『パラサイト』イ・ソンギュンさんの遺作『脱出』がついに公開!チュ・ジフンら出演陣が思い出を語る
『パラサイト 半地下の家族』などで知られるイ・ソンギュンさんの遺作『脱出:PROJECT SILENCE(原題)』(以下、脱出)のマスコミ向け試写会が、8日、ソウル市内の映画館で開催され、チュ・ジフンはじめ、キム・ヒウォン、パク・ヒボン、キム・スアンらキャスト、そしてキム・テゴン監督が上映後の会見に出席。映画の見どころをアピールすると共にソンギュンさんを偲んだ。
映画『脱出』は、濃霧の発生によって孤立した空港大橋で、制御不能となった軍用実験犬から逃げ惑う人々を描いた災害パニック映画。青瓦台の行政官チャ・ジョンウォン(ソンギュン)は、留学に向かう娘をインチョン空港へ送る途中、事故に巻き込まれる。事故現場にレッカー車で駆け付けたチョ・バク(ジフン)、犬たちの統制が利かなくなりパニックに陥るヤン博士(ヒウォン)は、孤立した橋の上でサバイバルをかけて犬たちと死闘を繰り広げる。
本作は2023年にカンヌ国際映画祭ミッドナイトスクリーニング部門で公式上映され、その後劇場公開される予定だったが、ソンギュンさんの麻薬使用疑惑の影響により劇場公開が延期。関係者にとっては待望の劇場公開であるが、テゴン監督は「彼がこの場にいてくれればよかった」と前置きし、「映画の準備段階から実際の撮影まですべての装置と空間に対する理解が必要でした。私が見落とした部分をソンギュンさんはきっちり把握していて、キャラクターの感情や動線について話し合いました。そのような要素1つ1つをやり取りしながら、映画の全体像を作っていったんです」とソンギュンさんとの撮影を振り返った。
また、娘のギョンミンを演じたスアンも「ソンギュンさんには随分助けられました。ギョンミンは言葉もキツくて自由奔放な性格です。私が気負うことなく演じられるよう配慮してくれたのがありがたかったです」と思い出を語った。
これまで二枚目キャラを演じることが多かったジフンだが、本作ではイメージを覆すぶっとんだキャラクターを演じている。これについて「シナリオを読んでチョ・バクのキャラクターに惹かれました。日常にいそうなキャラクターですが、映画の中できちんと自分の役割を果たしているのがいいですね」とジフン。続けて、「1つのイメージに凝り固まるのでなく、最近では色んな役のオファーが来るようになりました。ビジュアルについては、僕が子供の頃に、オートバイでプロパンガスを運んでいた見た目が不良っぽい兄貴たちをイメージしました。監督と相談し、ヘアメイクの方から数案出してもらい、ビジュアルを作っていきました」と明かし、今後も魅力ある役であればどんな役でもやりたいという貪欲さを見せていた。
本作に登場する軍用実験犬はCGで作られており、VFXを手掛けるのは映画『神と共に』シリーズや『THE MOON』など、ビジュアルに定評のあるデクスタースタジオ。実際に犬と対峙しているわけではない難しさについて、ジフンは「モニターでこのように犬が襲ってくると見せてくれ、それに合わせて演じるのですが、その恐怖の実感を表現するのが難しかったです。演じるにあたり監督やスタッフとしっかり打ち合わせをするのが最良の方法だったと思いますね」と撮影での苦労を明かした。
『脱出:PROJECT SILENCE』は、7月12日より韓国で劇場公開される。(土田真樹)