「光る君へ」一条天皇が歌を詠むのは定子、彰子どちらか?塩野瑛久、彰子への複雑な思い明かす
吉高由里子が紫式部(まひろ)役で主演を務める大河ドラマ「光る君へ」(NHK総合・日曜午後8時~ほか)で、66代・一条天皇を演じる塩野瑛久(しおの・あきひさ)。中宮・定子(高畑充希)が皇子を産み、ますます定子への愛が深まる一方で、左大臣・道長(柄本佑)の娘で女御となった彰子(見上愛)との関係に思い悩む一条天皇について、塩野が解釈を語った。21日放送・28回放送後、公式Xなどで公開されたインタビュー動画「君かたり」内で明かしている。
このところ定子への寵愛のあまり、政をおろそかにしたことで左大臣・道長をはじめ公卿たちの信頼を損ない、悩みが尽きない一条天皇。第28回では入内した彰子を中宮にし、定子と后を二人にする「一帝二后」の話が持ち上がる。
当初は到底受け入れられるものではないと拒絶していた一条天皇だったが、塩野はそんな一条天皇の胸中にこう思いを巡らせる。
「政だったりとか自分の政治によっていろいろ動かされているなという気持ちがあるとは思うので、一条天皇の気持ち的にはやっぱり落ち着かないところはずっとあったと思います。どこまで行っても自分は政治の一部というか、そういったものに使われ続けるのだろうかとか、そういったもどかしさ。それが嫌で定子のことを生涯愛し続けたというか、定子を思い続けたっていう思いもあると思うんですね。定子の人柄だったり、定子が居てくれるだけですごくいとおしい気持ちになるっていうことは嘘ではないんですけど、それプラス一条天皇の中ではやっぱり反発心、反骨心みたいなこともあったんじゃないかと個人的には感じていて、自分という存在が政治の一部だけではないっていうふうに自分の存在意義を示したかったのかなっていう気もしているので、今回は道長サイド、ほかの公卿たちの思惑にしてやられたなという気持ちも少なからずあるとは思います」
28回では、一条天皇が彰子に歩み寄る場面も。一条天皇が彰子の緊張をほぐすためなのか笛を奏でるも彰子の目線は向いておらず、「そなたはなぜ朕を見ない?」「こちらを向いて聴いておくれ」と告げた。すると彰子は「笛は聴くもので、見るものではございませぬ」と思わぬ反応。彰子のそばに控えていた赤染衛門(凰稀かなめ)は凍り付き、一条天皇はバツの悪そうな表情で「これはやられてしまったな……」とつぶやくと「彰子、そなたは中宮になりたいのか?」と意志を問うた。しかし彰子は困ったように「仰せのままに」としか答えず、一条天皇は「己というものがない」彰子にかつての自身を重ねて同情。道長のねらいであった一帝二后を後押しすることとなった。
一向に距離が縮まらない様子の一条天皇と彰子の関係に、塩野は「セリフにもあるんですけれども自分と近しいものを感じるっていうこともありつつ、とはいえやっぱりまだ定子の傷が癒えきっていないということもあるので、なかなか向き合うのにはお互いのその心の距離っていうのは詰めるのは難しいんじゃないかなっていうふうに感じざるをえないっていう心境ではあると思います」と推察。
今後の展開について「あとは史実上では最終的に一条天皇が詠んだ歌が彰子にあてられたものなのか、定子にあてられたものなのかっていうのは、道長の残したものと行成の残したもので変わってくるんですけど最終的にこの『光る君へ』ではどっちにつながってくるのかなっていうのはすごく気になっていて、個人的にはもちろん定子のことをずっと思ってはいるけど最後の最後は彰子に向いてほしいなっていうような気持ちです」と語っている。(編集部・石井百合子)