永瀬廉&出口夏希、愛する人を看取りたい?看取られたい?『よめぼく』期限付きの恋で得た答え
森田碧のベストセラー小説を実写映画化したNetflix映画『余命一年の僕が、余命半年の君と出会った話。』。本作で余命1年の僕=早坂秋人を演じた永瀬廉(King & Prince)と、余命半年の君=桜井春奈を演じた出口夏希。相手を思い合う“優しさ”に満ちあふれたピュアなカップルを演じた二人が、約1年前に神戸を拠点にオールロケで行われた撮影を振り返った。(取材・文:磯部正和)
【動画】永瀬廉、まさかのコメント被り!『余命一年の僕が、余命半年の君と出会った話。』配信記念イベント
お互い「人見知りなのかな?」
Q:お互いがお互いのことを思う優しさに包まれた作品でしたが、それぞれの演じたキャラクターの“優しさ”をどのように表現しようと心掛けていましたか?
永瀬:今回の作品に関しては、優しさを意識するというよりは、いかに相手を想うか……というところだと思いました。相手のことを1番に考えることによって、自然と自分も優しくなれる。秋人がどれだけ春奈を想っているかということを考えて、そこに寄り添って演じていました。
出口:目に見えないところで優しさをくれる秋人くんに対して、それがわかっていても口にしないのが春奈の優しさ。人の優しさに気づくことの優しさみたいなものを意識していました。すごく学びの多い作品になりました。
Q:初共演のお二人ですが、秋人と春奈の距離の縮まり方と実際のお二人の距離感は近いものがあったのでしょうか?
永瀬:そうですね。秋人も最初から春奈に対して想いを持っていたわけではない。出会ったころは、真っ暗だった自分の人生に、明るく光を照らしてくれる存在だった。それが一緒の時間を過ごすことで、残された時間に何をすべきかを気づかせてもらった。その距離の縮まり方は、実際の僕らの関係性に近かったかもしれません。
出口:本当に永瀬さんの距離の詰め方が、秋人と春奈の距離感に似ていました。最初はお互い人見知りなのかな……と思うぐらい全然話をしなかったんです。でも神戸の病院での撮影ぐらいから、グッと距離が縮まって……。「秋人くん!」って感じになりました。
Q:意識して初対面の関係性を役柄に生かそうとおもっていたのですか?
永瀬:いや自然とですね。言われてみたら、そうだったなと。
Q:仲が良くなっていけばいくほど、辛くなっていきますね。
永瀬:割と物語の順番で撮影もできたので、だんだん春奈が弱々しくなっていく姿を見ると、素で「ほんまに大丈夫? 体調悪い?」って声を掛けそうになっちゃいました。それだけ入り込めていた撮影だったと思います。とてもやりやすかったです。
Q:余命1年と余命半年の相手との出会い、お二人だったら看取りたい? 看取られたい?
出口:私は先にいきたいです。多分残されてしまったら悲しくて悲しくて。やっぱりお相手の方に私の分まで生きてもらいたいです。
永瀬:大切な人よりも先にいってしまうのはちょっと嫌かもしれません。僕が最後まで寄り添って最期をちゃんと見届けて、これから自分が何をすべきかを考えたいです。
出口:素敵です!
永瀬のさりげない優しさ
Q:お互いに実際に現場でご一緒してみて、いかがでしたか?
