草なぎ剛(左)
涙する服部樹咲(右)をねぎらった草なぎ剛(左)

 草なぎ剛が26日、TOHOシネマズ日比谷で行われた映画『ミッドナイトスワン』ロングラン最終上映御礼舞台あいさつに、服部樹咲内田英治監督と出席。185週にわたって上映が続いた本作の終幕に、感慨深げな表情を見せた。

【画像】圧巻の演技!『ミッドナイトスワン』での草なぎ剛

 トランスジェンダーの凪沙(草なぎ)と育児放棄された少女・一果(服部樹咲)が、社会の片隅でひっそりと心を通わせていくさまを描いた本作。2020年9月25日の初日からおよそ3年9か月。第44回日本アカデミー賞最優秀作品賞と最優秀主演男優賞を獲得するなど高い評価を獲得し、その後も毎週水曜日にTOHOシネマズ日比谷でロングラン上映が続けられており、興行収入は9億円を記録している。

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 最終上映を迎えた中、満席の場内に登場した草なぎは「本日は皆さまの貴重な時間をこの映画に費やしていただいて、満員御礼で(草なぎがCM出演する『1本満足バー』にかけて)僕も1本満足なんです」とご機嫌な様子であいさつ。テレビ取材も多く入った報道陣を見渡し、「あの頃はテレビの方も来てくれなかったんですが、今日はテレビが入ってるということで、若干空回りぎみです」と冗談めかして語った。

 続く服部も「4年たってもまだこんなに愛されているんだ、ということを、満席の劇場を見て実感しています。まさかこんなにも長い間愛される作品になるなんて、夢にも思ってなかったので、ビックリしています」と心境を明かした。

草なぎ、満員の会場に“1本満足”

 4年という歳月が過ぎ、「樹咲ちゃんも大人になられて。僕よりも背が高くなった。本当にうれしいですよ」と驚く草なぎに、「今、高校3年生。来月18歳になります」と服部。さらに、草なぎが「皮のパッチワークでできたブル(フレンチブルドッグブル)のぬいぐるみを樹咲ちゃんからもらって。今でも見えるところに飾って、毎日見てます」と明かすと、服部も「良かったです」と笑顔を見せた。

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 服部は最近、韓国ドラマにハマり、韓国語を勉強しているという。韓国語が得意な草なぎとも、韓国語での会話を披露し、「発音もめちゃめちゃネイティブ。すごいよね。僕はもう忘れちゃった」と感心した様子の草なぎ。「これからもっと大人になって。スワンのように、世界に羽ばたいてほしいですね」としみじみ語った。

 185週にわたるロングラン上映の反響はSNSでもチェックしているとのことで、草なぎは「今はいいですよね。映画を見終わったら個人が発信できる時代なので。ダイレクトに感想をのぞき見できるので、いい時代になりました」と語る。さらに内田監督が「いろんな方から手紙をいただいたりしましたし、香取(慎吾)さんが僕のところに来て、目をキラキラさせながら『剛くんどうでした?』って。現場の様子を知りたがっていましたね」と語ると、草なぎも「すごい感銘を受けてくれたみたいですね」と笑顔を見せた。

 服部は撮影を振り返り、「自分が楽しかったとか、現場の雰囲気は鮮明に覚えているんですけど、スタッフさんの動きや、監督の動きを見ていなかったのが惜しいなと思っていて。だから大人になった今、もう一回、監督の現場に入ってみたいし、草なぎさんとも演技したい」と再タッグを熱望する。それを聞いた草なぎも「それは集中してたんだよ。余計なものを見ないで向き合ってたんだよ。すばらしいね。また違う役でお仕事したいね」と返答し、「お互い、あの時にしかできない表現があったから。樹咲ちゃんを見るとグッときちゃうな」としみじみ。

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 さらに「『ミッドナイトスワン』があるから今の僕はいる。映画は自分の人生において大きなものなので。凪沙に出会えたから、今の最高な自分になったと思う。一果ちゃんもそうですが、監督がいい役にめぐり会わせてくれたおかげで、幸せな4年を生きられています」と力を込めた草なぎ。そして服部が「当時は夢みたいで。実感も沸かずに頑張っていましたけど、この間ふと思ったのは、女優としてはあれがデビュー作でしたけど、バレエで言うと集大成みたいなものだったな……」と語ると、その瞳からはみるみる涙が。

涙を流した服部樹咲

 その気持ちをおもんばかるように、草なぎも「樹咲ちゃんは本当に大変だったんですよ。セリフも初めてだし、踊りもやらないといけなかったから。だから世界中のプロのバレエダンサーが見ても、きちんと踊れるようにしていたから」と語ると、内田監督も「コロナで撮影も中断しちゃって。その間、練習もストップしてしまったから、すごく苦しくて。気持ちをつなげるのも大変だったからね」と服部の頑張りをねぎらった。

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 そんな二人の俳優を見て、内田監督は「ほぼ4年ぶりにお会いしたんですけど、ふたりとも大切な俳優さんなので。大切な作品でいつかご一緒したいなと思っていて。樹咲ちゃんに関しては見守るみたいな。そういう日がきたらまた一緒に仕事したいなと思っています」とコメント。3人のタッグを期待する会場からは、大きな拍手がわき起こった。

 最後に草なぎは「自分でも信じられないんですよね。凪沙という役を自分がやったというのは。5年も前ですし。もしかしたら自分の中に、自分の知らない何かがあるのかもしれない。それはすてきなことで。なので、自分の可能性とか、自分の未来を諦めないでもらいたいなと、そんなことを言いたいですね。そんなことを、凪沙を通じて思いました。大変なことがあっても、自分も知らない自分が必ず眠っていると思うし、乗り越えるチャンスがあると思うので。この映画で前向きになってくれたら」と呼びかけた。(取材・文:壬生智裕)

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