山崎賢人の『キングダム』主人公と重なる人望の厚さ 松橋Pが明かす
原泰久の累計発行部数1億部(2023年11月時点)を突破する漫画を実写映画化するシリーズの第4弾『キングダム 大将軍の帰還』が公開中だ。本シリーズで主人公・信を演じた山崎賢人(※崎は「たつさき」)の魅力について、これまで数々の映画でタッグを組んできた松橋真三プロデューサーが語った(※一部ネタバレあり)。
紀元前・中国春秋戦国時代を舞台に、天下の大将軍になる夢を抱く戦災孤児の少年・信と、中華統一を目指す秦国の若き王・エイ政(吉沢亮※エイは、上に亡、中に口、下左から月、女、迅のつくり)を描く本シリーズ。前作『キングダム 運命の炎』(2023)の舞台挨拶では山崎が、王騎将軍を演じる大沢たかおからの「大御所も多いなかでの主演で、すごく不安だったと思う。でも彼が愚直に信を演じ、とにかく一本気な信というキャラクターを徹底的にやってくれたおかげで第1弾がヒットした」、松橋らプロデューサー陣からの「怪我をしようが、疲れていようが、心配をかけまいといつも明るく撮影現場に来てくれたことに、どれだけ我々が救われ、勇気づけられたことか」などのねぎらいの言葉に涙する一幕があった。
そんな山崎と同シリーズをはじめ『オオカミ少女と黒王子』(2016)、『斉木楠雄のΨ難』(2017)、『夏への扉 -キミのいる未来へ-』(2021)など数々の映画でタッグを組んできた松橋Pは、山崎が信役で成功を収めた理由をこう分析する。
「山崎くんとは長い仲なのですが、彼はすごくピュアで誠実な人。まっすぐな性格で、考え方などもともと持っているものがすごく信に近いんです。撮影するなかで、自分の中ではずっと信と山崎くんが≒のような存在になっていました。彼とは映画のこと、役柄へのアプローチといった話もすれば、面白かった漫画やおいしかったお店とかたわいもない話もします。もはや友人というか息子のような存在でもあります」
劇中、戦で武功をあげた信は王騎将軍から、率いる特殊部隊に「飛信隊」の名を授かる。飛信隊の面々は揺るぎない信念を抱く信に固い信頼を寄せ、一丸となって命がけで守ろうとしていくが、誰もがついていきたくなる人望の厚さもまた山崎と重なるという。
「本当に全く押し付けがましくなく“みんな頑張るぞ!”みたいに声を上げるのでもなく、山崎くんが頑張っている姿を見ると、みな自ずと“自分も頑張らねば”と思ってしまう。今回、彼の成長もひしひしと感じていて、編集をしているときに過去シリーズの映像も見ていたら、特に第1作の頃はすごく幼い感じがして。信の成長に彼を重ねられることがまた、このシリーズに厚みをもたらしてくれている気がします」
~以下、ネタバレを含みます~
その信が、第4作では前作『運命の炎』から続く秦と隣国・趙の国の存亡をかけた「馬陽の戦い」に身を投じ、吉川晃司演じる強敵・ホウ煖(※ホウはまだれに龍が正式表記)と対峙することとなる。本作で山崎がとりわけ光ったシーンとして、松橋Pは王騎VSホウ煖の戦いの場面を挙げる。
「素晴らしいシーンはたくさんありますが、個人的に一番好きなのは王騎とホウ煖が激突したときに、信が王騎を守るためにある行動を起こすところ。実は、原作ではこの行動を起こすのは信ではなく騰(王騎の側近で副官)なんです。だけど、僕はこの役目は絶対に信でなければならないと考えてそのように提案させていただきました。要は信がまだまだ王騎に至らないということは、ホウ煖にもかなわないということなんです。でも、ホウ煖の刃を一度魂で受け止めることが今の信にやれることだと。“ホウ煖に一発返すんだ”という思い、そこが重要です。それから信が馬上で王騎から“継承”の話を聞くことになりますが、その時の山崎くんの表情も最高だなと思います」
気になる今後のシリーズ継続については「わたしは常にやりたいと言っているし、まだまだ続けていきたいと思っています。とはいえ、わたしが決められることではないですし、今回の結果次第というところもあります。第1作のころに比べると出演者がみな大スターになってしまっているのでキャスティングやスケジュール調整、資金面といったこと、次はどのエピソードをやるのかという問題もある」と慎重ながら意欲を見せていた。(編集部・石井百合子)