永瀬:最初は僕もあまり喋れませんでしたし、出口さんはとても静かな感じかなと思っていたのですが、全然そんなことなかったです(笑)。スタッフさんからも愛されるんだろうなという無邪気さを現場で感じていました。周囲を明るくするタイプですね。
出口:秋人くんもそうなのですが、永瀬さんは、あまり相手に対して優しいことをしていても本人に言わないタイプ。とても周囲を観察して、気を使える方。でもそれをアピールしない……みたいな。すごいなって思いました。
Q:メガホンを取った三木孝浩監督が永瀬さんに「声が好きで、陰のニュアンスを持っている方」というイメージを持っていたと公式インタビューで答えていました。
永瀬:顔合わせのとき、三木監督から「秋人くんの憂いの部分を大事に演じて欲しい」と言われました。自分では人からどんなイメージを持たれているか……というのはわからないのですが、そういうイメージを持ってもらえるのは嬉しいです。お芝居を通して、自分でも気づいていない部分を見てくださるというのは、幅が広がるようでありがたいです。その意味で、他の人から見た自分のイメージというのは大事にしたいです。
Q:出口さんの印象を三木監督は「キラキラしていて死ななそう」とインタビューで答えていました。
永瀬:それちょっとわかる(笑)。
出口:最初に監督とお会いしたとき「春奈は暗くない子なので、死ななそうな元気な感じで演じてほしい」と言われたんです。私も「そうだよな」と思いました。病気なのですが、すごく前向きな春奈をやってみようと意識しました。
永瀬:秋人も、春奈が死ぬことを怖がっていないところに興味を持ったんですよね。同じく余命を宣告された存在なのに、ハツラツとしている。監督がおっしゃっていたように「本当にこの子は死んでしまうのかな?」という子だったから、すごく秋人にとっても惹かれる存在だったのだと思います。その意味で、出口さんのお芝居はすごく気持ちを持っていきやすかったです。
どうしても涙がこぼれてしまう…
Q:お二人のシーンで印象に残っているシーンはありますか?
永瀬:秋人が春奈の絵を描くシーンですね。そこでの会話のやり取りはすごく印象に残っています。
出口:わたしもそのシーンはすごく思い出深いです。台詞がとても長かったのですが、迷わず言えました。それだけ春奈の気持ちに迷いがないぐらい感情移入できたシーンだったのでぜひ観てほしいです。
Q:二人が花火を見る場面も切ないです。
出口:そのシーンもとても切なかった。
永瀬:僕もしんどかったなぁ……。
出口:三木監督から「泣かないで」と演出があったのですが、どうしても涙が出てしまう。現場でOKが出たのは涙を流さないカットだったのですが、実際に映像で使われていたのは涙が流れていたカットでした。本当に涙が止まりませんでした。
Q:リミット(期限)のある恋が描かれていますが、お二人は何かリミットを意識して行動したことはありますか?
永瀬:僕の仕事って、決められたことに向けて準備することが多いんですよね。例えばライブに出るときは、期日までに何十曲も振り付けを覚えなければいけない。自分で決めるというよりは、決められてそこに向かって頑張るという日々ですね。
出口:わたしもそうですね。あまり自分で決めて何かを行動したことはないかもしれません。いまは毎日台本をしっかり覚える……など日々のやることで精いっぱい。まだ22歳なので、これから大人になるにつれて、自分で決めて行動していくようになることは増えるのかなと思います。
Q:主題歌の「若者のすべて」という楽曲も作品を素敵に彩っていますね。
永瀬:この作品の持つキラキラや、残された時間の尊さを際立たせてくれる曲だと思います。花火のシーンとリンクしていたり……。作品を観てから「若者のすべて」を聴く機会がより増えました。
出口:元々すごく好きな曲だったのですが、ヨルシカさんがカバーされると聞いて、とても楽しみでした。エンドロールに流れたとき、余韻がすごかった。すごく悲しい展開なのに、この曲が流れると、とても前向きになれるんです。
Q:“いま”を懸命に生きた秋人と春奈。お二人にとっていま最も情熱を捧げていることは?
永瀬:最近、カップ焼きそばを作ることに情熱を捧げています。
出口:えっ? どういうこと?
永瀬:僕この間入院をしていたのですが、そのときカップ焼きそばを食べたくなって食べたんです。そのときの湯切り加減とかソースの絡み具合が、めちゃくちゃ良くて、本当においしかったんです。家でもうまく作れるようになりたいなと思って結構試行錯誤しています。だいぶ熟練になってきたのですが、僕的にはちょっと早めに湯切りするとおいしくなるんです。
出口:このエピソードのあとに話すのは難しいですね(笑)。なんだろう……。いま撮影と家の往復の日々なので、なかなか何かに取り組むことがないんですよね、、しいて言えばとにかく睡眠時間を確保することを第一に考えているので、いい寝具との出会いに情熱を注いでいるかもしれません(笑)。抱き枕がベッドに3~4個あるんです。ベストなものを早く見つけたいです!
Netflix映画『余命一年の僕が、余命半年の君と出会った話。』世界独占配信中
永瀬廉 ヘアメイク:スタジオまむ 増澤拓也/スタイリスト:横田勝広(YKP)
出口夏希 ヘアメイク:Otama/スタイリスト:道端亜未